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アイリス

「二人とも準備は出来てる?」

「うん!!」

「大丈夫です」

「じゃあ行こっか、《アイリス》に」

俺達はまず話し合ってノアが居ると思われる町を手あたり次第向か事にした、効率もクソもないが少し先の町としか情報が少なすぎるので仕方がない。

「二人はアイリスに行ったことはあるの?」

勿論俺は初めて行く町だし知っている人が居れば色々と行動が変わってくるだろう。

「僕はないかなあ」

「私も他の町に行くときに入り口にある宿に一泊しただけですね」

なぜだ。

「始まりの次の町だよね!?普通は行くよね!?」

RPGの基本は適正の場所でレベルを上げる事だろ!?なんで行ってないんだよ!!

「僕とメアリは多分同じだと思うけど元々天才肌だしステータスも異常だったから一気に先の町に行っちゃたんだよ」

あーなるほど、納得するしかないな。

「じゃあ僕らもまだ見ぬワクワクドキドキの旅の始まりだ!!」

「何がそんなに楽しいんですかクソアマさんは」

「なにー!?またクソアマって言ったな!?」

「はいはい喧嘩してたら町に着く前に日が暮れちゃうから行こうねー」

ヤーヤー言い合っている二人を無理やり引っ張り目的地に向かった。


……。

「ねえ夜になっちゃったんだけど?」

レイチェルが道を案内するということでお願いしたのだが町に着くどころか何所だここ。

「迷子だな」

「迷子ですね」

「迷子じゃないよ!!ちょっと道を間違えただけだよ!!」

「さっきもそんな事言ってなかった?まあ今日はもう無理だしここら辺で眠れそうな所を探そう」

こんな野原いつモンスターに襲われるか分からない、俺達は松明に火を点け辺りを見渡す。

「あそこの穴倉とかどうでしょうか」

「良く見つけたメアリーちゃん!!あそこにしよう!!」

穴倉に入り荷物を下ろすと既に生活感が出ていることに気づいた。

「ここ大丈夫なの?ロウソクの明かり点いてるし寝袋とかもあるんだけど」

「多分大丈夫だよ!!もしも主が帰ってきたら事情話して一日だけ泊めてもらおう」

なぜレイチェルはこうも楽観的なのか……。

「ずっと歩いていたので私も疲れました、ご飯を食べて今日はもう寝ましょう」

「まあ確かに疲れたね、ご飯にしようか」

俺は近くに落ちている木を集め火を起こし、途中で倒したモンスターの食材をメアリーが調理する。

「レイチェルと違ってメアリーちゃんは料理が上手だね」

「何で僕を引き合いに出すのさ……確かに美味しいけど」

「料理は好きですから」

ご飯を食べ終えた俺達は草木で作られているベットを借りて眠った。


ドスッ!!

何かが俺の上に勢いよく乗りかかってきている。

「重い……」

レイチェルかメアリーがまた遊んでるのかと思い瞼を開けるとナイフを喉元に突き立ててきてる女性が居た。

「えーっと、どちら様でしょうか……」

「それはこちらのセリフだ、なぜ貴様はここに居る」

動きやすそうなショートカット、少し焼けている肌、服装を見る限り冒険者ではなく狩人だ。

「お取込み中申し訳ないけどそのナイフを外してもらえないかい?」

視線をずらすと先程隣で寝ていたはずのレイチェルがその女性にナイフを突きつけていた。

女性は軽くうなずき俺の上から降りてくれた。

「助かったよレイチェル、貴方はここの住人さんですか?」

「そうだ、見回りから帰ってきたら知らない奴が寝ているんだ、誰しも同じ行動をとるだろう」

「勝手にお家に上がってごめんね?私達は始まりの町から来たんだけど……」

事情を説明すると快く了承をしてくれた。

「なんだそう言う事だったのか、それはいきなり襲ってしまって申し訳ない私はデネット」

「いやいやこっちが悪いんだから、私は彩花、こっちがレイチェルで寝てるのがメアリーちゃん、それより見回りって?」

俺はデネットの警戒っぷりとなぜ見回りをしているのかが気になっていた。

「実はここ最近この森の中にある私の集落を襲ってくる輩が居るのだ」

ふむふむと相槌を打ちながら話を続けてもらう。

「私の集落はお年を召した方が多く若くて力のある私と他の数名がみんなの為に夜は見回りをしているんだ」

なるほど、ここは可哀想だけど俺には何もできないな、早めに寝て朝一でここをでy

「それなら僕らが何とかしてあげるよ!!」

は?

「待て待てレイチェル、ここはでしゃばる所じゃないでs」

「真ですか!?」

えー……。

「私も手伝います」

お前はいつ起きたんだよメアリー。

「大体何とかするって言っても相手が誰かも分かってないのにどうするんだよ」

「相手は恐らく魔王軍の下っ端です、アヤカさんも手助けしていただけるのですか!?」

したくねえよ!!めんどくせえよ!!

「まあ見て見ぬふりはできないしこの二人が乗り気だし、何でこんな所に魔王軍が?」

「ありがとうございます!!聞いた話によるとどこかの町に進軍しているらしいので途中で逸れてしまった下っ端がここら辺で暴れているのだと思われます」

何で魔王軍相手にしなきゃならんのだ、流石にまだ早いだろ……ここは断ることにし

「魔王軍を倒せばいいんだね!!デネットには泊めてもらう借りがあるし僕がやっつけちゃうよ」

馬鹿かこいつは

「ありがとうございます!!」

「どうやって魔王軍なんて!!」

大声を出したその時メアリーが俺の口を塞いだ。

「静かにしてください、敵が近くまで来ています」

「僕はスキルで敵の位置を正確に把握するからデネットは灯りを消してくもらえるかな?」

「分かった」

町を出た初日から魔王軍とか本当にツイてねえなと思いながらも一応武器を手に取る。

「場所が分かったよ、ここを出て近くの川で休憩をしてる」

「川の近くには集落があるんだ、これ以上皆を傷つけさせるものか!!」

いきり立っているデネットがナイフを構えて穴倉を出ようとするが俺は手を取り無理やり座らせた。

「こんな時こそ作戦を練るべきだ、敵は何体?」

「キングスケルトンが二体、普通のスケルトンが五体だね」

「ふむ、固まって休憩をしているならメアリーちゃんが範囲魔法で奇襲をかけてその次にレイチェルと私で残りを殺る、万が一逃す可能性もあるからメアリーちゃんは次の魔法を詠唱してて」

二人ともこの案で問題ないと了承をしたが

「あの、私は何をすればよろしいのでしょう?」

「デネットはメアリーちゃんの奇襲直後集落の皆にこの事を知らせに走ってほしい」

「分かった」

「じゃあ行こうか」

俺達四人は敵が居る川まで気づかれないよう慎重に向かった。

「よし、視認できた……私が手を上げたらメアリーちゃん始めちゃって」

俺は深呼吸をして一人一人アイコンタクトを取りゆっくりと手を挙げた。

「カオスゲイト!!」

前にも見せてもらったあのエグイ技で相手の動きを止めた。

「クソアマさん今です」

名前に不満そうな顔をしながらもレイチェルは敵に向かっていく。

「デネットは今の内に」

デネットは集落に向かったのを確認した後俺もレイチェルに加勢する。

「こっちの二体はひきつけとくからアヤカはまずそいつを!!」

レイチェルの言う通り一体の処理を請け負った。

「ゲッ、よりにもよってキングの方かよ……」

キングはメアリーの魔法のおかげで瀕死状態だったがその分の怒りを俺にぶつけようと奇声を上げながら襲い掛かってくる。

「あっぶねーだろ!!」

長剣を感情に任せ振り回してくるキングの攻撃を間一髪で避け続けている間にメアリーの詠唱が終わる。

「アヤカさん、その場から全力で逃げてください、巻き込まれたら二度と目覚めませんよ……」

「え?まっ」

「ファントムフォーグ」

クソがああああああ!!

その場からダッシュで離れメアリーの技はギリギリ食らわずに済んだ。

「危なかっただろうが!!」

「結果オーライです、そんな事よりクソアマさんは?」

「僕の存在に気付くのが遅いんだよ、まったく!!」

振り返るとバラバラになった骨の上に座っているレイチェルが居た。

「流石レイチェル、デネットの所に行こうか」

川を後にし集落に向かおうとしたその時足がセメントに入ったかのように動かなくなった。

「なんだこれ!!動けない!!二人とも助けて!!」

「僕も動けなくなっちゃってるんだけど!!」

「すみません私もです」

三人ともか、これは間違いなく敵の仕業だ。

「敵は全員やった筈だろ、何で」

「僕のスキルに反応しないモンスターが一匹いたみたいだね」

「何でそんなに冷静でいられるんですかクソアマさん」

俺から見たらメアリーも冷静すぎるんだが。

「あれはゴーストですね」

「お、流石元魔王幹部だね!!」

何でそんなのんきなんだよ……。

「三人とも動けないとか普通にピンチだよね!?どうすんの!!」

始まりの町を出て初日でゲームオーバーなんて馬鹿げてる、ここはクソ女神にお願いするしかと悩んでいたその時

「遅かったので仲間を連れて戻ってきました!!大丈夫ですか!?」

デネットが仲間と共に魔法で光を作り出しゴーストを倒してくれた。

「本当に助かったよ、ありがとう」

「やめてください、アヤカさん達が私や集落を助けてくれたのです」

「ところで、僕達足に力が入らくて動けないから穴倉まで運んでくれたらもっと助かっちゃうんだけど」

「承りました、どうせなら集落で泊まっていかれては?」

「いや、私達は穴倉で十分ですよ、荷物も置いてきていますので」

「分かりました」

三人はデネットと他二人におんぶで穴倉まで運んでもらった。

道中この足は治るのかとメアリーに聞くと二時間程で回復するそうだ。

「皆様のおかげで集落は助けられました、恩返しをしたいのですが」

「恩返しも何も私達がここの穴倉を借りているお礼をしただけです」

欲望に素直なメアリーがこんなことを言うとはな。

「そうそう、僕達の方こそ感謝しなきゃんだよ!!」

「その通りだね、私達は朝一でここを出発するからお別れだ……またね」

デネットは涙を堪え、またねと笑って見せてくれた。

やはり挨拶は苦手だ。

時間は深夜三時、集落に帰っていくデネット達に手を振り少しだけ仮眠をとりアイリスに向かった。


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