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突如艦橋に警告音が鳴り響く。
「十二時方向にレーダー反応有、急速接近中。識別コード確認不能」
「来たか」
ダンドーラ辺境伯はメインモニターを凝視する。
「総員、戦闘準備、配置につけ」
「レーダー解析完了、艦影三、戦闘艦はニ、残り一隻は武装商用船と思われます」
「降伏勧告を出せ」
「武器管制システム、無人戦闘管制システム共に起動」
「エネルギーシールド展開完了」
「第一から第三甲板までカタパルト準備完了、無人戦闘機発進準備完了」
俄かに動き始めた艦橋に指示が飛び交い、各戦闘艦からも通信が相次ぐ中に突然叫び声が上がる。
「敵艦が撃ってきました」
幾筋ものレーザービームが艦隊を襲う中、一筋のレーザービームが旗艦である戦闘空母に届いた。
シールドに着弾したレーザービームが弾けて閃光を放つと、艦橋に悲鳴が上がる。
諸侯軍として軍籍に身を置いてはいるものの、ダンドーラ辺境伯は勿論のこと、殆どの将兵は実戦など経験したことがなかった。
宇宙海賊の予告無しの攻撃で艦橋には怒号が飛び交い、将兵は皆慌てふためく。
「狼狽えるな、それでも誇り高いダンドーラ辺境伯軍の精鋭か」
浮き立つ艦橋に、唯一帝国軍で軍務経験のある参謀長が声を張り上げた。
「敵は三隻、こちらの方が戦力は多いのだ、負ける筈はない。」
参謀長はそう言って振り返るとダンドーラ辺境伯に頭を下げた。
「閣下、ご指示を」
参謀長の言葉で我に返ったダンドーラ辺境伯は、先程の醜態を誤魔化すように勢いよく立ち上がるとメインモニターを指差した。
「礼儀を知らぬ不埒者め、目に物見せてくれる。全艦に告ぐ、全速前進せよ。宇宙海賊共を叩き潰すのだ。我に続け」
武装商用船を先頭に魚鱗の陣形を取る宇宙海賊に対して、ダンドーラ辺境伯軍は旗艦である戦闘空母を中心に、四隻の戦闘艦を横一列の横陣に展開して宇宙海賊へと迫る。
「全艦一斉掃射だ、撃て」
ダンドール辺境伯が叫ぶように指示を出すと、五隻から一斉に放たれるレーザービームが敵艦のシールドを削っていく。
対する宇宙海賊は、中央の戦闘空母にレーザービームを集中させてくる。
相互に撃ち合うレーザービームが互いのシールドに着弾する度に、漆黒の宇宙空間に眩い閃光が走る。
「手を緩めるな、撃って撃って撃ちまくれ」
メインモニターに向かって、最早指示とも言えない叫び声を上げるダンドーラ辺境伯。
「敵艦に直撃弾、敵武装商用船がシールドブレイクです」
オペレーターの声で艦橋に歓声が上がる。
「敵艦隊が速度を上げました」
続けて報告されたオペレーターの声を受けて、参謀長がダンドーラ辺境伯に進言する。
「閣下、こちらもシールド残量が少なくなっております。ここは本艦を後方に下げては如何でしょう」
喜色を露わにしていたダンドーラ辺境伯は、慌てて咳払いをすると指揮官席に座り直した。
「そうだな、ここで無理をする事もあるまい。本艦を後方に下げよ」




