表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/124

泣きそう

「くふふ。頼んだわよ。……とはいえ、姫らしくなった鈴華を見ることはないかもしれないわね」

「え?それって、期待されてないってこと?」

「怖いところではないと知ったから……。妹と交代しようと思うのよ。……妹に、辛い思いをさせたくないと、6年も居続けたけれど……」

 スカーレット様の言葉に、無意識に涙がこぼれた。

「せっかく友達になれたのに……いなくなっちゃうの?」

「すぐにって言うわけではありませんわ。あと1年ほどね。25になる前には交代すると父に手紙を書きます。その間に見合い相手を見繕ってもらって、妹の準備も整えておいてもらわないといけませんもの」

 1年……。

 引き留めたい。でも、それはできない。

 だって、スカーレット様の話からすると、後宮で妹がいじめられないように、自分ができるだけ長く後宮にとどまるようにしてたんだよね。

 本当なら、結婚適齢期……行き遅れなんて言われないうちに後宮を去りたかったかもしれないのに。

 あれ?でも……。

「他の姫のように、里帰りと称して後宮にいないこともできたんじゃ?」

 スカーレット様が首を傾げた。

「あら、敵前逃亡が許されるような甘い国ではありませんのよ?」

 うひゃ。朱国の土壌忘れてた。

「まぁ、私個人としては、国に顔を出すたびに、家族が泣くからあまり顔を出したくなかったのですけれどね。辛い思いをさせてすまない、私のためにごめんなさいお姉さまみたいな感じで……」

 あら、優しい家族。うん、だからこそ、妹を守りたいっていう思いが育ったんでしょうね。

「でも、ちょっと帰ってみようと思うの」

「え?あと1年交代まで後宮で過ごすわけじゃないの?」

 また、泣きそう。

「ふふ。後宮で友達ができて、楽しく過ごせるようになったって、だから大丈夫よって、交代する妹を安心させに行ってくるだけよ」

「スカーレットぉぉぉっ」

 両手を広げて、再びスカーレット様に抱き着こうとして、苗子に首根っこをつかまれる。

 うぎゅっ。

「私がいなくなったあと、妹のこと頼んでも大丈夫?」

「も、もちろん、ちゃんとそれまでに、えーっと……苗子に、特訓してもらうんで……」

 と、ちらりと苗子の顔を見ると、まさに、笑顔の裏に謀略ありみたいな笑顔を私に向けた。

 うひー。後に引けないけど、引きたい。ほ、本をよむ時間くらいはあるよね、ねぇ、あるよね?と、目で訴えかけるも、苗子の笑顔が崩れることはなかった。

「ふふふっ。楽しみね。じゃぁ、私は早速里帰りの申請の手紙を書いて、荷造りするわ。2週間くらい行ってくるつもり。あ、お土産、チョコレートでいいかしら?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 鈴華 ポンコツだけど大丈夫なのか(; ̄Д ̄)?
[一言] 隣の呂の姫はポンコツ可愛く優しいびっくり箱姫だから安心してねと伝えるのですね分かりますww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ