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 アズバイル帝国から皇太子の正妃にとの申し込みがあったが、既に皇女には婚約者が決まっていた為、帝国には丁重に断りが入れられた。

 事前にフランタニア皇国の内情を調べ上げていたアズバイル帝国は、婚約者の存在を知ってはいたが、自分が断られるとは思ってもみなかった皇太子はこれに激怒した。

 皇太子は件の宇宙海賊討伐作戦において宇宙海賊に手を回し、皇国軍の情報を流して罠を張ると婚約者を葬る事に成功する。

 そして何食わぬ顔で、勢力を広げる宇宙海賊などの脅威の為と称して、フランタニア皇国に同盟を持ち掛けた。

 フランタニア皇国の皇都が帝国軍に占領された時、最後まで抵抗したのは近衛隊だった。

 臣民の安全と引き換えに、その身を帝国軍に委ねた皇帝から皇女を託された近衛隊は、獅子奮迅の活躍を見せた。

 敵の艦艇を乗っ取り、完全に包囲された皇都から皇女を脱出させると、追い縋る帝国軍を打ち破った。

 しかしほっとしたのも束の間、次々と追っ手を差し向ける帝国軍に、多勢に無勢の近衛隊は次第に追い詰められていく。

 このままでは、いずれ皇女がアズバイル帝国の手に落ちると考えた近衛隊は、二手に分かれて皇女をとある辺境の惑星に隠す事にした。

 この作戦は上手くいった。囮として逃げた近衛隊が最後まで抵抗して全滅すると、帝国軍は“投降を良しとせず、皇女共々自爆した”と報告し、アズバイル帝国はフランタニア皇国の血筋は全て絶えたと発表した。

 後は時を待ち、協力者を集めてフランタニア皇国の再興を謀る筈だったが、此処で誤算が起きる。

 協力者であったフランタニア皇国子爵が裏切り、捕えた近衛隊を引き渡してアズバイル帝国に臣従を許された。

 そしてこの子爵は皇女の名を騙ってフランタニア皇国再興の協力者を装い、次々と残党を捕縛してアズバイル帝国で辺境伯の地位を得ると、皇女を冷凍催眠(コールドスリープ)で眠らせて帝国には知らせず、自身の保険として隠し続けた。



「この子爵ってのがダンドーラだ。隠れ家に踏み込まれた時は、俺は特殊工兵部隊(ウチ)の隊長と資材の調達に出ていて難を逃れたが、話を聞いて血の気が引いたぜ。貴族や協力者との折衝には近衛隊の上官が当たってたんだが、まさか一番最初に協力を申し出たダンドーラが裏切るとは夢にも思わなかった」

 当時を思い出したのか、親方は手にした湯呑を割れんばかりに強く握り締める。

「それから隊長と二人で情報を探り、慎重に協力者を集めた。幸いな事に特殊工兵部隊(ウチ)の生き残りも何人か居たからな。そして姫が、皇女殿下がアズバイル帝国の手に落ちずに、冷凍催眠(コールドスリープ)で眠らされている事が分かった時は狂喜したぜ。殺してやりたいと思っていた、裏切り者のダンドーラに感謝したぐらいだ」

 そこまで言って親方は湯呑を置くと大きく息を吐いた。

「……三百年、三百年だ。いつか姫を助け出す事が出来ると信じて、ここで宇宙船修理工場(ふねや)を始めて三百年。もう仲間は殆ど居なくなっちまった」

 志半ばで散って行った仲間達を思い出した親方の目に涙が滲むが、すぐにそれを拭い去る。

「だが、やっとその機会が訪れたんだ。この間死んだダンドーラ辺境伯は不慮の事故で先代と兄貴を両方失くした為に姫の事は聞いてねぇ、ありゃ一子相伝のダンドーラ辺境伯家の秘密だったからな。更に今回のお家断絶で隠し場所の警備どころじゃなくなる、元々警備してた奴らは何を警備してんのかなんて聞いてねぇからな」

 その辺は既に調べが付いていると言った親方の目に力が戻る。

「ダズ、カキザキ。力を貸してくれるか」

「当たり前じゃないすか、俺はどこまでも親方に付いて行きますよ」

 親方の話に聞き入っていたダズが真っ先に声を上げると、柿崎が笑みを浮かべた。

「やっと親方に恩返し出来そうですね」


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