行き過ぎた力
ヒロインのステータスのごく一部です。
もはやチートスペック。
人間にはもはや彼女以外に強い者はいないでしょう。
「さて、お前の名前を決めるとすることが最優先だな」
「だから私の名前はk-157」
「呼びづれえだろ?隠密作戦が主だっていうのにんな長い名前なんてありえねえ」
少し俺は考えて、彼女に名前を授けた。
「うーん、お前の名はキーな。よろしくキー。俺の名はジルト。お前のパートナーとなるものだ」
「キー…私の名前はキー…、わかった。よろしく、ジルト」
とまあこんな感じで互いに自己紹介をして、俺らは互いの実力を測るために訓練場に赴いた。
訓練場は訓練したいものによって様々な設備がある。
例えば合気道など素手での戦闘の訓練なら幻影の敵を作り出して組手を出来るような魔法を編んだ魔法陣が引かれた場所だったり、実践演習なら自分の脳に干渉し、擬似空間での模擬戦に励む小さい訓練場だったり。
いま俺たちがきているのは魔導師の訓練場だ。
ここは実践演習みたく戦闘の訓練をする訳でなく、新しく魔法を習得、慣らすための施設だ。
壁には衝撃吸収の魔法の結界が引かれてあり、今まで一度も破られたことがないほど堅牢な代物だ。
過去に敵国と小さな争いがあった時、相手のショットガンをほぼゼロ距離で防ぎきったという。
そんな壁に囲まれ、俺はキーの能力を調べにかかった。
「キー。お前どんな魔法を行使できる?」
「全部、かな」
「え?」
俺は瞬きをした。
いや、ありえないだろ…いくら適正があっても属性の得手不得手ってもんがあるし5属性を全て操れるとかもはや人間じゃないだろ。
「いやいや…無茶だろ…俺そんな奴見た事もないし聞いた事もないわ」
「じゃあやってみるね」
とキーは宣言し、バックを持たない彼女は腕を持ち上げ、魔石を持たず5属性の魔法を全て淀みなく発動した。
しかも全て人間が出せる最高の威力で。
そしてキーはこちらを振り向き、首を傾けて
「どう?」
と聞いてきた。
(おい、これってもはや人間じゃないだろ…国は何やってんだよ…人間を魔改造しやがったのか!?)
俺は返答に少し遅れ、キーに言葉を返した。
「…あ、ああ…。申し分ない火力だ。てか、それよりも魔石使ってなかったよな?魔石はどうした?」
俺の最大の疑問はそこである。魔石を使わない。
これは紛れもなく人間ではないことの証左だ。
つまりこいつは亜人。しかもエルフの血を宿している。
軽く打っただけであの威力は間違いがないと思う。
フードを被っていたから見えなかったから気づかなかったが、確かに耳はツンと尖っている。
「お前、亜人だよな?なぜこんなところにいる?」
「私、亜人じゃないよ?人間だよ?パパからは先祖返りの人間だって言われた」
失念していたが、そういう事もあるっちゃある。1000年以上前、人が家畜だった時代にエルフに弄ばれた名残みたいなもんだ。
皮肉なことに、体内のエルフの血が濃ければ濃いほど魔石適正は向上する。
だが、人間の血が混ざっている限り、必ず体内に魔力を宿す器官が存在しない。
だがこいつは何気なく魔石を使わずに行使している。
俺はキーに問い詰めた。
「ならお前は何故魔石無しで魔法が使える?前代未聞だぞ。そんなことができるんならどんだけ効率良く技術の発展が望めたかわかんないんだぞ!」
魔石は確かに無限に湧いてくる。
だが、加工されたものに関しては別物だ。
鉱物として産出された魔石はすごぶる質が悪く、純度もかなり低い。
それを上手く精錬を施し、魔石の中の魔力が抜けないように気をつけて純度を上げてやっといまでこそ50%を行くか行かないかだ。
この1000年をかけて。
魔力を体内に宿せたらどんなに楽かっ!!と嘆く技術者もいた程だ。
心の中でこいつは亜人で確定だな…と思っていると、いきなりキーは服を脱ぎ出した。
「おいおいおい!お前何してんだよっ!恥じらいとかないんか!」
「私が亜人でない証拠が背中にあるから…信じてもらうためには背中を見せろってパパに言われて…」
「じゃあ後ろを向くから先に言えよ!焦るじゃねえか」
俺は咄嗟に後ろを振り向き、先程のキーの行為を呪った。
感情がなければ恥さえもなくなってしまうのか。
闘いの為に作られた人間兵器。
上司が言っていた「過去最高の失敗作」、上がご執心して作ろうとしているのが見えてきた。
もうくるとこまで来ちまったか…
「もういいよ」
キーの声がかかり、俺は振り向いた。
彼女は向こうを向いており、艶やかな背中をさらけ出していた。
思わずボーっとしてしまうほど綺麗な背中のラインに見ほれながら、背中を上から眺めると、背中の真ん中のあたりからしたにかけて大きな手術痕が残されていた。至上の作品を無残に切り刻まれたみたいで顔を顰めた。
そして俺は眉を顰めながらキーに聞いた。
「これは?」
「それは人工魔力器官を埋め込んだ痕。そこに魔力器官が埋まっている」
「そんなもの、聞いたことがないな。お前のいた場所じゃ皆んなこんな傷が付いていたのか?」
「うん、皆んな埋め込まれてたみたいだよ?」
「魔力を使う時どんな感じだ?」
「背中の真ん中あたりが暖かくなって、その暖かさを全身に広げてから局所に集めて使う感じかな」
「なるほど」
俺の知らないうちにここまで技術が発展していたのか…と驚きながらその傷をマジマジと眺めた。
キーがいた育成場では皆んな埋め込まれているってことか。
時代が変わるな。
戦争が近いから隠すのも無理ないか。
と内心納得しながらキーに謝って、魔法の詳細について詰めた。
次回もステータスの細部をある程度詰めます。
そして初の軽い手慣らしの任務に誘わせます。まあ簡単にこなせるかどうかはわからないけど…