表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファミリア  作者: あさま勲


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/69

62・黒翼の乙女

 客観的に見た場合、オレとキーアリーハって既にイチャイチャしてるのよね……オレは嬉しくないけどさ。

 オレが可愛い仔猫の姿であるのを良い事に良いように弄ばれてるよ……

 まあ、オレのご主人様……つうか飼い主がキーアリーハなんで仕方ないんだけどさ。

「アタシは、休暇が明ける前に学園に戻りますっ!」

「まあ、卒業を以て実家に帰るって言ってたし、それまで待っててくれよ……オレは喚び出されて、まだ間もないけど、その短い間にキーアリーハって、すごく腕を上げてるぜ?」

 にゃんか父ちゃん、オレが喋るのが気に入らないっぽい『ふいんき』をバリバリと発してますね?

「使い魔ごときが主を呼び捨てにするとな?」

 ああ、そーゆー事ね……

 父ちゃんの発した言葉で、一応、納得できた。

「シャドウは、私の半身です。その半身を取り戻したことで、私は本来の力を取り戻せた……シャドウ無しでは、今の私は成立しません」

 ……んな事はないと思うぞ?

 オレは思うが、とりあえず黙ってる事にする。

 そんな中、父ちゃんに着いてきたと思しきウィル君が、ひょっこりと顔を出して言ってくれた。

「お嬢様の魔法の腕前……ガチで爆上がりしてるからね。学園行く前のお嬢様も凄かったけど、今のお嬢様はオレやガウスさんじゃ歯が立たないぐらい強くなってる」

 うーん……戦い方次第じゃ二人は勝ちを狙えると思うんだが?

「シャドウ……アレをやるわよっ!」

 アレって、なんスか?

「アレじゃ判んねぇよ……巨大化しろってか?」

「ちーがーうー! アンタ、アタシの身体使ってファルコン喚んだり、紫電の魔法使ったりしたでしょっ!」

 また合体せいってか?

 今回はキーアリーハにバッチリ意識があるんで、上手くできるか判らんのだけどなぁ?

「まあ、やっちゃあみるけどさ……」

 一応はオレのご主人様なんで、気は乗らないけど従うしかないか。

 既にオレはキーアリーハに抱かれた状態なので、身体を密着させる必要はない。だから、身体を影に戻しキーアリーハの身体を被ってゆく。

 視点が若干高くなる……キーアリーハの胸の高さにあった視点が頭の高さになった。つまり、キーアリーハに憑依できたわけだ。

「わぁ……やっぱり、髪が真っ黒になるんだ。でも肌の色は同じねぇ?」

 オレの意思とは無関係に、口が言葉を紡ぐ……今、身体の主導権はキーアリーハ側にあるのね。

「瞳も黒くなっている……」

 父ちゃんが愕然としたように言ってくれる。

「黒い瞳が不吉とか、そんな話でもあるの?」

 オレは質問するが、声はキーアリーハのままだ。そりゃ言葉を発するのは、キーアリーハの口なワケだから当然か。

「無いわよ……少なくとも、アタシの知る範囲ではね?」

 今度の言葉は、オレの意思じゃない……つまり、キーアリーハの言葉ってワケ。

 ……同じ身体を共有してるのに、声を出さないと意志疎通できないって不便だな。ほんとにオレってキーアリーハの半身なのか?

 そんなオレの疑問など、知る由もないキーアリーハは、影法師で鏡を作り出す……額が真っ黒なだけで、ちゃんとした鏡じゃん。

 鏡に映るのは、髪と瞳が黒いキーアリーハの姿だ……瞳は厳密な黒じゃなくて、茶色に近い黒だな。

 ……この姿。オレ、夢で見たんだよなぁ?

 ただ、この世界に召喚される前は、こんな娘との接点は無かったと思う……いや、忘れてるだけか?

 まーいーやね。

 父ちゃんに合体状態のお披露目も終わったんで分離しちまおう。

 そう思い、キーアリーハの胸から這い出す形で分離を図るが、キーアリーハには、その気はないらしい。

 頭と前足が這い出したあたりで、キーアリーハの手によって押し戻される。

「もうちょっと、この格好で居ましょうよ? ……この姿の方が、魔法が上手く使えそうだし、この姿に慣れた方が色々と都合が良いと思うの?」

 文字通りキーアリーハと一体化しちまってるわけだけど、いわゆる一心同体ではなく二心同体なんで、互いのプライベートが無くなるんだが?

「風呂飯便所……全部がオレに筒抜けになるぜ?」

 ぶっちゃけ、猫姿のオレは人間の女には興味がないんで、全然嬉しくないし、コレはキーアリーハも嫌だと思うんだ。

「シャドウはアタシの半身なのよね……自分自身に恥ずかしいって思うってのもオカシな話よね?」

「いや、オレとキーアリーハって完全に別人格だぞっ!?」

 どうやらキーアリーハの認識は違うようで、オレは慌ててしまう。

「わかんないわよ?」

 嬉しげにキーアリーハは言ってくれるが、全部が同じ口から出てる言葉なんで父ちゃんは大いに戸惑っているようだ。

 そんな父ちゃんなど気にも止めず、キーアリーハは左手の指先を見つめる。

 次の瞬間、指先から火花が散った。

 雷の小精霊を、指先に集め火花を出させたようだ。

 散った火花を見て、キーアリーハは嬉しそうに笑う……つか、一体化してるオレが笑ってると言っても良い状態なんだが、オレは別に嬉しくも楽しくもないんだが?

 つまり、キーアリーハの感情で笑っているわけだ。

「お父様。夕刻までには帰りますので、この身体の力、もう少し確かめてみます!」

 そう言うと、キーアリーハの背中から真っ黒な翼が生え、そして空へと飛び立った。

 ……いやまあ、新しく自覚できた力を試したいってのは理解できるけどさぁ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ