パクさんは日本でいじめられています
私は嫌いだけど
「お願いです!私もこのプロジェクトに参加させてください!」
パクさんはそういうが同期達はニヤニヤ笑うばかりで話を聞いてくれない。パクさんは入社してからまだ一度もプロジェクトで成功を納めていない。
どうしても実績が欲しかった。
「おめーのそばにいたくねーからやーだよーん」
「はーっ。くっせえくっせえ。誰かさんがいると部屋がくせーよ」
「おいおいここは生ゴミ捨て場じゃないぞー?誰だー?ゴミを捨てたのはー?」
『ギャーッハッハッハッ!』
「……ひどい」
差別だとパクさんは思っていた。日本は西洋にペコペコして同じアジアに対して冷たい。
(私がコリアンダだからなの?)
これだけ酷いことを言われているのに課長は何も言ってはくれない。
「そーいうことで。パクさんは今回のプロジェクトには不参加……」
「いや。参加させる」
「しゃ……社長」
(社長?)
パクさんは生の社長を初めて見た。体は大きく逞しく。頭は柔らかくも固くもある実力者。社長であり大スターであるパクさんにとっては憧れの存在である。
「……ですが社長ぉ」
「彼女をカバーするために私も参加する。不服かね?」
「いやいや部分なんていやいやいや……」
偉そうにしていた課長も他の社員達も社長を前に萎びれていた。ざまぁみろとパクさんは思った。
「さあ行こう!パクさん!私がいる!絶対に成功させるぞ!」
「はい!社長!」
・
「……合わねぇ」
人間はティッシュにパクチーをそっと吐き出した。
「やっぱ味噌汁には合わねぇ?コリアンダーって名前がかっけぇから買ってきたけど」
「いや。コリアンダーってパクチーだから。ルッコラやラディッシュやらズッキーニは西洋野菜でも味噌汁に合うけど。うーん。ともかくパクチーはさぁ無理」
「確かに野菜全部の味をパクチーがぶっ殺してるね……大根にもパクチーの匂いと味が移ってるわ」
「野菜最強の大根でもパクチーは生かせなかったか。捨てんべ」
鍋の中の味噌汁は全て台所の排水溝に捨てられてしまった。激怒した大根社長にパクさんは日本ベジタブルカンパニーをクビにされたが再就職先のベトナムで大活躍するのはまた別のお話……。
世界には好きな人がたくさんいます。マジ匂いが最強