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隣の残念教師  作者: 虎元チョコ
12/18

人は、ズラがバレたらどんな反応をするのだろうか?

 投稿が、遅くなりました。

 エントランス前で、御笠川と言い合いしているのを、どれだけの生徒が見ていたのだろうか?


 教室に入るまで、かなり好奇の視線に晒された気がする。


 そして、とどめに、教室で席に着くと後ろの席の高橋に質問された。


「何、沢村って、御笠川さんと付き合ってたの?」


「あぁ、留年した時に振られたけどな。」


「でも、御笠川さん、まだ未練たらたらじゃん!」


 何故か前の席の、坂本までが会話に加わり、俺は、あんな目立つ場所で言い合いした事を反省するのだが、よくよく考えれば、御笠川が落ち着いて話せる場所を選ばなかったのが悪い、うん、俺のせいではない。

 しかし、声を掛けられ、返事して話がエスカレートしてしまった事に対しては、俺にも責任が有るのは確かだ。

 最近、留年した事や、試験の成績で目立っているので少し控えなければと思っていたにもかかわらず、無駄に目立ってしまった。


 これが留年していなければ、元々、成績はトップクラスだったので、普通に少し出来の良い人で済んだのだが、留年して学年トップの成績とか、普通に有り得ないと、クラス中の人に言われた。


 しかし、入院中、あまりに暇過ぎて、小説を読むか勉強するかしか、する事がなかった。

 その上、見舞いに来てくれる沙織姉ちゃんが、教えてくれるので、サクサク頭に入るし、沙織姉ちゃん教えるの上手過ぎる!

 妹の美月ですら、沙織姉ちゃんに勉強を見て貰って、いきなり成績がアップしている、将来は、学校の先生か有名進学塾の講師になれば間違い無しと思う。


 話が逸れてしまったが、高橋と坂本に色々、質問責めにされてるうちに、更に人が集まり収拾が着かなくなったところで、担任が入って来て、ショートホームルームが始まり、一旦は助かった。


 しかし、一度も話しをした事もない女子達までが周りを取り囲んでいたのには驚いた。

 女子って、どんだけ色恋話が好きなんだ?

 しかも誰か、どさくさに紛れ俺の尻を触った奴がいる。

 後ろの席の高橋でなければいいのだが。


 ショートホームルームの最後に担任が、


「このクラスの誰か知らないが、公衆の面前で修羅場を演じた者が居るらしいが、それも青春の1ページだが、程ほどにな!」


 と俺を見てニヤリと笑っていた。


 大きなお世話だ!


 ショートホームルームが終わり、全校生徒が体育館に集まり、校長先生の長い話を聞き終わると、教頭が壇上に上がり、3学期から、生徒相談室の先生が産休に入り、代わりのカウンセラーの先生が来てくれると、瑛里子さんを壇上に呼び紹介したのだが、その容姿を見るなり、男子生徒達は、落ち着きを失くし、女生徒達は、息を飲んだ。


 瑛里子さんが、自己紹介の為にマイクの前に立つと、教頭は静かに壇上から降り、瑛里子さんのスピーチが始まる。

 無難に自己紹介を終え、壇上から降りたところで、少し足を縺れさせて教頭の肩に手を着いた時、教頭の髪型が不自然にずれた。

 髪型が崩れたのではなく、ずれてしまったのだ、そう、土台から。

 それを見た瑛里子さんは、何事もなかったかの様に、「すいません、少し失礼します。」と笑顔で、教頭の頭に手を伸ばし、ずれた髪型を元にもどし、


「これで元の男前ですね。」


 と舌を出していた。

 その光景を見た教師陣は、教頭から目を反らし肩を震わせ笑いを堪えている。

 生徒の中には、既に声を上げて笑い出す者も数多くいたので、慌てた生活指導の教師が、マイクを手に、


「皆さん静粛に!」


 と叫ぶも、真っ赤な顔をした教頭の隣で、後を向き、盛大に笑っている校長先生が、一番声を上げているので、生徒達も、お構い無しで爆笑しはじめた。

 ハッキリ言ってカオスである。


 暫くして、笑いが収まると、生活指導の教師が、


「皆さんが、静かになるまで4分30秒掛かりました。」


 と言うも、校長先生はまだ肩を震わせている、隣にいた筈の教頭の姿は既に体育館の中に無く、生活指導の教師が、何か言おうとしたところで、校長がマイクに手を伸ばし、


「皆さん、少しハプニングが有りましたが、当の本人は、心に深い傷を負っているかも知れませんので、笑ったりしない様に心掛けて貰えると、私としては嬉しく思います。

 私は、皆さんが人の欠点や短所を見て、後ろ指さしたり、陰で笑ったりしない優しい心の持ち主だと信じています。

 (途中省略)これにて、本年度2学期の全行程を終了します。」


 校長先生、何か良い事言っていたけど、教師陣の中で、1番笑っていた。

 教頭先生、途中で体育館から居なくなったけど、引き籠ったり、登校拒否しないか少し心配になった。



 体育館から教室に戻ると、担任の教室に来る迄、皆の噂は、教頭のズラ話しと、瑛里子さんの事で持ちきりだった。

 あのハプニングのお陰で、俺と御笠川の事は、みんなの頭の中から、完全に忘れ去られた様なので、ホッとしている半面、瑛里子さんが、教頭にネチネチと嫌事を言われてないか心配である。


 ロングホームルームが終わり、担任が教室を出ようとした時に、瑛里子さんが怒られてないかと聞くと、どうやら、おとがめは無かったらしい。

 と言うか、当の教頭は、泣きながら家に帰ってしまったので、校長から注意されるのかと思っていたら校長は、職員室で腹を抱えて大笑いしていたらしい。


 最後のスピーチ何だったんだ?



 教室を後にして、車に乗り込み、瑛里子さんの携帯に電話してみた。


 教師達の飲み会に誘われたらしいが、母が待ってると断ったらしい、帰りは、どうするのか聞くと、10分程で出れると言うので、車で待つことにした。

 程無く瑛里子さんが、やって来たのだが、何故か若い体育教師がしつこく着いてくる、瑛里子さんは困った様な笑顔で体育教師に手を振り車に乗り込み、「早く出して。」と一言。


 車が校門を出ると、

「あのジャージ男、2人で飲みに行きましょう。

 って、しつこくって!」


「いや、瑛里子さん貴女も家ではジャージ女です。」


「ハハハ違いない(笑)」


「で、何て断ったんですか?」


「彼氏に怒られますって!そしたら、この車を見て、君の事を彼氏か?って言うから、親戚で私の行動を逐一、実家に報告してくれてるから、品行方正にしなきゃならないの!って言ったのよ。」


「瑛里子さん彼氏いたの?」


「いないわよ、でもそう言わないと、あのタイプの人間は諦めてくれないからね(笑)」


「しかし、瑛里子さんのお母さんは、九州じゃないんですか?」


「こっちにも、ちゃんと居るわよ、私に御飯作ってくれる、おかんが(笑)」


「もしかして俺の事ですか?」


「ちゃんと車で待っててくれたしね(笑)」


「母さん、自分より年上の子供産んだ記憶ないわよ!(笑)」


「私、和彦君の養女になろうかしら(笑)」


「俺より歳上なのに幼女は、あつかましくない?(笑)」


「字が違うわよ!って、そんな事言ってるうちに着いちゃったね。」


「じゃあ、今夜も食べに来ますか?」


「お母さん、ありがとう!」


「まだ、そのネタ引っ張りますか?

 俺は、これから夕食用の買い物に行くので、ここで降りますか?」


「買い物なら一緒に行こう、いつもご馳走になってるから、私がお金を出すよ。」


「そこまで、気を使わなくてもいいですよ。」


「いや、出すからハンバーグにして欲しいんだ。」


「そう言う事なら、肉とベーコン買ってもらいますね。」


「ベーコン?ハンバーグに使うのかい?」


「ええ、少し変わったハンバーグにします。」


「それは楽しみだ、君の料理は美味しいからね。」


 瑛里子さんのリクエストで、今夜の献立が決まった。

 実は、毎日、メニューを考えるのが面倒臭かったのだが、瑛里子さんが、リクエストしてくれたので、助かった。


 次から、メニューに困ったら瑛里子さんに食べたい物を聞けば悩まなくて済むと、安易に考えてしまった。

 次回は、ハンバーグ回?

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