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美少女の使い方

何とかしてみると言ったもののどうしたものか、セオリーとしてギルドに入りPTを作りって所か?ベタ過ぎるがやはり一番良い選択だろう。


「よし、やっか」


とりあえずギルドまでの行き方を通りすがりのおばあさんに教えてもらいたどり着く事ができた。


おばあさんでもギルドの存在は知ってるんだな。


ギルドの酒場に行くと思ったより賑やかだった、昼間っから何してんだここの冒険者は……受付に行き冒険者になりたいと伝え必要な手続きを終わらせる。


後は職業だ、ここは慎重に選ばなければならない、剣士、盗賊、ウィザード、アーチャー、ビショップ、他にも沢山あったがやはりPTを組む事を考えれば剣士が楽だろう。


本題はここからだ、最低限の武器と装備を揃えなければならないのだが、もちろんお金なんて持ち合わせているはずもない。


ここで異世界に飛んできた主人公が必死に頑張りあの手この手でお金を稼ぐってのもアリなんですけどー?俺の様なネトゲ廃人は効率主義なんでそんな非効率なお約束は却下ですよ。


どうやって稼ぐかって言うのは、まあ見といてください。


まずはお金を持っていそうな、欲を言えばモテなさそうな男に近づきこう話しかけこう言う。


「いきなりすいません、お願いがあるんですが……」

と悲しそうな顔をする、もちろん声を掛けられて迷惑がる男は少ないだろう。


そう……俺は可愛いからだ!!可愛いは正義と言う名言があるくらい可愛いは絶対的なのだ。


続けてこう話す。


「私はついこの間、魔物に両親を殺されてしまい行く当てを失くしてしまったんです……それでも私は両親の敵をとる為に田舎町からこの町に来たんですが……」

ウソ泣きをして同情してもらう。


「ギルドに入ったのはいいんですが私には宿代すらなく肝心の装備も買うことができないのです……もし良ければ悟飯代でも貸していただけませんか?必ずお返しいたします!」

と言うと大抵の男なら見栄を張って要求以上のお金をくれるものだ、手を握りお礼を言うと逃げ去るようにその場を離れた。


非モテ男の気持ちなら死ぬほどわかるが……すまん、そして感謝する。


さあ、予想以上の軍資金も入ったことですしかっこいい装備を揃えに行きましょうか。


俺はここに来る途中に見かけた道具屋に入り品定めを始めた。


ネトゲの世界でも俺は性能より見た目を重視する奴だったせいか装備選びは女子高生の買い物より時間が掛かる。


やっとかっこいい装備を決めお金を払おうとしたら店員さんが謎めいた顔で話しかけてきた。


「お客さん、こちら男性用の装備なのですが……」

おっと俺としたことが、女という自覚を常に持っておかねばいけないな。


「すいませーん、かっこよかったのでつい……」

照れながら言う、店員さんは俺の一言で恋に落ちたのかテンパっていた。


「お、おおおお、客様!!こちらの商品はいかがでしょうか!?」

ふむ、悪くないセンスだ。


ここでお金を払ってもいいのだがせっかくの美少女だ、これを使わないのは勿体ない。


「凄く可愛いんですけどー、ちょっとだけお安くならないですかあ??」

勿論スキンシップはしてあげている。


「安くします!いや無料で差し上げます!!」

「本当ですか?助かります~?」

美少女とはこんなにも人生得をしているんだな……。


商品を受け取り試着室で着替えをする、ここで人生最大の難関が訪れる……はずだったが当事者となって分かる事があった。


それは女の子の裸なんて他の人だからこそ魅力があるわけでして自分の裸なんて見ても興奮なんてするわけなくただ虚しくなるだけだ。


とドヤ顔で俺は自己暗示をして着替えを済ませた。


何故か鼻血が出ていたが理由は分からなかった。


これで俺も冒険者らしくなったということでモンスター近くのモンスターでも倒しに行こうかなと考えている途中に、

「君可愛いじゃん~」

「俺らと触手モンスターでも借りに行こうよ~w」

などと下品な言葉が聞こえてくる。


ふむ、これがこの世界のナンパか……触手とは斬新な、と思いながら絡まれている子に目を移す。


「お、確かにめっちゃ可愛い」

俺より2個くらい下だろうか?見た目はあまりパッとしないが出るところは出て腹部はシュッと締まっている、出すぎているわけでもなく凹んでいるわけでもない、大人しそうな子だ。


ん?背中に背負っている物は?杖?魔法使いか!!もう何も言うことはない、パーフェクトじゃないか!!これは助けるしかないな。


俺はすぐに行動に出た、

「遅くなってごめーん!!待ったよね?行こっか」

そう言って彼女の手を握ると

「えっと……どちら様ですか……?」

こいつは馬鹿じゃないのか?空気読めよ。


耳元で「助けてやるから話合わせて」と囁くとやっと納得してくれたように彼女は頷く。


「すいません、この子と今から買い物なんですよー」

笑顔でナンパ野郎AとBに言う、すると彼らは

「うっわめっちゃ可愛い子が来たんだけどw」

「君も一緒に冒険しようよー可愛い剣士さん」

おっとこれは予想外、二次災害とは正にこの事だな。


どうする俺、手を出すわけにもいかないし、っつか今の俺は女だし勝てる気がしねえ……。


頭を働かせろ俺。


「んーいいですけどおr……私怖くて触手なんて相手にできませんよー、もうちょっと簡単なクエストにしましょうよー」

やる気になった俺を見たAとBは

「全然いいよw君達みたいな可愛い子とご一緒出来るなら」

「じゃあ私たちここで待ってるんでクエスト受けてきてくれませんか?」

流石にこれじゃだめだろうと次の作戦を考えようとした矢先、

「おっけい!!ちょっと待ってて!!」

……こいつらが馬鹿でよかった。


行ったのを確認し急いでその場を離れる。


結構走ったから大丈夫だろうか。


「災難だったね君、名前は?」

「私の名前はノア……先ほどは助けてくれてありがとうございます、貴方のお名前教えていただけませんか?」

さっきも思ったが声が小さい。


「おr……じゃない、私は彩花、よろしくね」

「アヤカさんですか、変わった名前ですね」

とノアは微笑む、凄く可愛い。


「助けていただいた時も思っていたんですが無理に私と言わずに俺って言ってもいいんじゃないでしょうか?かっこいいですよ」

こいつスゲー洞察力だなと感心する

「ありがとう、助かるよ。ノアちゃんはあそこで何をしてたの?」

見る限り始まりの町にしては装備が整い過ぎている。


「私は別の町で暮らしているんですけど、この町に売っている物を買いに来てたんですが先程の方達に絡まれていまして……」

「そうなんだ、大変だったね」

ここで俺は思いつく。


「良かったら買い物手伝うよ、ノアちゃん一人だとまたナンパされると思うし、どう?」

優しく俺は提案をした。


手伝う理由なんて可愛い女の子と少しでも時間を共にしたいからだ。


「そんな助けてもらったばかりなのに……」

と彼女は申し訳なさそうな顔をして俯く。


「俺この町にあんまり詳しくないし一緒に行って地形を確認しておきたいからそんなに気にしないで、行こ?」

俺はニコリと笑う。


「ありがとうございます、アヤカさんって優しいんですね」

そう言うとまた微笑む。


この笑顔が見れるならなんだって出来る。


「で、ノアちゃんは何を買いに行くの?」

「今私が使っている杖が壊れてしまいましてそれと同じ物を……」

なるほどな、他の杖でもいいと思うんだけどなんでだろうか?問いかけてみると

「使い慣れてしまったのもありますし私が初めて買った杖なので……」


うん。可愛い。


「じゃあ行こうか」

先ほどの様な事に巻き込まれたくないから人通りの少ない道を選んで歩く。


「アヤカさんはこの町に来る前はどこに住んでいたんですか?」

「秘密」

いたずらに微笑む、日本!!とか言えるわけがないよな。


俺達はたわいもない会話をしながら目的地を目指した。

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