お土産の話
「チョ、チョ、チョ、チョコレートをお土産にくれるんですか?え、うそ、本当に?でも、あれ?国から物を持ち込むことってできないんじゃ……」
「直接渡すことはできないけれど、チョコレートを持って帰ってきて、仙皇帝宮の官吏に預けるから。欲しい物として、スカーレットからのお土産のチョコレートといえばチェックされたあとに手元に渡るわよ」
なるほど、国から物は何も持ち込めないとはいえ、そういうルートを使えば手に入れることができるんだ。
じゃぁ、国から取り寄せたいものも、一度仙皇帝宮の官吏経由すれば手に入るってことよね?いいこと聞いた。妹たちの話だと、後宮に入れば何でも望むものはもらえると言っていたけど、ドレスだとか宝石だとかの話ばかりで。
呂国からブラックペッパー……黒胡椒を取り寄せたりもできるってわかってラッキー。うん。粗びきした黒胡椒を振りかけて食べる肉は極上。
ん?ワインにも合うんじゃない?うん、いいかも!ちょっと、調理長と相談してみよう。
「じゃぁ」
黒の宮と赤の宮の境目で手を振って別れる。友達なので、ちゃんとした別れの礼は取らず。
友達なので。
……本ばかり読んで、それが許された呂国では、本を読むことが極上の楽しみだった。
本を自由に読めない環境の後宮で、本以外にも楽しいこと嬉しいことがあるって知ることができて……。友達。ともだ……。
スカーレット様にもらった3粒のチョコレートを思い出す。
友達なら、美味しいもの分けて食べるべきだよね……。
苗子は侍女だけど友達みたいな存在でありたい。……けど、毒味という名で1つ食べてるでしょ。
残るは3つ……。
私の分。それから、マオの分とレンジュの分……で、ちょうど3つか。
友達という言葉を使っちゃ駄目なのかもしれないけど。一応主従という立場になるわけだから。
でも、やっぱり、友達みたいな関係でありたいていうのは……。
チョコレート。1人で味わいたい。
けど、スカーレット様がお土産にくれるって言ってたし。それに……一緒にチョコレートの話とかできたらきっと、楽しい。
「おいしかったね」「またたべたいね」と……同じものについて話せたら、きっと、楽しいはずだ。うん、我慢だ。
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