表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファミリア  作者: あさま勲


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/69

67・しばしの別れ

 こっそり回収した父ちゃんへのプレゼントを手渡したのち、お茶会は盛大に行われた。

 が、菓子はオレ達が作ったフレンチトーストだけである……まあ、分量は十分あるんだけどさ。

 良い茶葉を使ってるんだな……紅茶の知識の無いオレが美味いと思うんだからな。

 いや、オレにも紅茶が提供されたのよ。

 キーアリーハと父ちゃんの会話は少なく、特に弾む話題も無いようだ……けど、父ちゃんは凄く嬉しそう。

 この父ちゃんなら、娘……キーアリーハを政略結婚の手駒に使うことはないだろう。

「学園に帰る前に、首輪を回収するわよ?」

 キーアリーハは、オレにボソッと言ってくれたよ。

「変幻自在の身体なオレって、首輪付けられると色々と神経使うんだけどなぁ?」

 巨大化とか人間化とか形状を変化させるとき、ブっ壊さないようにしなきゃいけないワケ。

「何者かが公国内に魔物を放ったようだ……公国より、学園の方が安全かもしれん。戻った方が良いかもな」

 諦めたように父ちゃんは言う。

 ……魔物を放ったのは、オレとキーアリーハのストーカーなんだけどな。ガウスさんから、その情報が父ちゃんに伝わったら父ちゃん激怒せんかね?

「ストーカーの話、父ちゃんに伝えた方がいいんじゃね?」

「言わないわよ……心配させたくないし」

 いや、ガチバトルになった場合、オレ達じゃ勝てるかどうかも怪しい相手なんだけどさ?

 オレとキーアリーハは、父ちゃんに気づかれないよう会話してる……声出してないし会話っつーか念話に近いか?

「ウィルを護衛として学園に忍ばせる……一応、アレも魔法使いの端くれだ。理由をこじつけ入学させられる」

 ガウスさん同様、特殊すぎる魔法使いだから学園じゃ肩身が狭そう……いや、そんな愁傷しゅうしょうな玉じゃないか……玉は無くなったみたいだけどさ。

「え~っ! オレ、王都の学園まで出庭でばるんスかっ!?」

 メイド衆に混じっていたウィル君が悲鳴に近い叫びを上げる。

 ウィル君……なんか喜んで行きそうな印象だったけど嫌なのね?

「紛れ込むには、うってつけの人材だ。それに、ウィルに経験も積ませられる」

 キーアリーハも嫌っぽいな……でも同性になったんだし、仲良くしようや?

「いえ、私はあと一年で卒業します……ですので、ウィルを護衛として付けるには無理があります!」

 慌てたようにキーアリーハは言ってくれるが、父ちゃんはバッサリと斬って捨てる。

「公女にお忍びで護衛を付けると言えば、文句は言えぬはずだ」

 そーいや、キーアリーハってお嬢様だったっけ……

 父ちゃんは、何やら紙に書き始める……学園でキーアリーハが使ってた木簡じゃないガチな紙じゃん。さすが公王様だね。

 書き上げると、お着きの従者に手渡す……従者は扇子で扇ぎインクを乾かしているようだ。こりゃ、ガチでウィル君が着いてくるな?

 ……まあ、オレは別に構わんけど、キーアリーハは不満タラタラっぽいふいんき。

「ウィル……学園じゃ、アタシをお嬢様なんて呼んじゃダメよ?」

「じゃ、キーアリーハ様で……」

 いや、様付けしちゃダメでしょ?

「単にキーアリーハだけで。様も要らない。もしくは、偽名で使ってるキーアリーハ・アルベルのアルベルでも良いわよ?」

 ウィル君、凄く困ってるじゃない。

「じゃあ、アルベルさんで……」

 父ちゃんが大きく息を吐く。

「公爵家……公女であることを大々的に公表してしまえば問題ないだろう?」

 その言葉に、キーアリーハは即座に反論する。

「アタシは、公爵家の名にたかる取り巻きの子分なんて要りませんっ!!」

 ……まあ、キーアリーハが公国のお姫様だって事を公表したら、勝手に取り巻きの子分がワンサと涌いて集まってくるわね?

 そーゆーのが、キーアリーハは嫌なんだろう。

 あんまりボスになりたいって願望が無いんだろうねぇ……うん、オレもボスになりたくないわ。

 アホバイトを押し付けられて苦労してた主任が印象に残ってるからさ。

 見捨てりゃ楽になるのに見捨てることができず、あげく必死こいて面倒見たアホバイトからは恨まれ告げ口で評価を下げられてた……それでも見捨てなかったからなぁ。

 あげく、その主任……バイト先のオレの先輩のアホバイトからも感謝はされてない。かばってくれてたことは最後は自覚したっぽいのにさ。

 ボスになって下っ派連中を抱えると、ソイツ等に対しての義務を抱えることになる……つまり重荷を背負うに等しい。使えない子分や部下だと却って重荷になって面倒臭いのよ。

 そーいやオレって、何にりたかったんだっけ。そのために必死に勉強してたはずなんだけどさ……

「学園でまれ、考えをひるがえすかと思いきや変わらないか……」

 父ちゃんは、どこか嬉しそうに、そして寂しそうに笑う。

 学園や街は怖いところだから、安全な公国が一番居心地が良い……そこのお姫様だって事を公開した方が幸せなのだと考えをひるがえすことを期待してたんだろう。

 けど、キーアリーハは考えを変えなかった。

 子供の成長は、嬉しくもあり寂しくもあるってことだろうね。

「ガウスとウィルの件は変えない。が、二人には過度の干渉はさせない……これ以上は折れる気はない」

 父ちゃんは言い放つ……ここが落としどころかねぇ?

 キーアリーハは、大きく息を吐く。

「承知しました。ですが、これ以上は妥協しません!」

 とりあえずは親子間に亀裂は入ってないっぽいな。

 二人のやり取りを見てオレは思う。

 何だかんだ言って、父娘の仲は悪くなさげだ……変な壁はある感じだけどさ。

 まあでも、このお茶会が終わったら、しばしのお別れだわね……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ