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「ははは。何だよーー」
聞き覚えの声が聞こえた。でも視界は真っ暗でどういう状態なんだ・・・・・・。はっ!!
慌てて起きたら目の前には先生もクラスの生徒もいなくて、横の席にいつものメンバーだけがいた。
「隆、起きたか。 人に寝坊するなとか言っといて、自分だってかなりのお寝坊さんじゃないかよ!!情報処理の授業最後まで寝るなんて中々の逸材だぞ」
「ははは。優太に言われちゃって、隆も疲れてたんだな。そういう日もあるから大丈夫だよ」
「悪い、ずっと寝てた。賢、また今度、今日の授業内容教えて」
「おいおいおいおい、賢じゃなくて俺にも聞いてくれよぉ」
「ははははは。隆には俺が教えるよ。優太、今日新作の発売日何だろ?」
「あ、そうだよ!!あの時代劇マンガの実写映画の続編の発売日!!早く家に帰って40インチのテレビで見なくちゃ!!」
「じゃあ帰るか。俺もこれからサークルだし」
俺たちは静まった講義の後の教室を出た。階段を降りて門まで向かう途中にある事をふと思いだした。イヤホンがない。多分、眠ってしまう前にイヤホンを取り出して、講義の始まる前、パソコンに挿して音楽を聞いていたんだ・・・・・・。
イヤホンはかなりの安物で、別にあのイヤホンに拘る必要はないのだが、この大学生活においてイヤホンがない生活というのも俺にとっては少し息苦しさを感じる。アンジャッシュの講義とも碌に戦えない。
「悪い、忘れものした・・・・・・」
「え、教室に?」
「恐らくね」
「じゃあ俺門で待ってようか?」
「いや、大丈夫だよ。二人とも今日はこの後予定あるみたいだし。先に行っててよ」
「わかったよ。じゃあまた明日な!!」
「おう。また明日!!」
早歩きで教室に向かい、直ぐに見つけて帰ることにした。俺も予定という予定は無いものの、家には直ぐに帰りたいタイプだ。