39、キャピター動く
夜中、練習する際に純野さんも来るようになった。
もっとも、特殊能力を軸に戦う純野さんとは、戦い方がかなり違う。少し離れた場所で、それぞれ技を練り、たまに相手が必要な練習に協力し合う形だった。
また、日曜日はなるべく信濃妖人大学に行き、妖獣革命党の誰かに練習相手になってもらう。
そんな日々が、しばらく続いた。キャピターの動きも、直接こちらに影響があるものは少なく、稀にデンキパイロットが現れるぐらいだった。
そのデンキパイロットも、今までに見たことがあるタイプばかりでもあり、徐々にだが余裕をもって倒せるようになっていった。
ヒュボッ!
銀のデンキパイロットが触手を繰り出してきた。この動きにも慣れた。
受け流しつつ、その触手に沿ってデンキパイロットに接近し、両手の掌で頭部を打った。
「……ギギ……無能……者……メ……」
……ガグチシャ
「……ふう」
「三輪、お見事」
純野さんに褒められたが、その純野さんは僕より多くのデンキパイロットを片付けていた。
「まだ、純野さんには遠いなあ」
「わたしも、前よりは強い」
「まあ、そうだけど。……デンキパイロットの部品拾って帰ろうか」
「うん。やって来るデンキパイロットが増えたから、安くなったけど、貴重な財源」
「どのくらい酒が買えるか、楽しみだね」
デンキパイロットの触手を集めながら、そんなことを純野さんと話した。
「三輪さーん、大変なことが起きたでやすー!」
りゅうとした服装のブタが、走ってきた。
チャシュー・ヤキブッタ、ブタ族の間諜である。ブタ族を守るため、ニンゲンの動向を探っている。
「こんにちは、チャシューさん。慌ててどうしました?」
「た、大変な事態でやす。列島政府が、迷利権軍と共に信濃へ侵攻することになりやした!」
「ええ?!」
「どうやら、大神キャピターが神託で動かしたようでやす。信濃をテロリストの巣と断じて、核の使用も辞さないと言っているでやす」
「純野さんを死神として使うため……だけではなさそうですね」
「結局は、自分たちの意思に従わない者が存在するのが嫌ということでやす」
まあ、偉くなってしまったら、人であれ神であれおかしくはなりがちなのだろう。
「また、神無月で信濃の神々の大半が留守なのも、このタイミングな理由でやす」
「ああ、キャピターはニンゲン由来の新しい神だから、出雲に行かないのか」
「戦える者は、信濃妖人大学に集まって対策を話し合うので、三輪さん達も行くでやす!」
「了解です。……ああ、そうだ。他の独立地域も、そんななんでしょうか?」
「そうでやすね。信濃が主目的でやすが琉球や越、吉里吉里などにも幾らかの軍が向かうようでやす。ラ・メーンも、あちこちに分散していて、信濃には私とハカートンだけでやす」
「……わかりました。純野さん、行こう」
僕らは、信濃妖人大学へ向かった。




