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ファミリア  作者: あさま勲


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69/69

69・三人? の晩餐

 お風呂で、さんざん辱しめを受けた後、キーアリーハとオレそしてウィル君の三人での夕食である。

 出された料理は、キーアリーハとウィル君は同じ料理である……ただ主食のパンは丸パンを切ったものでキーアリーハは中央近くの大きな部分。お付きのウィル君は端っこで明確な差が出ている……分量的にはウィル君は数を増やすことで変わらないんだけどさ。

 差を付けるならウィル君は別席にすべきじゃね? そう思ったけど、ウィル君も同席させるようキーアリーハが言ってたっけね……つまり、パンの数が足りなかったが故のウィル君の端っこパンですかい。

 ちなみにオレは焼いた肉だけ……いや、文句ないけどさ。

「ねぇ、ウィル……アタシとパン交換しない?」

 ウィル君のパン皿を見たキーアリーハが唐突に言う……アンタ、お嬢様だろ?

「構いませんけど、何故です?」

「ウィルのお皿のパンの端っこを集めたのを見たら、食べたくなったの……」

 そーいや、フランスではフランスパンの端っこの部分が一番美味しい……なんて言われてるそうな。だから端っこを食べるときは、一言、断ってから食うのがマナーだとか。

 ……まあ、噛み応えがあって食ったって気にはなるけどさ。

「結構、噛み応えがあるわね……」

 交換したパンを一口食べてキーアリーハは言ってくれる……この世界のパンも、言うほど噛み応えがあるのかね?

 そう思ったので、オレはテーブルの上に飛び乗ってパンの端っこを爪で引っ掛け口に放り込んだ……見事にフランスパンの端っこだぜ。本場の水と塩と小麦粉で作った硬いバットみたいなフランスパンじゃなくて、日本人がアレンジした比較的柔らかいフランスパンの端っこだよ……なぜオレに、こんな知識がある?

「シャドウもパンを食べられるんだ?」

「そりゃ、オレって元々は人間だったわけだしさ……だから料理だって作れるワケだ」

 つかキーアリーハさん。オレ、アンタのためにフレンチトースト焼いたんだけど?

「なるほど……食べやすくはあるけど、食べ慣れた端っこの方がオレの口には合うかな?」

 ウィル君は、千切った三分の一ほどを食べて言ってくれる……まあ、食い慣れた方が良いってのは理解できる。

「この食感……思い出した。お母様、アタシにパンの端っこを、よく食べさせてくれてたっけ……顎を鍛えないと歯並びが悪くなるからってさ」

 ……思い出した。オレ、歯の矯正やってたっけ。高校半ばで終わったけどさ……歯並び悪かったんだよなぁ?

 キーアリーハもウィル君も歯並びは悪くないね……ウィル君は知らないけどキーアリーハは母ちゃんが気を遣ってくれてたんだろう。

 で、気に入ったみたいで、キーアリーハはウィル君と交換したパンを完食するつもりのようである……まあ、ウィル君に特に不満はないみたいだし良いか……つか、キーアリーハと同じ食事に感激してますがな。

「明日、学園に戻るけど、あのストーカーのチョッカイが更に激しくなると思うから気を付けねぇとな?」

 オレは言うが、キーアリーハは素知らぬ顔である。

「学園には沢山の魔法使いが居る……あのストーカーと同格の魔法使いだって何人か居るし、そんな場所で騒ぎを起こしたら袋叩きにされちゃうわよ?」

 そーいや、そーだよな。

 たぶん、この世界の中でも魔法使いの密度が断トツに高い場所なワケだしさ……

 そうか、自分が騒動を呼び寄せてるって自覚があったから、キーアリーハは早々に学園に戻るって決めたわけか。

 そして学園ならば多数の魔法使いが居る手前、帰る道中でやられたみたいな狼藉をストーカーがしでかした場合、学園中の魔法使いから敵認定されかねない。

 うん、父ちゃんも学園の方が安全だと判断したっぽいけど、色々と情報整理して考えると今更ながら、オレも同じ結論に至ったわ。

「にゃるほどね……確かに学園の方が安全かも」

 そういや、キーアリーハが帰郷を決めた理由は、ソーノベンに絡まれたくなかったからだったっけ。でも、今のキーアリーハなら、ソーノベンなんて怖くないから、絡まれても軽くあしらえるか。

「あと、オレも付いてるからね?」

 ウィル君という護衛もいるけど……大っぴらにキーアリーハを守れないじゃん。キーアリーハはお忍びで学園生活を送ってる公爵令嬢なワケだしさ。

 だから、なにかしら理由付けする必要があるな……

「アタシは庶民出身の魔法使い、キーアリーハ・アルベルという事になってるの。庶民に護衛が付くってのは色んな意味で不自然だから、適当に距離を取ってね?」

 え~?

 って事は、オレの負担って、そこまで減ってくれないじゃんか!

「大丈夫ですよ……お嬢様の実家でもある商店の住み込みの使用人って設定にすれば、全然、不自然じゃありませんから」

 貴族よりマシだけど、住み込みの使用人使える規模の商店って結構大きくないか?

 それを庶民って言うのはさ……

「じゃあ、それで行きましょうか」

 キーアリーハは、別に構わんらしい。なら、オレが文句を言う事でもあるめぇ。

 そんなわけで、夕食も終わり歯を磨いた後に就寝である……キーアリーハは歯ブラシ使ってるけどウィル君は磨き砂だね。気の柄に固めの動物の毛を挟んで作った歯ブラシをキーアリーハは使ってるけど、ウィル君は使ってない。

 そーいや、朝、キーアリーハって歯磨きっぽいことやってたな?

 日本人だったオレには日常的なことなんで気にも止めてなかったけど、この世界の歯ブラシって結構な高級品かも?

 バイト先のスーパーにも木製の柄と豚の毛で作った高級歯ブラシが置いてあったっけ……高いって言っても普通の歯ブラシ二~三本分のお値段だったけどさ。

「ウィル君って、歯ブラシ使いたくないの?」

「別にあるモンで良いよ……転生前の故郷なんか、ほんとに無い無い尽くしだったから代用品が手に入るだけでも有り難い」

 ウィル君は、全然気にしてないっぽいな……前世での生い立ちが、よっぽど酷かったんだろう。

 この世界では、幸せになって欲しいなぁ……

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