第6話 風呂上がりの距離感
風呂から出ると、凪葉は大きなバスタオルをふわりと体に巻きつけた。
濡れた髪が肩に張り付き、バスタオル越しでも、その柔らかな輪郭がはっきりとわかる。
「はぁ……お風呂、あったかかったね……」
「だな……」
凪葉が小さく息を吐く。頬はほんのり赤く、湯上がりの温かさと昨夜の余韻が、静かに胸を満たす。
「──ねぇ、ベッド行こ」
その目が笑っている。無邪気で、でもどこか甘く、胸の奥にじんわり染み込むような色気を帯びている。
ベッドに腰を下ろすと、凪葉も隣に座った。
バスタオルの布越しに触れる肩は柔らかく、温かい。自然と体が近づき、二人の視線が交わる。
「……凪葉」
「遥斗……」
バスタオルをはずした凪葉。
互いに小さく息を吸い込み、お互い自然と抱き合う。
唇が重なれば、柔らかなキスが交わされ、胸の奥がざわつく。
時間は止まったようで、心臓の鼓動だけが鮮明に響く。
◇◇◇
「……あたしたち、付き合ってもないのに、こんなことして……やっぱり変かな?」
ひと通り交わり終え、一息ついた俺たち。
凪葉がそう、小さくつぶやいた。
その隣で、俺は肩越しに手を握り返す。言葉はなくても、体温が伝わる。互いの心が、柔らかく、静かに重なる。
「……お互いが問題なければ、それでいいんじゃないか」
小さく返す声と、体温のぬくもり。言葉にできない気持ちが、胸にじんわり広がる。
窓の外から夜風の音が届き、部屋の静けさと甘い沈黙が、二人を包む。
凪葉はそっと距離を取り、タオルをぎゅっと抱き直す。俺も軽く息を整え、肩の力を抜いた。
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「……ねぇ、遥斗、アルバム見ようよ?」
凪葉が裸の胸を揺らして立ち上がると、小さく笑いながら、机の上にあったアルバムを手に取る。
古い写真アルバムを開く──。
幼い頃の二人の姿が並び、思わず微笑む。
「……凪葉、こんなに小さかったんだな」
「ね……遥斗も、変わったよね……今はこんなに……大きいのに」
俺の固くなったものを小さな手で、ギュッと握ってくる。
「……うるさい」
写真をめくるたび、言葉は少なくても互いの成長や距離感を自然に確かめ合う。
小さな思い出がよみがえり、今ここにいる二人の時間と重なっていく。体はくっついていなくても、手の先から、視線から、温もりが伝わる。
「……これからも、一緒だよね」
凪葉が小さくつぶやく。目を見上げるその瞳に、迷いはない。
俺もゆっくりと頷く。
「もちろんだ」
アルバムの中の笑顔と、今の二人の距離感。
心地よい余韻が、夜の部屋をそっと満たしていく。




