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美人エルフは宇宙人?! 『せっかく異世界に転生したのに「魔法なんてない」と言われても、納得いくわけないだろう!』  作者: なつきコイン


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3. 家族

 村の外れの丘の上にある、小さな一軒家、それが俺の住む家だ。正確には、農夫の父ガイとその妻マヤ、妹シルバニヤと弟グレイ、それに俺の五人で住んでいるわけだが、家族の中での、俺の立ち位置は少々微妙である。

 それというのも、父の妻マヤさんは俺の本当の母親ではない。端的にいえばマヤさんは後妻、俺の継母になる。ちなみに、妹と弟は父とマヤさんの実子で、俺とも半分血が繋がっている。

 俺とマヤさんは本当の母子ではない。だからといって、仲が悪いということはまったくない。しかし、問題がない、というわけでもないのであった。


「ただいま」

「おかえり。ん? アッシュじゃないか。教会に行ってたんじゃなかったのか?」

 俺が家に辿り着き、玄関の扉を開けると、そこには、ちょうど父のガイがいた。


「ああ、教会でちょっとあって……」

「どうしたんだ?」

「父さん、この世界には魔法はないのか?」

「ん! 魔法か……」

 心配そうに様子を訊ねてきた父だったが、俺の質問に一瞬言葉を詰まらせた。それでも、考えをまとめて答えを返してくれた。


「アッシュ、有ることを証明するのは実物を見せれば簡単にできるが、無いことを証明するのは大変難しいことなんだ。世間では魔法はないと言われているが、本当にないのかは誰にもわからない」

 まあ、うまく煙に巻かれた感があるが、それでも、全く否定されなかったのはありがたい。

「そうだよな。誰にも知られてないだけかもしれないよな」


「あら、アッシュちゃん、いつ戻ったの」

 父と話しているところに、家の奥からマヤさんが現れた。


「ただいまマヤさん、今帰ったとこだよ。それじゃあ、父さん、俺部屋に行くから」

「おう」

「あっ、ちょっと待って、帰りのハグがまだよ」

 あと一息のところで、俺はマヤさんに腕を掴まれ、そのまま抱きしめられてしまった。

「ちょっと、マヤさん」

 俺はマヤさんの抱擁から抜け出そうとするが、小柄な女性のマヤさんでも成人である。子どもの俺を逃してはくれない。それどころか「アッシュちゃんは、可愛いわね」と言って頬擦りしてくるのだ。


「外から帰ってきて、喉が渇いているでしょ、オッパイ飲む? それとも、一緒にお風呂に入って外の埃を落とす? それより、疲れてるなら抱っこしてあげるからお昼寝する?」

 完全に赤ん坊扱いなのだが、見方によっては、食事にする、お風呂にする、それとも私にするって、新妻のお迎えじゃないか。というか、出だしからそれより過激だよ。

「いや、そういうのは、いいから早く離してよ」

 でないと……。


「アッシュ! 少しマヤとスキンシップが過ぎるんじゃないか?」

 ほらきた。

 マヤさんが俺に触れると、いつも父は嫉妬して怒ってくる。

 父とマヤさんの歳の差が十三歳、それに対して、俺とマヤさんの歳の差は十二歳しかない。しかも、本当の母子ではないのだから、父が嫉妬したくなるのもわからなくもないのだが……。


 俺の実母は、俺を生んですぐにこの世を去ったそうだ。そのため、父一人で俺を育てようとしたが、それは大変だろうと母の姉、俺からみれば叔母さんが気をきかせて、自分の娘を子守に寄越してくれたのだ。その娘さんが当時十二歳のマヤさんだった。

 だから、俺からみてマヤさんは従姉妹にあたる。父からみれば義理の姪だ。父は義理の姪に手を出した不届き者なのである。

 もっとも、結婚したのは俺が四歳の時だったから、マヤさんは十六歳で、ちゃんと成人していたわけであるが、まさか叔母さんも、子守に出した娘が、そのまま嫁にいってしまうとは、思いもしなかっただろう。


 そんなわけで、俺はほぼマヤさんに育てられたといって過言ではない。マヤさんにとっては、生まれてすぐから面倒をみていた俺は、実子と変わらないのだろう。そのため、妹や弟と同じように接してくれ、距離感が少しおかしくなっている。


 ある時は、俺がいるのに、お構いなしにオッパイ丸出しで弟に授乳を始め、仕舞いには「アッシュちゃんも飲む?」と言い出す始末だ。俺が断ると「アッシュちゃんが赤ちゃんの時には、オッパイでなくてあげられなかったから……」と寂しそうな顔をしていたが、十二歳でオッパイが出ていたら、それはそれで問題だろう。

 そのうえ「自分でいくら揉んでも出なかったから、ガイに揉んでもらおうとしたんだけど……」って、それは犯罪だから。「でも、その時は断られちゃったのよね」ほ、父にも理性があったようだ。


 だが、後々考えると「その時は」ということは、その時以外は断られていないということだろう。あのエロ親父! まあ、夫婦になったのだから、好きな時に、好きなだけ、乳クリあってくれて構わないのだが、それを俺に話さないでほしいものだ。


「ガイ! 私にはアッシュも、シヤも、グレイも、三人とも同じ私たちの子供なの。ガイにとっては違うの?」

「いや、そんなことはないが……」

 もの思いにふけっているうちに、父の嫉妬を切っ掛けに始まった夫婦喧嘩は、マヤさん有利で終盤を迎えているようだ。まあ、この二人の夫婦喧嘩は、大抵マヤさんの勝利で終わるので、いつもどおりの展開だ。


「あ! そういえば、アッシュ、魔法について知りたいなら、遺跡に行ってみるのはどうだ。今日はまだ時間も早いし、今からでも行ってこい」

 敗戦色濃厚とみた父は、話題を変えて逃げ切る作戦に出たようだ。しかも、俺とマヤさんを物理的に引き離す、一石二鳥の作戦に。


「え? 魔法? 遺跡? 何のこと?」

 突然の話題転換に、マヤさんは、ついていけず右往左往しているようだ。


「遺跡か……」

 父の作戦に乗るのは癪だが、魔法について何か手がかりを得るなら、遺跡に行ってみるのもいいだろう。俺は、遺跡について考えを巡らすことにした。


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