第3話 幼馴染の嫉妬
授業の合間の昼下がり。
俺たちは、図書室の自習席でノートを開いていた。
隣には凪葉。彼女の夜の顔がまだ頭から離れず、つい視線を向けてしまう。
(……凪葉、してる時の顔、めちゃくちゃ可愛いよな……)
普段の姿からは想像できない、ベッドの上での甘い表情――。
思い出すだけで心臓が締めつけられる。
凪葉はノートに書き込みながらも、時折こちらをチラリと見る。
目が合うたびに胸の奥がざわつく。
「俺、飲み物買ってくる」
「うん。いってらっしゃい」
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「遥斗くん、ちょっといい?」
図書室を出たところ。
振り向くと、同じクラスの山田美咲が立っていた。
美咲とは、凪葉も含めて、小学生のころからの付き合いだ。
美咲は、制服の上に薄手のカーディガンを羽織っていた。美咲も、凪葉に負けず胸は大きい。
腕を組むと、大きな胸が強調される。
「……凪葉と何かあった?」
「いや……別に、何も……」
どうやら俺と凪葉の関係の変化に、敏感になっているらしい。
言葉を濁す俺に、美咲はじっと目を見開き、真剣な声で言う。
「嘘つき。凪葉、明らかに様子おかしかったし」
「…………」
「凪葉、おととい遥斗くんの部屋でゲームするって楽しそうに話してたのに、翌日からふわふわしちゃってるんだもん……」
おととい。
──俺と凪葉の初体験の夜。
「……凪葉にヘンなことしたんじゃないでしょうね?」
「す、するわけないだろ……」
「ま、そーか……そんな度胸ないだろうし……」
「あ、当たり前だろ……」
(ホントのことは言えないな……)
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図書室に戻る。
凪葉は俺をちらりと見上げ、俺はノートに書き込むフリをしながら、そっと視線を逸らす。
(見ないようにしても、目が合う……)
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その日の夕方、帰り道。
凪葉と二人で歩く時間。
「……ねえ、遥斗」
凪葉が小さな声で呼ぶ。
振り向くと、ポニーテールが揺れ、いつもより少し緊張した表情をしている。
「ん?」
「その……さっき、美咲と一緒にいるの、見ちゃったんだ」
言葉に一瞬、胸がざわつく。
俺が美咲と少し話していた場面を凪葉は見ていたらしい。
「そ、そうか……別に、なんでもないぞ?」
「でも……なんか、嫉妬しちゃった」
ぽつりと零れる凪葉の声。
赤くなった頬、ぎゅっと握りしめた手。
その姿に、俺の胸はぎゅっと締めつけられる。
「凪葉……」
俺は歩くスピードを少し落とし、そっと彼女の肩に手を添える。
凪葉は顔を伏せたまま、小さくため息をついた。
「ごめん……付き合ってるわけでもないのに、あたし、ヘンだよね」
「いや、ヘンじゃない。むしろ……俺も凪葉のこと考えすぎてる」
互いに視線を合わせられず、でも手は自然に重なる。
少しの沈黙のあと、凪葉が顔を上げ、じっと俺を見つめる。
「でも……やっぱり、嫉妬しちゃうんだもん」
小さな声で、けれど確かに言う。
昨日の夜の距離感と重なり、胸が熱くなる。
「……わかった。凪葉のこと、大事にする」
誓うように言うと、凪葉は一瞬だけ微笑み、顔を赤らめて俯いた。
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その夜、また凪葉とゲームをする約束をしていた。
部屋で再び向かい合う。
昨日と同じ距離、でも今度は嫉妬や照れが混ざった、少し新しい空気。
「……遥斗、今日も一緒にいる?」
凪葉が手を伸ばし、俺の手を握る。
その瞬間、全てが昨日より確かに近い。
「もちろんだよ」
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「あっ、あっ……!」
ベッドの上。
揺れる凪葉の胸。
俺のモノで凪葉の中を貫くたび、彼女が喘ぎを上げる。
「凪葉の中……キツっ……!」
「あ、あ……あたし、イっちゃう……っ!」
「お、俺も……!」
──もうゲームなんてただの口実だ。
俺たちの間は、ゲーム以上の快楽で満たされていた。




