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14、ヒロインの条件



 「……我ハイツモ、コンナデアルナ」


 グィー殿は、結界を張って周囲に被害が及ばないように動いてくれた。


 「我モ、タマニハ活躍シタイモノダ」

 「お前が戦えば、星が砕けるわ」

 「台風どころの被害じゃ済まないよね。迷惑だよ」


 台風神サブローと、味方の筈の解子姫が、グィー殿を口撃している。


 「グィグィラゲヴァーン様は、真面目に務めを果たしているのに、ひどいではありませぬか!」


 ガイラルアッヴァーン氏は、止めに入った。純野さんも、グィー殿を撫でていた。


 「せっかくグィー殿が結界を張ってくれたわけですし、始めませんか?」

 「ふん。一番弱い者が偉そうだの。我が眷族に、消されてしまえ」


 こちらにも矛先が向いたが、無視して結界に入った。ガイラルアッヴァーン氏と純野さんも、続いた。




 「びゅおんびゅおん!」

 「ぴゅるりらぴゅるりら!」


 結界の中では、台風神サブローの眷族たちが待ち構えていた。


 「えーと、雨やんさんに風やんさん、そのぴゅるりらだの、びゅおんびゅおんだのは、何ですか?」


 つい質問が出た。


 「あぁん?汚れた鬼が、口きいてんじゃねえよ」

 「まあそう言うなよ、雨やん。俺たちの特攻魂に、あいつもシビレてんだぜ」


 ちょっと気になってたけど、会話を続けるのが面倒な気分になった。


 「ぼーそー族っての?あれが格好いいからよ、真似してみたんだ」

 「びゅおん、びゅおん!そしたら、はまった」

 「……ソウデスカ」


 つまり、バイクの音を口で真似たのか。


 「ばりばりだゼェ!」

 「ぴゅるりらぴゅるりら!じゃあ、そろそろ戦おうぜ!」


 戦う前に、一応試してみよう。


 「その前に、一杯いかがですか?」


 酒ビンをちらつかせてみた。


 ……ジュルリ。

 ……ジュルリ

 ……じゅるり


 「……お前、俺たちを酒で釣る気か?」

 「くそ美味そうな匂いが、ぷんぷんしやがる」

 「三輪、酒欲しい。早く、渡せ」


 純野さんも反応したものの、酒でなあなあにする作戦は、悪くない感触だ。


 「……三輪殿、そういう姿勢はいかがなものか」

 「いや、ガイラルアッヴァーンさん、仲良くなってお互い被害がないのが一番ですよ」


 向こうでは、台風神の眷族たちが相談している。


 「ぴゅるりら、酒飲みてえよな」

 「おう。でも戦わないと、サブロー様が怒りそうだぜ?」

 「うーん。……あっ!いいこと思いついた。あいつらぶちのめして、酒を奪っちまおうぜ」

 「……ナイスだ、雨やん!」



 説得による戦闘回避は、できなかった。


 「……三輪、わたしが守る。安心して」

 「……酒をですよね」

 「うん!」


 横では、ガイラルアッヴァーン氏が手に傷をつけている。


 「三輪殿が、あまり戦闘向きでないのはわかっているゆえ、まずは我らに任せられよ」

 「いや、それなりに戦うつもりですよ」



 ごひゅっ!



 純野さんが、間合いをつめる。近くにいた雨やんは、反応出来ずにいた。




 ボヒュッッ!


 「グゲェエエエ!」


 純野さんの左手から、空気の塊が撃ち出されたようだ。回避出来なかった雨やんが、吹き飛んだ。


 「うん。とどめさす」


 ビョヘラブオグォ!


 「ぐっ?!」


 とどめをさそうとした純野さんだが、風やんが割り込み強風を発する。その間に立て直した雨やんが、水流を発生させた。


 「ふむ。そうくるか」


 その水流に、ガイラルアッヴァーン氏は自分の血をぶつける。水流は氷になって飛ぶが、ノーマークだった僕が横から力を加えて、矛先を風やんに向けた。


 「ビュヘッ!」


 風やんに、氷の塊がかすった。


 「大丈夫か風やん!チクショウ、雑魚だと思って油断した」

 「痛い……が、大丈夫だ雨やん。あの胸が薄い姉ちゃんを警戒して、他の奴らを甘く見すぎたぜ」

 「……三輪。あいつら、殺していい?」


 純野さんの纏う空気が、ピリピリしだした。


 「げっ!風やん、なんか危険な感じだぜ」

 「ほ、ほめたんだ!本当だぜ!」


 純野さんは、こちらを見た。


 「三輪も、そう思う?」


 聞かれたので、思ったことを言ってみた。


 「ええ、僕もそう思います。ほめたんですよ。ヒロインの絶対条件だと思います」

 「三輪殿、いつになく爽やかな表情ですな」



 珍しく、純野さんの表情が変わった。何とも形容しがたい表情で、口を歪めている。


 「……うん。三輪も、殴る」

 あくまでも、三輪の個人的見解です。

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