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チートではない何かだ。

「起きてください」

「起きてアヤカ!!」

俺は時計を見て二人に言う。

「なあ、今日決闘なんだよ?もうちょっと寝させてくれよ」

時間は朝の五時だ、毎度毎度何でこいつらはこんなに早起きなのか。

「ダメです、昨日はトランプをしていたせいで戦いの練習など出来ていませんから今からします」

え?それ君が言うの?

「そうだよアヤカ!!君が負けてPT組めないとか僕は嫌だよ!!」

え?君も?

「いやいやお前ら二人がトランプしようってうるさかったからこっちは寝不足なんだよ!!それに……」

「それになんですか?」

「絶対勝てる方法はあるから心配しないで、じゃあおやすみー!!」

二人はその方法が気になって仕方が無いらしい。

「ねえ!!方法ってなんだい?気になって仕方ないじゃないかい!!」

「あーーーーうざい!!とにかくお楽しみなんだから後二時間は寝かせて!!」

俺はうるさい二人を無視して強引に二度寝をかました。


二時間後腹部の違和感で起き上がる。

「なんで私のお腹の上でチェスをしてんだ」

「だって起こしても起こしてもアヤカ起きなかったから」

だからってなんでチェスなんだ……。

「まあいいや、準備して決闘に挑もうか」

俺は着替えて防具を装備する。

「アヤカさん、ちゃんと勝てるんですよね……?」

「何でそんな心配してんだよ」

「だって見る限りアヤカさんと相手さんのレベル差がありすぎて普通なら勝てませんよ」

まあそうですよね、普通は勝てませんよね。

「普通なら……ね?さあ行こうか」

俺たち三人は決闘の舞台に向かう。

道中レイチェルとメアリーは何度も心配そうに大丈夫なのかと問うてきたがその度に大丈夫と微笑んだ。


「待ってたぞアヤカ!!」

朝からうるせえな、ちょっとくらい声量の調節はできんのか。

「おはようグレウス、決闘の内容は決めてなかったけどどうする?お前に合わせてやるよ」

俺からすれば勝負の内容なんてなんだっていいのだが。

「無論剣を交え先に膝を付いた方の負けだ、これで勝った方がレイチェルとPTを組める!!いいな?」

「ああいいよ、こっちから一つ条件を付けて良い?」

「どうせ勝てまいがいいぞ」

こいつ人を苛立たせるにはもってこいだな。

「私が勝てばそのなめきった上から目線での会話やめろよ?」

そう言って剣を抜く。

俺もグレウスも同じ剣士だがグレウスは大剣だ、レベル差から考えれば一発でも食らえば即アウトだ……。

「どうした、かかってきてよいぞ!!怖気づいたか!?」

うざ、昔っから俺はこの手のキャラクターは心底嫌いだったが実際会ってみるともっと無理だわ。

(おいクソ女神起きろ、お願いしてやるよ)

(機嫌が悪いからって私に八つ当たりしないでください)

(うるせえお願いキャンセルすんぞ?支払い大丈夫か?)

(ごめんなさい!!もっと罵ってくれていいのでそれだけはやめてください!!)

……こいつ神様のプライドってもんが無いのかよ。

(簡単なお願いだよ、俺が魔法っぽいの唱えたらあいつの足腰の筋肉を極限まで落としてくれたらいい)

(え?これって決闘ですよね?ズルくないですか?)

(は?勝てばいいんだよ、任せたぞ)

「行くぞグレウス!!マッスルブレイク!!」

我ながらダサすぎる。

「ガハハハッ!!なんだその魔法は子供だましか!?」

挑発を繰り返すグレウスとの間合いを一気に詰め剣を首元に突きつける。

「な、なんだ……足の力が入らないぞ」

「散々馬鹿にしてきた罰だよ」

俺は剣をそっと剣を外し軽く回し蹴りで勝敗をつけた。

「これでレイチェルは私たちと組む、いい?」

「待て!!俺に何をした!!お前なんかを相手にして足が竦む程ザコじゃねえぞ!!!!もう一度しょうbッ」

もう一度剣を突きつけ

「もう一度はない、俺が勝ったんだから口調には気をつけろよ?殺すぞ」

俺は勝者なりの威圧をして二度と歯向かわない様にして二人を連れて宿に戻った。

「グレウスが動けなくなったのはアヤカのよく分からない魔法の力なの?」

「そうだよ」

俺がレイチェルに質問攻めされているのを見ながら微笑んでいるメアリー。

「嬉しそうだねメアリーちゃん、そんなにPTが組みたかったんだね」

メアリーは無視をして紅茶を口にする。

「で!結局どうやったのさ!?僕はあんな魔法知らないよ!?」

当たり前だ、魔法じゃないんだし……。

「まあ良いじゃんか、とにかく勝ったんだしギルドに申請してお昼ご飯にしよ」

「そうですね、私もお腹が空いてきました」

乗ってくれてありがとう、助かりましたメアリーさん!!!!


「そう言えばPTの申請ってどうやるの?」

「ここまで来て何言ってるんですか?頭逝っちゃってるんですか?」

……。

「仕方ないだろ初めてなんだから、二人ともPT経験者なら教えて」

俺は二人に指示を出してもらいながら申請を完了させた。

「いやー、いろいろ手続きがあると思ってたけどそんな事なかったね」

「アヤカさんは私達の言う通りにしてただけですからね」

いやあ滅相もない。


「PT結成記念に……カンパーイッ!!」

「「カンパーイッ」」

食べたいものを食べ飲みたいものを飲む。

「明日からこの町を出るのかい?」

「んー、明日にでも行けたらいいなとは思ってるけどレイチェルとメアリーの都合もあるだろうし」

そう言うと二人は即答した。

「私はいつでも出れますよ」

「僕も全然明日でいいよ!!」

「ありがとう助かるよ……」

本当に助けられていると思い感謝をしながらお酒を口に進める。

そのまま俺達は三時間ほど酒場で盛り上がり

「さ、昼間っから飲み食いした訳だし各自明日の準備をしよっか」

「そうですね、私も荷物を取ってきます」

「じゃあ夜に宿集合で!!」

レイチェルの合図で各自支度をしに解散した。

俺は一人宿に戻り衣類などを整えながら一息つく。

(昼間からお酒なんて言い御身分ですねえええええええええええ)

こいつ酔ってやがる。

(テメーだって願い事一つ叶えられたからって調子乗ってたらまた支払いに追われるぞ、俺が次いつ頼むかも分かんねえのに)

(だーいじょうぶですよぉ!!そんなことよr)

(絡んでくるなうぜえ寝てろ)

俺も酒が回ってきたのか眠気が急に襲ってき、気が付くとまた二人がチェスをしていた。

「ごめん寝てた、今何時?」

「もう二十時ですよ」

そんなに寝てたのか

「アヤカが起きるの遅すぎてもうこれで十戦目だよ……どうせ僕が勝つんだから諦めてほしいもんだね」

「この試合こそ勝つので黙ってください」

「ハハ、仲いいな」

俺はベランダに出て外から二人のチェスを見守りながら煙草を吸いチェスが終わったころに中に入った。

「まーた僕の勝ち、諦めなよ」

「もう一戦やりましょう、これで私が勝てば美味しいアイス奢りやがれです」

メアリーは極度の負けず嫌いなんだと思いながら二人の勝負にストップをかける。

「明日は朝早くから出発だしもう寝よう?」

「ダメです、アヤカさんは先程まで寝てたから眠たくないでしょう……私と一戦やりましょう」

「んー、ルールとかうる覚えだし一戦だけね?」


…………なぜこうなった。

「初心者のアヤカにも負けてるって、メアリーはチェス向いてないのかもしれないね」

死体に蹴りを入れているレイチェルにデコピンをして

「私もたまたま運良く勝てたみたいなものだから、ね?近くの美味しいアイス屋さんでアイス食べてから寝ることにしよ?」

「分かりました、アイス食べに行きます」

レイチェルに小声でやりすぎは良くないとお説教をしつつお店に向かった。

食べたいアイスを注文し先に俺がお会計を終わらせ二人を待つ。

レイチェルはいつまでもしょげているメアリーを見て

「はあ、今回は僕の奢りだから好きな物食べていいよ」

お、優しいなと感心しながら見ていると

「ありがとうございます、ではお言葉に甘えて……これとこれとこれを余ってるだけ全部ください」

……。

「君は遠慮と言うものを知らない様だね」

少しかわいそうに思えたが見て見ぬふりをし皆が揃ったところでテーブルに着く。

「アイス美味しいです」

「凄く美味しいね」

「メアリー、今度は僕に奢っておくれよ!!」

その後ゆっくり食べながら明日の詳しい話をしていると隣のテーブルに今日あったばかりのグレウスとラメイルが二人でアイスを食べていた。

「あの二人はクソアマの元PTメンバーですよね?」

「そうだね、こっちに気づいてないらしいしちょっと別れの挨拶してくる」

そう言ってレイチェルが二人の所に向かった。

直ぐに

「おっまたせー、挨拶終わらしたしそろそろ帰ろうじゃないか!!」

「そうだな」

俺達はそう言って宿に戻る。

「あんな短い時間の挨拶で良かったの?」

「僕の性格上短くても良いんだよ、また会おうって約束もしたんだし」

レイチェルの笑顔は可愛く、そして何かを我慢しているかの様に感じ取れた。

「じゃあ僕は先に寝るよ」

「うん、おやすみレイチェル」

「おやすみなさい」

レイチェルが寝付いたのを確認した俺はメアリーをベランダに連れ出した。

「メアリーちゃんは煙草の匂い苦手?」

「なんですかアヤカさん、私は煙草なんて吸ってないのですが別に嫌いでもないので全然吸ってもらって大丈夫です」

「ありがとう」

…………。

「レイチェルをPTに引き抜いたみたいな形になっちゃったんだけど、本当に良かったのかな」

俺はなぜこんな事を言ったのか、

多分自分じゃない誰かに肯定して欲しかったのだろう。

「何を気持ちの悪い事言ってるんですか、私は誰かを慰めたり話を聞いてあげるような人ではないのでアヤカさんの期待には応えられません」

き、気持ち悪いまで言わなくてもいいのでは……。

「ですが私はあの人と貴方とPTが組めることが嬉しいです、勿論それはアヤカさんのおかげです、だから……」

「だから?」

「だからそんな考え込まなくていいと思いますよ、ていうか本当に気持ち悪いので沈まないでください吐きそうです、いやもう吐きました」

「メアリーちゃんはどうしてそんなに口が悪いのかな」

ここまで言われたら笑うしか出来ないじゃん。

「けどありがとう、私達もそろそろ寝ようか」

「そうですね」

シングルベッドに三人は結構狭いが慣れてしまえば落ち着きさえ感じれた。


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