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「宇宙海賊の討伐失敗ぐらいで取り潰しなんて有るんすか」

「前回の討伐前に、有力貴族相手に自分を売り込もうって色々と画策していたらしいからな“ダンドーラ辺境伯家に不穏な動き有り”って中央政府に睨まれてるそうだ」

「そんなの自業自得じゃないすか。下手打った貴族の尻拭いの為に民間徴集なんてされちゃたまったもんじゃないすよ」

 憮然としたダズが言葉を吐き捨てる。

「ダントーラ辺境伯にしてみりゃ民間の事なんぞに構ってられねぇんだろう、なにせ今度は失敗出来ねぇんだ。最低でも惑星ザイラークに巣食う宇宙海賊は殲滅出来なきゃ未来は無ぇ。失敗すりゃ没落まっしぐらだからな」

 親方は鼻で笑うと、

「ウチは宇宙海賊の討伐経験が有るからまだ分からんではないがな。中には戦闘経験もないのに武装商用船っていうだけで徴集される所も有るみたいだぜ」

 酷ぇ話だとお茶を啜る。

「ミワ、今回はお前にも出てもらう。オペレーターがダズじゃ頼りなさ過ぎる」

「私はただの事務員なんですけど」

 膨れるミワに親方は笑って言った。

「危険手当も付けるからよ、頼んだぜ」



『勇敢なる義勇兵諸君、よくぞ集まってくれた。下賤な宇宙海賊共の卑劣な罠により精強なる我がダンドーラ辺境伯軍は痛手を負った、しかし我らはこのダンドーラ辺境伯領を守る為に再び立ち上がったのだ。今度こそ、このダンドーラ星系に巣食う宇宙海賊を必ずや殲滅してくれる。諸君の健闘を期待する』

 メインモニターに大きく映し出されたダンドーラ辺境伯は、一頻り演説を終えると満足そうに微笑んで通信を切った。

 ダンドーラ辺境伯軍の戦闘艦が四隻、民間からは武装商用船が四隻徴集され、総勢八隻の艦隊は惑星ザイラークを目指していた。

「さて、何処から突っ込んだらいいんすかね」

 何も移さなくなったモニターを見つめながらダズが溜息をつくと、

「何時から僕達義勇兵になったんだろうね」

 柿崎が苦笑いを浮かべる。

「ダンドーラ辺境伯の頭の中にはお花畑が広がっているのですか」

 眼鏡を拭きながら毒づくミワに親方が笑い掛ける。

「まぁそう言ってやるな、自ら出陣出来ただけでも大したもんだ。それに宇宙海賊にはダンドーラ辺境伯軍が主戦力になるんだ。俺達“義勇兵”は予備戦力って事だしな。もっとも旗艦は一番後ろでぬくぬくしてるんだろうけどよ」

「ところでミワさん、前から気になってたんすけど、なんで眼鏡を掛けてるんすか。近視なら水晶体の屈折矯正手術で治りますよね」

「ダズさん、これは調光レンズなんです。紫外線カットは勿論ですけど、光量に応じて色を濃くする事が出来るのです。予め設定しておけば瞬時に反応してくれるので、戦闘時の対閃光防御等に役立ちますよ」

 ミワは微笑みながらダズに答える。

「なるほど……ってミワさん、戦闘経験有るんすか」

 驚いて大声を上げたダズに親方が怒鳴り返す。

「うるせぇダズ、てめぇよりよっぽど頼りになるって言っただろうが」


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