ワクワクは抑えられない
「凄い!」
「凄いね」
「凄いわ!」
「凄いねぇ…」
いざ外に出てみるとさっきまで通ってきていたはずの道に誰1人驚きを隠せなかった。
ずっとあの集落にいたアイラは当然のこととしても、ユキ・ユイ・アヤの3人までもが驚いていた。
アイラと3人の驚きに若干の差こそあれど、それほどまでにあそこでの生活にどっぷりと慣れてきたのだろう。
現実の世界ではもはや驚くほどのことでもない景色でも、環境が少し異なるだけでこれほどまでに感じるものも変わってくるのだ。
少し…うん、少し。
「それじゃあ皆さんどこから見ていきます!?」
盛り上がりのあまりアヤの若干言い回しが変になったような気もする。
「ヒイラギもいるしみんなが目を惹かれていた通りから回っていけば良いんじゃないかな。困ったらおすすめのスポットとかも教えてくれるだろうし。ね」
気づけばユイは部屋に備え付けの椅子に座って足まで組んでいる。この男の順応性の高さというか適応力はいやはや凄いものだ。
「アイダムに初めて来た皆さんをそのまま放置するわけにもいかないですからね。それに皆さんだけで行った所で眺めるだけしかできなくなっちゃいますしね」
ここ。アイダムに来るまでの道中でもちょっと触れた、触れたというか遠ざけたというかだけど、アイダムは客観的に見てどう考えても商業が盛んな国である。そりゃあそんなものはここの宿に来るまでの道中を考えれば至極当然の話であって、あれだけの店と人通りがあって一切の商売が無いと考える方がおかしな話ではある。ただ、それを私たちは当たり前のように受け入れる事は出来るけど。出来るけどアイラにはそれを出来るだけ唐突に教えたくはない。それはあの村のルールがあるっていうのもあるけど、わざわざあの村で使われていないシステムをアイラに伝える必要が無いのが一番大きな理由。それは道中のユイとアヤの芝居を見れば2人も同じような考えだろうし、ヒイラギも態度と言葉から何となく察してくれているような気もする。だからこそ、ヒイラギに同行してもらってそれとなく濁してもらった方が今回の訪問を穏便に終えることが出来るというものだ。
「これでもそれなりに顔が利くのでね。自分を連れて行かないメリットは無いと思いますよ」
「それなら一緒に来てもらおうかねぇ。もう目が回りそうなのに地元の人がいないってなったらどうにかなりそうだったからねぇ」
これでヒイラギ含めて5人全員で観光(?)に向かうことになった。
「皆さんは初めてこの国に来ているということもあるので、何か困ったこととか気になったことがあれば、自分に言っていただければ対応いたしますので。特にアイラさんは自分に遠慮しないでガンガン頼ってくれて良いですからね」
「そうかい?そんなにしてもらって申し訳ないねぇ」
右手で後頭部をさすりながらそうヒイラギに話すアイラ。
口角を少しだけ上げていたのを私たちは見逃さなかった。




