未成年?飲酒。
「そういえば何で君は冒険者になろうと思たんだい?君くらいの容姿なら何をしても生きていけるだろうになんで冒険者なんだい?」
レイチェルは俺にそんな質問をしてきた。
「昔から冒険者に憧れてたんだ」
そう、引き籠る前から俺は冒険者に憧れていた。
今思えば毎日同じ時間に起きて定年退職まで働いてのんびり暮らす、そんな先の見える人生に心底嫌気がさしていた、だからこそ毎日がハプニングだらけの冒険者、仲間たちと笑い、恐怖、興奮、仲間達との協力……他にもいろいろな事を共にして先が全く読めないこの冒険者に憧れていたんだと思う。
「私は毎日が同じだなんて嫌だし何より冒険者って狩りをして仲間と笑いあって楽しそうじゃん?」
「へえ、君は意外と好奇心旺盛な女の子なんだね、僕も理由なんてそんなもんだったよ」
俺たちの皿の上には既に運ばれてきていたお肉は無くなっていた。
「じゃあ食べた事だし次は酒場だ!!」
今更だが本当にこんな女の子にお酒なんて奢って良いのか?
まあレイチェルには二度も助けてもらった訳だしお礼ってことで神様も許してくれるだろう。
「いらっしゃいませー!!!!」
酒場に入ると大きい声で談笑している冒険者達より遥かにでかい声でお出迎えしてくれた。
「とりあえず生ビール2つで!!」
ロリッ子からこんな発言聞きたくなかった……理想を返してくれ異世界よ。
「私お酒飲めないんだけどレイチェルは強いの?」
「僕は多分あそこにいるイカツイ顔してるおっさんよりかは飲めるよ?」
レイチェルは笑顔でそう言った。
「お待たせしましたー!!」
頼んで十秒も経っていないのになんだここの店員さんは、有能な方しかいないのか?
「じゃあとりあえず乾杯!!」
俺は二口程度でジョッキを机に置きレイチェルの方を見る。
「ンッンッっぷはーーー!!最高だね!!」
おっさんかよ。
「お姉さんもう一杯!!」
本当になんなんだよこのロリッ子。
「お待たせしました!!生1つとカエルのから揚げです!!」
この店員いまカエルって言わなかったか?
「さあ、おつまみも来たことだし明日のお話をしようじゃないか」
「明日はどこに狩りに行くつもりなの?」
「明日は優秀な盗賊の僕が居るんだし炭鉱に入ろうと思ってるんだけどどうかな?」
「自分で優秀だって言ってる奴で本当に優秀な人なんて見た事ないんだけど、それより炭鉱って私みたいな駆け出しが行くところじゃないよね?」
炭鉱の適正は二十前後のプレイヤーだ、俺みたいな奴が行ったところですぐ殺されて終わるだけだ。
「だから僕が居るんじゃないかい、僕が君のサポートをするし危なくなったら助ける、やっぱり早くレベルを上げたいならリスクは逃れれないものなんじゃないかい?」
確かにレイチェルの言う通りだがこれはゲームじゃなくて俺自身の命だ、コンテニューなんかある訳ない。
「それはレイチェルに負担が掛かりすぎる」
「僕はこんな町に居るのが珍しい位のレベル、君はまだ駆け出し冒険者なんだ、おんぶにだっこでいいじゃないか」
レイチェルのレベルは見たことがないがそこまで言うのなら寄生プレイ上等じゃないか!!
「分かった、じゃあ明日からよろしく頼むよ」
「任せといてよ!!」
「それよりレイチェル、飲みすぎじゃないか?いま何杯目?」
「んー、七杯位じゃないかな?君が全然飲んでないだけじゃないのかい?」
確かに俺は最初の二口から全く飲んでいないが酒場に着てまだ三十分程度だぞ?七杯は飲みすぎだろ……。
「そういえば僕今日から君の部屋で泊まることにしたからよろしくねアヤカ!!」
!?!?
何言ってんだこいつ!!ダメに決まってんだろ!!
「何で急にそうなったんだよ!!」
「これから毎日冒険を共にするんだ、待ち合わせとか迎えに行くとかめんどくさいじゃないか」
「ダメに決まってr」
「アヤカ全然お酒飲んでないじゃん!!はい一気!!一気!!一気!!」
なんだよこの大学生ノリはと思いながらも勢いに負け飲み干し、お酒が飲めない俺はすぐに酔いが回ってしまい思考が停止してしまった。
「で、泊まって良いのかい?」
「いいよぉ~」
最初のビール以降飲んでなかったので酔いが覚めるのは早かった。
「ねえ、やっぱり泊りはマズいんじゃない?」
「宿の前まで来て何を言っているのさ、二言は無しなんだよ?」
今になってレイチェルの罠に引っかかっていたことに気が付いた。