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ファミリア  作者: あさま勲


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60・ノーライフキング

 オレが石を撃ち出すと同時に銃声のような爆音が響いた。

 まあ、風船が割れて破裂音が響くのと同じ理屈だわね……高い気圧から一気に気圧の低い場所に空気が流れると周囲の空気が震え爆音が響く。

 銃声なんかも同じ理屈で、瞬間的に発生した燃焼ガスによって爆音が響くワケだ。

 今回の場合は、オレが自分の体を空気銃として使ったわけだな。

 風船みたいにオレの体を膨らませ、その中に目一杯空気を吸い込み圧力を高め、その圧力でもって喉につかえさせた石を撃ち出したわけだ。

「シャドウ……それって鉄砲と同じ理屈?」

 ほう、この世界に鉄砲ってあるんですかい?

 いや、花火があるなら鉄砲があってもおかしくないか。

「いわゆる空気銃だな」

 オレは言うが、キーアリーハが理解できてるかは知らない。

「空気の圧力で石を撃ち出す……火薬の燃焼ガスで弾を打ち出す鉄砲と理屈は同じよね?」

 ちゃんと理解できてるって事は、キーアリーハって普通に賢いじゃん。

「燃焼ガスなんて言葉、どこで習った?」

「ガウスからね……ガウス、鉄砲を作らせてお父様に説明してたから」

 ほう……いや、火薬があるなら鉄砲も作れるわね。魔法もあるんで、そこまで鉄砲の必要性も感じてないだろうけどさ。

「鉄砲って量産してるの?」

「してないわよ? 戦う必要ないのに武器を量産なんて無駄じゃない」

 ……キーアリーハって、やっぱ温室育ちのお嬢様なんだな。

 学園じゃ、ソーノベンに嫌がらせの標的にされてたっぽいけど、それでも戦争なんて簡単には起こらないとか楽天的に考えられるんだからさ。

 まあ、良いやね……悪い方向に考えを持っていき八方塞がりに陥り何も出来なくなるような悲観主義者より、楽観主義者の方が色んな意味で幸せだと思うからさ。

 それに、キーアリーハ自身や恐らく、その父ちゃんも一騎当千の戦力なワケだからさ。そんな戦力のある国が一般兵士用の武器を大量に揃えるってのは、そりゃ戦争の準備と思われても仕方ないわ……だから数を揃えると王国からイチャモン付けられるわね。

 ……キーアリーハや父ちゃんって、ガチで暗殺の対象にされかねないんじゃね?

「シャドウ……なんか難しいこと考えてる?」

「考えたけど……この世界も色々と面倒臭いことが多いんだなと」

 オレの言葉に、キーアリーハは声を出さずに笑ったようだ。そして、オレを抱き上げる。

「公爵家の中も面倒臭いし社交界も面倒臭い……それ考えると、学園は気楽で良かったわ」

 ほう……実家より学園の方が気楽なんですかい?

「嫌なヤツが居てもか?」

「堪り兼ねて喧嘩になっても、引き分け程度には持っていける相手だったからね……堪り兼ねる事態にならないよう距離も取ってたしさ」

 オレを呼び出す前のキーアリーハでも影法師の兵隊を団体で呼び出してソーノベンにぶつければ、まあ引き分け程度には持っていけただろうけどさ……お互い全力で魔法をぶつけ合った場合、色んな意味で洒落にならんわね。

 ちなみに……学園を出て数日も経たない内にキーアリーハって無茶苦茶レベルアップしてるんで、今のキーアリーハならソーノベンなんて簡単にあしらえると思うなぁ。

「だった……って事は、今は違うって事だわね」

 その言葉に、キーアリーハは嬉しそうに笑いオレを抱き締める。

「シャドウのおかげだよ?」

 オレは何にもしてねぇぞ?

 まあ、あえて何も言わんけどさ……

 って、キーアリーハの父ちゃんの御出座おでましだぜ。

 キーアリーハに向かって一目散に駆けてくる父ちゃんに気づき、オレは体を軟体化させてキーアリーハの腕の中から抜け出す。そして、肩から翼を生やして空に逃げた。

 そして、逃げ遅れたキーアリーハは父ちゃんに抱き締められる。

 嫌がっちゃいるけど、体格差と男女の差の両方があるんでキーアリーハには父ちゃんを振りほどけない……と思いきや、父ちゃんが力負けしてる?

 ……影法師のパワードスーツを纏って父ちゃんに対抗してるのね。

 いや、父ちゃんも魔法使ったっぽい。

 えっと、着てる服や手袋に魔法を使ったみたいで……衣装をパワードスーツ化してキーアリーハに対抗してるのね。

 どうやら、父ちゃんの方が強いっぽいな……オレ、どうすれば良いんだろうね?

 日和るべきかキーアリーハに加勢すべきか……やっぱ、ご主人様だし加勢しなきゃ駄目だよなぁ?

 そう思った矢先、父ちゃんが嬉しそうにキーアリーハから離れた。

「流石は私の愛娘だ! 我が一族、ノーライフキングの力もしっかり受け継がれているようだっ!!」

 ノーライフキングですとなっ!?

 ……なんか漫画で見た記憶があるけど、ノーライフキングって吸血鬼の親玉クラスだったような?

「公爵家って吸血鬼の一族なの?」

 オレはキーアリーハの肩に降りて尋ねる。

「なんで、そうなるのよっ!」

 キーアリーハに突っ込まれてしまう。

「命持たぬ物の王……故にノーライフキング。私は衣服や甲冑……無生物に仮初かりそめの命を与え使役できる。キーアリーハは影に仮初めの命を与え使役する。公爵家から輩出される魔法使いには、無生物を使役できる魔法使いが多いのだ……以前、ノーライフキングを口にした際、ガウスにも似たようなことを言われたな」

 ああ、なるほどねぇ……それを考えると、オレって本当の命を持ってないってことかね?

 まあ、別に驚きゃしないしショックでもないけどさ……うん、嘘です。すごくショックですよ。

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