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汚れた英雄  作者: マセノク
1/1

始まりの一日

 目の前のデスクを向かいにして男一人と女が煙草を吸いながら椅子に腰をかけている。

 茶髪で頬には訓練中に出来たと言う刃物傷が一本走っている。名はⅩと言う。

俺はⅩに対抗するように葉巻を一本吸い始めた。部屋中には煙草と葉巻の匂いで充満していく。

 しばらくして、Ⅹは煙草を灰皿に置くと後の棚からファイルを取りだして乱暴に置くと口を開いた。

 「これから、今回のミッションの説明をする」

 「俺とお前だけでか?」

 そう言って葉巻を灰皿に置く。

 「そうだ。今回はお前だけの単独潜入だ」

 「なるほど、だから俺だけなのか」

 だが、ここでふと気付いた事を口にする。

 「だが、潜入するのならスタッフやらの仕事もあるだろう」

 それもそうだ。任務と言うのは主に行動する物に他の技術者や、様々な職業の人間が手助けをしていきながら任務を遂行していくはずだ。だが・・・

 「甘い事を言うな。私は単独潜入と言っただろう?誰の手も借りず一人で潜入ぐらいして見せろ」

 つりあがった獲物を狙うライオンのような目でⅩは睨んできた。

 厳しい事を言うが本当にそうしなければならないのが今の現状だ。今は全世界は諜報戦のようになっている。

 今から三百年前、二六七四年世界はテロ組織のテロが日常のようになっていった。テロと言ってもほんの小さい程度だった。だが、日に日に激しさを増して行った。それを危機と感じた国々は、世界を五つに分けて一つの国に様々な対テロ組織を結成をした。それによりテロの回数は少しずつ減少していく中で問題が発生した。

 全世界の対テロ組織の人材、個人情報など、様々な情報がインターネット上に漏えいしていたのだ。

 情報漏えいの件で対テロ組織の中にスパイが居る事を疑った。だが、スパイは発見されず世間は情報が漏えいしている事を知り、自分達の身の危険を察しデモを起こし始めた。国家は自分たちの地位、権力を守る為に他国を疑った。それにより冷戦が始まった。

 そして今俺は、「コロバルカ」と言う国の対テロ組織の小部隊「ハンター」に入っている。

 このハンターと言われる部隊は潜入はもちろん、暗殺、視察などの任務を主に任される。ここに配属された隊員は必ず暗号名を命名される。

 「で、今回のミッションはなんだ?」

 今、こうしている間にもイライラは溜まり貧乏ゆすりをはじめる。

 これまで任された任務はどれもやりがいも無く、ただの街の見回りなど誰でも出来るような任務ばかりだった。また、くだらない任務なら自分から任務を放棄していただろう。だが、今回は違った。

 「この事件を知っているか?」

 そう言ってファイルを開いておとといの新聞の切り抜きを見せられる。

 「知ってるも何も大事件じゃないか」

 おととい、兵器の開発者であるミネルバ・ルイ博士がテロ組織に誘拐された事件だ。

 ミネルバ・ルイ博士は最新の技術をつかい、戦車や戦闘機などの開発、機動性をあげるメンテナンスなどをしている。

 「この博士の救出が今回のミッションだ」

 そう言うとポケットからタブレットを取りだすと、タブレットからは3D化した建物が映し出された。

 「今回のミッションである建物の3Dだ」

 少し自分が期待している事が分かった。心臓は少しずつ鼓動は早くなっていたからだ。

 「百年ほど前に兵器の開発をしていた工場だ。今では兵器のゴミ箱になっているがな」

 「どこにある」

 声が少し弾んでいたが、自分の顔の表情だけはなんとか崩さない事が出来た。

 俺が少し期待をしている事が分かったのだろう。Ⅹはため息をひとつして説明を続ける。

 「ここから三百キロほど離れている。バグルカの海沿いの所だ」

 バグルカは無法地帯のテロ組織が集まっていると噂されている場所の一つだ。元々国家が核兵器の実験場としていて今でも立ち入り禁止区域に指定されている。

 「そんな所に博士が?」

 「あぁ、警察がマークしていた人物が博士を誘拐したグループの一人だったらしい。捕まえて尋問したところ簡単に何でも吐いたそうだ」

 「出来すぎた話しだな」

 灰皿から自分が置いた葉巻をとって一服する。

 「全くだ」

 アイツも灰皿から煙草を取り、息をするように煙草を吸っていた。それほど今、危機的状況なのだろう。

 今この世で信じられるものは誰ひとりいないのだ。

 

 

 

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