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「ニ時方向にレーダー反応有、識別コード確認出来ません」
慌てて振り返ってモニターを確認したダズの声を、親方の鋭い声が制した。
「ダズ、帝国の共通帯域で所属の確認申請と警告を出せ。戦闘準備だカキザキ、シールド展開も忘れんな」
「所属不明艦から返答なし。レーダー解析完了、艦影二、いずれも戦闘艦」
「武器管制システム起動、エネルギーシールド展開完了」
「所属不明艦急速接近中、間もなく射程に入ります」
「ダズ、最終警告だ。カキザキ、武器管制システムはこっちに回してお前は操縦に専念しろ」
矢継ぎ早に出される指示に緊張感が高まっていく。
「親方、降伏勧告きました。奴ら宇宙海賊です」
最終警告を出した後、モニターを凝視していたダズが叫ぶ。
「上等じゃねぇか、誰に喧嘩売ってんのか教えてやるぜ」
武器管制システムを制御下に置いた親方は、獰猛な笑みを浮かべる。
「撃ってきました」
メインモニターに映る宇宙海賊の戦闘艦から幾筋もの光が放たれる。
「うるせぇダズ、あんな適当な攻撃が当たるもんかよ。てめぇは黙って周囲の警戒でもしてろ」
ダズの叫び声を一蹴した親方は、続けて柿崎に指示を飛ばす。
「カキザキ、奴らの間につけろ」
「そんな無茶な」
親方の指示に柿崎が思わず叫ぶ。
「無茶でも何でもやれ、死にたくねぇだろ」
「そりゃそうですけど」
「大丈夫だ、奴らの間に潜り込んだら後は俺に任せろ」
「潜り込むまでが問題なんですよ」
自信満々の親方の言葉に柿崎は反論する。
「心配するな、お前の”感覚”なら大丈夫だ」
「その自信はどこから来るんですか」
「俺を誰だと思ってるんだ。この一年余り、伊達にお前を見てきた訳じゃねぇんだよ」
「何を見たらそういう結論になるのか分かりません」
尚も渋る柿崎に親方が畳み掛ける。
「あの程度のレーザービームなんざ少々当たったところで沈みゃしねぇ」
「責任取れませんよ」
「責任は俺が取る。いけるな」
もうどうにでもなれと半ば開き直った柿崎は、
「分かりましたよ。そこまで言うならいけるという事にしときましょうか」
気合を入れて返事を返すと、通り過ぎるレーザービームを横目にブースターを全開にした。
柿崎は絶え間なく放たれるレーザービームを躱しながら、不思議な感覚に囚われていた。
平和な日本で生まれ育った柿崎には当然初めての戦闘であり、明確な敵意を持った攻撃に身の竦む思いはある。
恐怖感が無い訳ではない、実際に怖くて仕方がない。
だが、体が動く。全ての感覚が研ぎ澄まされていく。
レースの時に似ているなと、存外に冷静な自分に少々驚きながらも柿崎は操縦桿を握り直した。




