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 反撃する余裕も無いのか全速力で逃げる旗艦に、追い縋る宇宙海賊はここぞとばかりに総攻撃をかけている。

「今からじゃ間に合わないかもしれないが、宇宙海賊を放っておく訳にもいかねぇな」

「追いますか」

 面倒くせぇなと呟く親方に、柿崎が問い掛ける。

「ミワ、旗艦に援護するから適当な所でこっちに向かえって言っとけ」

 やる気のない親方の指示に、無言で頷くミワ。

「カキザキ、取り敢えず援護に向かってくれ。どのみち宇宙海賊は退治しとかなきゃならねぇからな、この機会に片付けちまおう。今のお前なら大丈夫だと思うが、下手打つんじゃねぇぞ」

「了解、旗艦はともかく宇宙海賊は片付けましょう」

 柿崎の身も蓋もない返事に、仕方ねぇなと頭を掻いた親方は苦笑いを浮かべた、

「いいんすか親方、相手は貴族ですよ」

 先程までの戦闘で青い顔をしていたダズが、少し落ち着いてきたのか恐る恐る声を上げた。

「此処で助かったところで、どのみちダンドーラ辺境伯はもう終わりだ。諸侯軍の殆どを失った挙句に徴集した民間船見捨てて逃げたんだからな。これで逃げ帰っても中央政府が手ぐすね引いて待ってる事だろうよ」

 余程ダンドーラ辺境伯の事を腹に据えかねていたのか、親方の辛辣な言葉が続く。

「大体軍才の欠片も無い癖に軍の指揮なんか取ってんのがいけねぇんだ。最初の討伐の時に全て参謀長に任せときゃもうとっくに終わってたんだよ。てめぇが死ぬのは勝手だが、周りまで巻き込むんじゃねぇ。馬鹿野郎が」

 吐き捨てる様な親方の言葉が艦橋に響く。

「まぁ貴族なんざどうでもいいが、今回は民間船に被害が出なかった事が不幸中の幸いだな」

 自分を落ち着けるようにそう呟いた親方は、自分の頬を両手で一つ叩き、よしと一声上げると顔を上げた。

 


 逃げる旗艦は追い縋る宇宙海賊の攻撃を躱しきれず、次々と被弾してはエネルギーシールドを削られていく。

 柿崎達も全速力で追いかけてはいたが、同じように全速力で逃げる旗艦に中々追いつけないでいた。

「旗艦より通信“転進は出来ない。早く敵を殲滅せよ”以上です。社長、旗艦は進路を変えるつもりは無いようですね」

「まったく何処まで馬鹿なんだ、宇宙海賊(あいて)速力(あし)が変わんねぇのに逃げ切れる訳ねぇだろうが」

「こっちもこれ以上は無理ですね。追いつくまでにはもう少し掛かりそうです」

 毒づく親方に柿崎が声を上げる。

「旗艦に直撃弾、シールドブレイクです」

 ミワの声に一瞬艦橋が静まりかえる。

「旗艦はもう駄目だ。カキザキ、一気に決めるぞ」

 舌打ちと共に親方が叫ぶ。

「了解」

 操縦桿を握り直した柿崎は、フットペダルを底まで踏み込んでいた右足に更に力を込める。

「旗艦撃沈」

 無表情なミワの声が艦橋に響くと、親方は表情一つ変えずにメインモニターに映る宇宙海賊を睨みつけた。

「逃げるなよ。こっちは一隻なんだからな」

「宇宙海賊反転、こちらに向かっています」

 メインモニターにはこちらに向かう光点が二つ。

「よっしゃ、食いついた。カキザキ、最後の仕上げだ」

 メインモニターを見上げた親方が拳を握ると声を上げた。


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