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昔の匂い。

気が付くと俺はレイチェルに心配されながらメアリーに膝枕をしてもらっていた。


「あ、目が覚めましたね」


「心配したじゃないか!!」


レイチェルの怒った顔可愛いな……、って違うな。


「心配させてごめん、もう大丈夫だから」


名残惜しいがこのままではまたいつ鼻血が出るか分からないので座ろうとした。


「私の裸を見て倒れた変態さんはもう少しこのまま安静にしていてください」


変態さんだと?


「違う!!いや、違わないけど違うんだ!!」


「それほど元気なら大丈夫そうですね、じゃあ座ってもらって大丈夫ですよ」


皮肉交じりだが一応心配してくれていた様だ。


「メアリーの裸なんかで倒れていたら僕の天使の様な裸を見た時にはどうなるんだろうね?」


レイチェルはニヤニヤとしながらそんな事を言ってくるが


「大丈夫、レイチェルよりメアリーの方が……」


どこからともなく出してきたナイフを俺の首筋に突き立てる。


「メアリーの方がなんて言おうとしてたか聞かせてもらおうじゃないか」


「何もないです、ですから早くその物騒な物をしまってください」


「何にもないなら良いんだよ」


これからは発言に気を付けた方がよさそうだな。


「所でお二人方、もうこんな時間ですしお開きにしませんか?」


確かに良い子は寝なければいけない時間だ。


「じゃあ明日も朝から炭鉱だし帰るとしようか」


その言葉にメアリーが突っかかる。


「貴方も明日炭鉱に行くんですか?わざと邪魔をしていませんか?」


「たまたまだよ、どうせなら一緒に行くかい?」


「死んでも遠慮しておきます、貴方が唯一盗れていないお宝を盗って自慢してやるんですから」


「本当に仲が悪いんだね」


「僕は嫌いじゃないんだけどなあ」


「うるさいです、とにかく明日どちらがお宝を手に入れるか勝負です」


そう言葉を残しメアリーは帰っていった。


「じゃあ僕達も帰ろうか」


レイチェルの言う通り宿屋に向かった。


「……っておい、シングル部屋しか空いてないし流石に」


「そろそろ諦めてくれないかな?」


部屋に入りレイチェルは勝手にベッドに倒れこむ。


今更だが一つの部屋で女の子と二人きりなんて不健全だ!!


「せめて俺はこっちのソファーで寝るよ」


寝ころべないが仕方ない、このラノベを作者の願望まみれにする訳にはいくまい。


「何を言っているんだい、宿を借りている人にそんな事させる訳ないじゃないか、だからと言って僕がソファーなんてあり得ないし二人ともベッドで寝るしかないんだ」


「なんだその理由、俺はソファーで大丈夫だよ」


「ダメなものはダメなんだよ、明日の炭鉱に支障が出るかもしれないじゃないかい?」


「……確かに。」


いや、レイチェルと一つのベッドで寝る方が寝付けなくて支障が出るかもしれないが。


「君は僕と寝るしかないんだよ」


ニヤニヤしながらベッドをポンポンと叩きこっちにおいでと言わんばかりのモーションをしている。


「そこまで言うのなら仕方がない、お泊りが初めてで友達と一緒に寝るのも初めてなウキウキしてるレイチェルちゃんの為に寝てあげる」


「何なんだいその馬鹿にしてる言い方は」


まあ煽っている俺自身も万年ボッチでお泊りなんて初めてなんだがそれは言わないでおこう……ウキウキな

んてしてねーからな!?!?


「ごめんごめんそんなにプンプンしないで」


ムスッとしているレイチェルを見ると更にいじめたくなる、この子は何か才能を持ってるな。


「じゃあ寝る為に着替えようか、レイチェルパジャマ持ってる?」


「泊まるなんて急に決めたしまず僕パジャマなんて可愛い物着た事一度もない……」


女の子らしい服装に抵抗あるのか。


「じゃあちょっとでかいかもしれないけどこれ着ときなよ」


俺はこの世界に来た時に着ていた黒のロングティーシャツを渡した。


「ありがとうアヤカ!!」


バッ!!


「着替えはあっちでしてきなさい」


「ちぇ、めんどくさいなあ」


その場で一気に着替えを始めようとしていたレイチェルの腕を掴み洗面台に向かわせた。


「アヤカ―!!見て見て!!似合う!?」


おお神よ……。


見てくれこのダボダボシャツ!!太ももまで隠れるから下は下着だけでよく、生足をさらけ出し肩幅も合わ

ないので鎖骨が露になる……この服装を考えた奴は天才だ!!ビバダボダボ!!


(呼びましたか?)


(うわっ!!急に出てくんじゃねえよ!!ちょうど呼び出そうと思ってたけどもうちょっと待ってくれ!!)


(優馬さんが呼んだのに急にだなんて酷いお方ですね、それではお待ちしております)


「凄く似合ってるよ」


「この服すっごく肌心地良くて気に入っちゃった!!」


それはそうだろう、世界に誇るメイドインジャパンなのだから。


「良かったらそれあげるよ、まだ一枚残ってるし」


「本当!?ありがとう宝物にするね!!」


ここまで喜んでもらえたなら嬉しい限りだ。


「じゃあもう寝よっか」


「そうだね、じゃあおやすみレイチェル」


「うん、おやすみアヤカ」


俺は電気を消して眠りについた。


………………。


って寝れるわけねーだろ!?なんだこの生殺し!!


隣で気持ちよさそうに寝ているレイチェルを起こさないようにベッドから抜け出し煙草を手にしてベランダへ出る。


「スーッ……フゥ」


その内辞めるとノアに言ってしまったが意志の弱い俺は当分無理そうだ。


「そういや後で呼び出そうとしたあのクソ女神そろそろ呼ぶか」


「だれがクソ女神ですか」


「心の中で呼んでねえのに出てきてんじゃね―よビックリするじゃねーか」


「あんなものキャラ設定の一部なんすよね、めんどくさい」


「設定とか言うんじゃねえよ、つか本心ダダ漏れのせいで口調がアウトだぞ」


「まあまあそんな事より要件は何ですか?眠たいので手短にお願いします」


「お前いつも寝てんじゃねえか、ちゃんと仕事しろ」


「私の仕事はこの世界に送り出した人達のサポートなので連絡来なければ暇ですし、神殿内から基本的に出ちゃいけませんし」


「ニートかよ」


ん?こいつ今人達って言ったよな?俺以外にも居るのかよ。


「まあいい、お前にお願いがあるんだけど」


「クソだのお前だの私をなんだと思ってるんですか?ちゃんと敬ってください」


「なんだとって、無能クソ女神だと思ってた、そんな事よりいくら無能でもノアの今居る場所くらい分るよな?」


この手があったんだよ、どこに居るかさえ分かればこっちのもんだ。


「分かりますよ、神様へのお願いはなんでも出来ますが三回だけなのでこれを使えばあと二回になっちゃいますが大丈夫ですか?」


は?


「最初のうちにちゃんと説明しとけよ!!」


無能とか言ってすまなかった。


「で、使いますか?私にお願いしますか?しときますか?」


うぜえ、こいつに今お願いするのはプライドが……。


「三回って決まってんならもっと慎重に使うから今はやめとくよ」


「せっかくあなたの悲願しているところを……」


「用事無くなったしもうお前いいよ」


「扱いが雑すぎます!!使い終わったコンドームより雑です!!」


ナニ口走っちゃってんのこの淫乱女神。


「悪かった、また願い事が決まれば呼ぶから!!おやすみ!!」


「はい、おやすみなさい」


無理やり女神を引っ込めた俺はもう一本煙草を吸い部屋に戻る。


ベッドに入るのを躊躇したが入らないと明日何言われるか分からん。


俺はレイチェルを起こさないようにゆっくりとベッドに入る。


「寝付けなかったのかい?」


眠たいからなのかいつもの元気なレイチェルの声とは違って弱弱しく何かを包むような声がした。


「ごめん起こしちゃったね」


「大丈夫だよ、それよりアヤカから煙草の匂いがするんだけど」


そういやレイチェルは知らなかったな、俺が煙草を吸っている事。


「うん、ごめんね。臭いから着替えてくるよ」


「気にしないでいいよ、僕この匂い嫌いじゃないんだ」


「ならいいんだけど、煙草の匂い好きなんて変わってるんだね」


非喫煙者は嫌う人が多いだろうに。


「前一緒にパーティーを組んでいた人が煙草好きで慣れちゃったからね……さっ、この話はおしまいだよ!!寝よう寝よう!!おやすみアヤカ!!」


いつも通りのレイチェルに戻った……いや、少し無理をしているようにも見えたが人には知られたくないこともあるだろうし深くは聞かないまま俺はおやすみと返して眠りについた。

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