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「旗艦より通信”裏切り者を許すな。大至急敵を殲滅せよ”以上です。社長、旗艦司令部は未だ混乱していてまともな判断は出来ない様です」
若干の呆れを含むミワの声に親方は舌打ちをする。
「ダンドーラ辺境伯は頭に血が上り過ぎだ。ミワ、六番艦と七番艦に無理するなって言っとけ。カキザキ、残りはウチで片付けるぞ、まずは戦闘艦からだ」
「了解」
親方の声に悲鳴を上げたダズを無視した柿崎は、混迷を続ける戦場に舵を切った。
四番艦を攻撃し続ける宇宙海賊の戦闘艦は二隻、三番艦が撃沈した後に一隻の戦闘艦が裏切った五番艦の援護に回り、同時に旗艦を攻撃している。
やるじゃねぇかと思わず親方が呟くが、敵ながら見事な用兵と言うよりはダンドーラ辺境伯の用兵がそれ程稚拙なのだろう。
「四番艦に直撃弾、シールドブレイクです」
ミワの報告に、間に合わなかったかと柿崎はぎりりと歯を食いしばる。
「宇宙海賊の間に滑り込みます」
「よっしゃ、いけカキザキ。後は任せろ」
四番艦を攻撃していた二隻の戦闘艦の背後に回った柿崎の声に、親方が背中を押すように声を掛けた。
「四番艦撃沈」
無情なミワの声に親方が再度舌打ちをする。
背後に回られた事に反応した宇宙海賊は四番艦を撃沈した事でその攻撃を此方に集中させてくるが、柿崎は意にも介さず全てのレーザービームを躱していく。
自分たちの攻撃が当たらない事に業を煮やした宇宙海賊が回頭しようとするが、その隙に柿崎は宇宙船を二隻の戦闘艦の下方に潜り込ませるとそのまま二隻の間を通り抜ける。
「くたばりやがれ」
親方の咆哮が艦橋に響くと少し遅れて衝撃波が宇宙船を襲う。
「敵戦闘艦二隻の撃沈を確認」
「あと二隻」
ミワの戦果報告に頷いた柿崎は、宇宙船を反転させると旗艦を攻撃している残りの宇宙海賊へと向かった。
「旗艦反転、戦線離脱していきます」
「なんだと」
ミワの声に驚いた親方はメインモニターで離脱していく旗艦を確認すると、座席を蹴飛ばして怒声を上げる。
「何考えてんだ馬鹿野郎、旗艦が逃げてどうすんだ」
「六番艦、七番艦もそれぞれ反転離脱、宇宙海賊は離脱していく旗艦を追撃しています」
旗艦の離脱により民間船である六番艦と七番艦は見捨てられたと思ったのか、それぞれ別方向に逃げていく。
その様子を見た親方は一気に力が抜けたのか、シートに深く身を沈めると大きなため息をついた。
「まぁ民間船だからな。何も言わずに旗艦に見捨てられちゃ、そりゃ逃げるわな」
先程までの怒りも何処へやら、呆れた果てた親方が苦笑いを浮かべる。
「親方、どうしましょう」
突然の事態に思わず旗艦を追う事を止めた柿崎が振り返った。
「ミワ、旗艦から何か指示はあったか」
「何もありません。旗艦は相当混乱しているようです。先程からまともに取り合ってもらえていません」
最早何の感情も無くなったミワの声が静かに艦橋に響いた。
「もういいんじゃねぇか、仲間見捨てて逃げるような奴なんか放っとけ」




