表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天変地異〜Jealous fear〜  作者: 松竹梅 蒼
2/7

2

 さすがに全ての講義の中でイヤホンを付けているわけではない。うちの大学のアンジャッシュこと、経営管理論の鈴木のくだらない講義だけだ。鈴木はアンジャッシュの児島に顔が似ていて、小さいことですぐに怒る。しかも、鈴木はこの講義の他にも違う曜日の四限に総合政策学を教えており、俺はその講義も履修している。いくら、単位が取りやすく、経営学部の二年生の必須科目とは言え、あの顔は俺にとってはしつこくて、せめて相方の渡部なら勉強以外にもグルメの話も取り入れて、和む話の一つや二つ出来ると思う。


 「おーい、隆!!」

 教室の扉から俺の名前を呼んだのは、寝坊してこの講義に出席しなかった友達の西条 優太さいじょうゆうただった。

 「今日出席とってないよな?」

 「いつもとってないだろ。そんなことより寝坊し過ぎ」

 「ごめんな!!賢も待ってるし、食堂行こ!!」

 そういうと俺と優太は小走りで食堂へ向かった。


 食堂に到着すると窓側の奥のテーブルに才木 さいきけんがパンを食べて俺たちのことを待っていた。

 「よう、隆、優太」

 「おっす、賢今日もよく食うなあ」

 賢は、バスケサークルに所属していて、人一倍よく食べる。今日も俺たちが来る前にうどんとミニご飯のセットを食べていたことが、隣に置いてある丼とお茶碗を見ればわかる。

 「隆、この前課題見せて貰ったし、バイト代入ったから昼飯は俺おごるよ!!今日もだけど、寝坊して悪かったな」

 優太はそう言い残して、ダッシュで食堂の奥にある売店に向かった。

 「今日も部室で寝てたの?」

 「まあな。鈴木の講義は出なくても単位取れそうだし」

 賢はいつも落ち着いている。優太の活発で天真爛漫な性格とは違い、余裕な感じがある。

 だけど、弱点みたいなものがやっぱりあって、賢は野菜がほとんど食べられない。虫も触れない。お化け屋敷のある遊園地には行けない。子供みたいな一面もあるのだが、いつだって友達の事を考えてくれて、俺や優太に合わせてくれるところが好きだ・・・・・・。

 何故、このタイプのバラバラな三人が友達になったのかというと、名字がみんな「さい」から始まっていて、一年のクラスの席、並んで座った時に覚えてはいないが他愛もない話で爆笑し、意気投合してからずっと一緒にいる。三人揃って「サイトリオ」と言うと不愉快だが俺たちはいわゆるイツメンだ。

 「買ってきた!!」

 優太が慌てて帰ってきたが、売店で買ってきたものは全部パンで、中身は全てあんこや生クリーム、チョコといった甘党万歳な人が好むようなパンしか買って来なかった。

 「売り切れる嫌だったから、見ずに・・・・・・」

 「はははっはははっ。そんなの優太のことだからわかるけどさ、いくら何でもデザート系のパンしかないのは面白すぎるって!!」

 「あははは」

 賢につられて俺も笑ってしまった。優太はこういう抜けている部分があり、ムードメーカーだ。賢と同じく友達グループに一人はいなきゃいけない存在で笑わせてくれる所が俺は好きだ。

 そして、今日だって何気ないお昼のひと時を過ごす・・・・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ