奇襲と消失。
「とりあえず歩いてるけど今日の目的地は?」
「今日はもう直ぐ見えてくる平原ですね、そこにいるゴブリンと戦ってレベル上げしましょう」
「おお!!ゴブリン!!」
「ほら、見えてきましたよ」
俺は自分の目を疑った
「ねえノアちゃん、ゴブリンってこんなに集団行動するモンスターなの?てっきり三匹一組ぐらいかと……」
目の前の平原にはゴブリンが作ったであろう家やせっせと働いてるゴブリンが居た。
「ゴブリンは人間のように暮らしていますからね」
それは真ですか……。
「ノアちゃん俺には無理だって!!可哀想だよ!!」
「あ、俺って使ってくれましたね、嬉しいです」
しまった。感情的になると出てしまう。
「今はそんな事言ってる場合じゃないでしょ!!」
「大丈夫ですよ、あのゴブリン達じゃなくて悪さをしギルドから討伐クエストが出てる悪いゴブリン達です」
「なんだ……それならできそう」
少し歩いた所にある廃墟の様な所にそのゴブリン達は屯していた。
「ごめんノアちゃん、無理だよ!!さっきのゴブリン達とは明らかに違うじゃん!!悪いにも適度に悪いことしてる奴等じゃないって絶対人殺めてる顔してるって!!」
バットやナイフを持って煙草を吸いながら挙句の果てにヤンキー座りをし談笑している。
「田舎のヤンキーでもナイフは持たないって!!」
「アヤカさん怖がりすぎですよ、ですが思ったより数が多いので念の為外回りしているゴブリンを奇襲することにしましょう」
「分かった」
俺達は茂みに隠れてゴブリンを待つことにした。
「なかなか来ませんね」
奇襲と言うことで密着しているのだがこれは童貞には良くない。
ノアは俺を女と言う事しか知らないが元は男なんだよ!!美少女と密着しているなんて男の体なら一瞬にして興奮しているのがバレただろう、とにかくこのままだとゴブリンが来る前に俺の理性がやられてしまう。
「ノアちゃん、この体制はちょっとやばいよ」
何言っちゃってんの俺、完璧にきもい発言してるじゃねーか。
「そうですね、この体制は奇襲には向いてないかもしれません」
こんな子で助かりました。
体制を変え俺は側にある木の上に、ノアは変わらず茂みに潜んでいる。
しばらくノアとアイコンタクトで遊んでいると遠くからゴブリンが二匹こっちに向かって歩いている。
ジェスチャーでノアに合図する
(ノアが先に一匹奇襲した後に残りを上から俺が叩く)
(分かりました!!)
こんなので伝わってんのかな……不安になってきた。
ゴブリン達がすぐ近くまで来た、やべえ緊張してきた
気持ちを整える為に深呼吸しようとした瞬間
「ラ、ラフィトニング!!」
ん?こいつ今噛んだのか?
一斉にゴブリンがノアを睨む。
「すみません、奇襲なんて初めてで緊張しちゃって……」
奇襲初めてなの!?いやそれどころじゃないんだけど!!
俺は急いで木から飛び降り一匹のゴブリンを叩き切った。
「ノアちゃん何?んじゃってるの!?普段なら可愛いけど今はダメでしょ!!」
「ごめんなさい、アヤカさん後ろ来てますよ……」
え?振り返ると同時に鼻先に触れるか触れないかギリギリのラインを撫でるように刃物が通り抜けていく。
「あっぶねえじゃねえか!!何考えてんだよ!!」
俺の言葉を無視して更に襲い掛かってくる
「ごめんちょっと待って、ノアちゃん助けて」
必死に距離をとって助けを求める。
「ここで助けてもアヤカさんの為になりませんし頑張ってください、一匹倒していますしアヤカさんなら大丈夫だと思います」
「今のはノアちゃんが危なかったから気づいたら勝手に!!」
「(照り)」
何照れてんだよ!!今更だけどめちゃ怖くなってきた。
近くで見たらゴブリンの顔すっげえよ……殺しを楽しんでるって、狂気に満ちた顔してるもん……。
怖気づいていたらゴブリンが大振りで切りかかってきた
「あっっっぶね!!」
(ザクッ)
避けたつもりがいい感じでカウンターをお見舞いしてしまった。
「アヤカさんなんだかんだ言いながらもちゃんと倒せてますよ、かっこよかったです」
「いや、避けたらたまたま……ん?かっこよかった?」
「はい、かっこよかったです!!」
聞いたか?今まで学校では笑われ、家では邪魔者扱いされてた根暗だった俺がかっこいいなんて言われる日が来るとは……俺転生してよかった。
「アヤカさん涙出てますよ?無理に戦わせてごめんなさい、泣くほど怖いと思ってなかったんで……」
「いや!!違うよ、嬉しすぎてちょっと感情的になっちゃった」
嬉し涙にも理由は色々あるがノアにはこのまま勘違いをしていてもらおう。
ふとカードを見るとレベルが1から2に上がっていた。
「身体能力は個人差はあるがレベルアップで勝手に上がるけどスキルポイントの振り分けとかどうやるの?」
「スキルはこのカードで管理できます。それよりアヤカさん2レベでこのアビリティは凄いですよ、冒険家になる前は何かやっていたんですか?」
「特に何もしてなかったんだけど、どうしてだろう?」
ニートはしていたが根暗ブスな俺はデブだけは避ける為に筋トレは欠かさなかった。
「とりあえずこの垂直切りしか取得できないしこれでいいや」
何で漢字の技名がたまにあるんだよ雰囲気ぶち壊しじゃねーか!!
「スキルを覚えた事ですしどうしますか?あと一回くらい狩りをして帰りますか?」
「そうしよっか」
ノアの提案通り少し狩りをして俺達は宿舎に戻った。
翌日また狩りをする約束だったので部屋に入るとそこにはノアはいなかった。