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「宇宙海賊如きが調子に乗るなよ」
親方はパネルを操作して四門ある対艦レーザー砲を全門発射すると、着弾したレーザービームが敵艦のシールドを削っていく。
先程から何度となく繰り返されている光景だが、敵艦のシールドは堅くまだまだ削り切るには至らない。
「やっぱり遠距離攻撃じゃ埒が明かねぇな」
舌打ちと共に親方は呟くが、目の前で必死に操船し続ける柿崎を見て思わず頬が緩む。
いくら遠距離だからと言って、オートパイロットシステムに頼らず、ここまで敵の攻撃を躱し続けているその技量は並ではない。
現に今も敵艦から続けざまに撃ち出されているレーザービームを次々と躱していく。
「やるじゃねぇかカキザキ、とても初心者とは思えねぇぜ」
「まだ死にたくありませんからね」
「なんだ、余裕があるじゃねぇか」
「結構一杯一杯なんですけどね」
親方の言葉にそう返しながらも柿崎は宇宙船を操り、次々とレーザービームを躱して敵艦との距離を縮めていく。
「ちょっと揺れますよ」
柿崎は更に速度を上げた。
「左舷、来るぞ」
躱しきれないと悟った柿崎はフットペダルを蹴飛ばす様に踏み込むと、次弾回避の為に船体を急加速させる。
同時に船体を襲った衝撃に舌打ちすると、“18%”と表示されたエネルギーシールドの残量を確認する。
敵艦との距離が縮まった事で、敵の攻撃は主砲だけでなく副砲まで混じり始めた。
こちらの攻撃も敵のエネルギーシールドを削ってはいるのだが、いくら改造しているとはいえ、商用船と純粋な戦闘艦とでは元々のシールドの“堅さ”が違う。
更に敵艦を肉眼で確認できる距離にまで接近すれば、流石に全てのレーザービームを回避する事は出来ない。
それでも懸命に敵艦の集中砲火を掻い潜る柿崎に親方の声が飛ぶ。
「カキザキ、あとどれくらい耐えられる」
「もって三発です」
「上出来だ。下から回れ、向こうの武装は船体上部に集中してる」
「了解」
親方の言葉に反応した柿崎は、即座に宇宙船を敵艦の下方に向ける。
此方の動きに対応しようと敵艦が艦首を下げるが、柿崎はブースターを全開にして更に敵艦との距離を縮めると、宇宙船を急旋回させて敵艦の下方に潜り込む。
「よっしゃ」
背後で聞こえた親方の声と同時に、柿崎は再度宇宙船を急旋回させると敵艦の間に滑り込んだ。
「喰らいやがれ」
対空速射レーザー砲で弾幕を張りながら、親方が叫び声と共にすれ違いざま左右の敵艦にありったけの実弾砲撃を叩き込む。
着弾を確認する間も無く敵艦の間をすり抜けると、追い掛けてきた衝撃波が船体を揺らす。
「やった」
爆発に包まれる敵艦をメインモニターで見ながらダズが歓声を上げた。




