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俺の隣の美久先生  作者: ぜよ
8/11

春人の過去

俺は、先生に思いを伝えた。


そして、昔話をした。


俺が当時、小学5年の時、道路でこけて泣いていた。そこへ一人の女性が現れた。

「君、転んでけがしたの?絆創膏張ってあげるね」

その時、今まで痛かったはずなのにそんなことは忘れて、彼女に見とれてしまった。とてもやさしい綺麗な人だった。小さいながらも、これが恋だと思った。


「名前は?」


「安田春人」


「そっか、春くんでいいかな」


そのあとは、家まで送ってくれた。この人は、どこに住んでいるのだろう。また会えるのか。


「お姉ちゃん、今度一緒に遊ぼうね」


「わかった」


それからは、学校の帰りに彼女と遊ぶようになった。とても楽しかったし、ずっとこのままでいたいと思った。彼女は、この夏、父親の転勤でこっちの高校に転入してきたとのこと。家からも近かったこともあり、毎日遊んだ。


お姉ちゃんと出会って1か月、しかし、それも長くは続かなかった。

彼女は、事情があり、東京へ戻るとのことだった。それを聞かされたのは、引っ越しの1週間前だった。


すごく落ち込んだけど、見送るときは、心配かけないように笑顔で送り出そうと思った。


引っ越し当日、彼女と一緒にいられる最後の二人の時間。


「私ね、将来、学校の先生になろうと思ってるんだ。勉強だけじゃなく、困っている子を導ける先生になりたい。もしかしたら、春くんの先生になるかもね」


「いや、俺も先生になる。そうすれば、また会えるから。そして、お姉ちゃんを俺のお嫁さんにする」


「わかった、約束ね」


「うん、俺、頑張る!」


そうして、彼女は、東京へ行ってしまった。姿が見えなくなると俺は、人生で一番泣いたと思う。

それからは勉強を頑張った。高校は、東京の進学校の和泉高校に入学した。


そして、この年の春、先生に初めて出会った時、初恋のお姉さんに似ていたんだ。


「バカみたいな話でしょ、先生と初恋の相手を重ねるなんて…」


俺は、話を終え、先生のほうに目を向けた。



先生は、涙を流していた。


「先生、どうしたんですか」


「まさか、あの時の子だったなんて…」


「先生、もしかして、あの時のお姉さんなの」


「そうだよ、春くん。私、教師になったよ」


こんな偶然があるなんて…









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