ワクワクとドキドキ
「………。分かったわ」
自身の質問に答えてもらったアヤは少しの間を置いてそれでも何とか納得した。
「あなたがやったことに意味があるのは分かったわ。でもね、私たちは何も敵同士とかそういう関係ではないじゃない?それならこういうことはあまりやってほしくないわ。素直な気持ちで向き合うのが信頼なのだと私は思うわ」
真正面から否定はせず、それでも自分の気持ちを素直に前面に出して向き合う。あそこでもアイダムでもアヤのスタンスは変わらない。
「国の代表として来ている僕が信用を損いかねない行為をしたことは申し訳なく思っています。それでも僕の発言を信じてくれるみなさんには感謝させていただきます」
ヒイラギは深く頭を下げながら謝罪と感謝の言葉を発した。
「大丈夫よ。確かに信頼は損なうと取り戻すのは大変かもしれないけど、未来永劫失い続ける訳じゃないわ。これからは切り替えてまた新しく信頼関係を築いていきましょう!」
この切り替えの速さこそがアヤだよなぁ。
「それで?この後の予定も既に決まっているの?」
ユイも割とスパッと切り替えているようで認識についてヒイラギにこれ以上問うようなことはしなかった。
いやでもな、ユイの性格だからこの後改めて聞きそうだな。
「アイダムに来て早々に国王と話し合って頂くのも大変でしょうから、明日謁見して頂きます。従って、本日は特に予定というものは無く自由にしていただいて構いません。国賓として来てもらっている皆さんには少し失礼かもしれませんが、皆さんの外見であればこの国の中でも溶け込めると思うので、最低限の自衛さえしていただければ行動を制限するつもりもありません。念のため、私も同伴するつもりですが」
商業がここまで栄えている上に国家間の貿易が行われているとなれば、これだけ賑わうのは勿論のこと多種の交流も行われる訳で、アイラもこの国においては特異な存在でも何でもなく当たり前のようにいることが出来るし、いいとこ上京してきた地方出身程度にしか思われないだろう。
「それならこの国を見て回ってみたいわ!ここに来るまでにいくつか気になるところがあったの!」
目を輝かせてさっきまでのシリアスな雰囲気はどこにいったのかと言わんばかりにワクワクを溢れさせる。
商業がここまで盛んなこの国においてはもちろんアヤだけじゃなくて私も興味を惹かれるような店や売り物は幾つもあった。
現実の世界と比べたら特段凄いものがあるわけでもないけれど、それでもあの集落から来た側からすれば十分先進的な印象がある。
「僕も賛成。ここでは元の世界でも見たことの無いものがあったし、これだけ多種の存在が集まる場所もそう来れることがないし可能な範囲で交流してみたいしね」
「私も。ユイほど冒険は出来ないけど、アヤと同じで気になるものがあったから見てみたい。あとはせっかくここまで来たのに外に出てみないのも勿体ないかなって」
現実世界組の意見は理由こそ違うものの一致はしていた。
後はアイラの意見を聞くだけだが。
「じゃあみんなでこの国を見て回ろっか!」
私たちは笑顔のまま初めての場所に一歩。




