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ファミリア  作者: あさま勲


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47・はやく人間になりたい?

 キーアリーハ達の二度風呂の後、遅めの朝飯である。

 あのストーカーの邪魔が入った上、その騒動で汚れちまったんでの二度風呂。その後で飯となりゃ、そりゃ遅れるのも当然だわね……

 魔力を消耗しすぎたせいか、オレは結構腹が減ってる……あのゴーレムからは魔力をほとんど回収出来なかったんだ。

 察するに、あのストーカーが魔力を回収できないよう何らかの対策を取ったんだと思う。

 だからガッつくように猫飯を食らうオレに、ウィル君がポツリと言ってくれたよ。

「シャドウさんだけど……人間状態で三食食べて生活を続けていけば本当に本物の人間になれると思う」

 ほう、その根拠はなんですか?

「どーゆー理屈で?」

 だから、そう問い……キーアリーハが目を輝かせてるのに気付き、しまったと思う。

「食事を繰り返す事で、身体を構成する素材が魔力から物質に置き換わっていくらしいんだ。だから、人間状態で三食食べ続けていけば、やがて身体が生身に置き換えられていく……そーゆー理屈」

 怪我して痛い思いするのは嫌だなぁ……この身体って、切られても大して痛くないから無茶も躊躇なく出来るワケだしさ。それを考えると魔力で構成された身体を持つ使い魔って利に叶ってると思うな。

 あと、こうやって猫姿で飯を食うことで、猫の肉体になっちまう可能性もあると?

 それはそれで嫌だわ。変幻自在な身体を持ってる今の方が色んな意味で都合が良くね?

「魔力の身体の方が変幻自在で便利じゃん?」

 別に基本型が猫の魔力の身体のまんまで構わねぇ……コレがオレの偽りの無い本音である。

「いや、アタシはシャドウは人間になってほしい!」

 オレは気楽な飼い猫ライフをエンジョイしたいんだけど?

 キーアリーハの言葉にオレは、そんなことを思う。

 犬猫といったペットにとって、飼い主は自分をずっと子どものままで居させてくれる過保護な親なワケよ。

 つまり、キーアリーハはオレの母ちゃんポジションに収まってくれるのが、オレにとってベストって事ね。

 ……一時的に人型になった時、キーアリーハを色っぽいとか思っちまったが、猫に戻ったオレには一時の気の迷いで流しちまえるような出来事でしかない。

「生身の身体にも弱点はあるけど、魔力の身体って存在が確定してるワケじゃないから、そこを突ける術が使える魔法使いなんか天敵と言えるワケで……お嬢様みたいな影使いなら、存在を掻き消すような術だって使えるハズだよ?」

 そーいやキーアリーハは、あのストーカーが放った影法師を一発で掻き消したっけかな……

「ちなみにキーアリーハ……その気になれば、オレを掻き消すことも出来るの?」

「しないわよっ! アナタはアタシの大事な使い魔!! じゃなくって……」

 なんか言葉が尻スボミになりましたね? あと、出来ないじゃなくて、しないと……つまり出来るワケだ。

「かなり強力な術で身体を作られてはいるけど、お嬢様と同格以下の影使いでも、シャドウさんを掻き消すことは出来ると思う」

 ウィル君の言葉である。

 ……つまり、あのストーカーでもオレを掻き消すことが出来るってか?

「キーアリーハが使った、光で影法師を消したアレとか?」

 オレの言葉にキーアリーハは難しい顔をする。

「アレ自体、難しい術ゃ無いけど……アレでシャドウを掻き消すのは難しいと思う」

 ほう、出来ないじゃなくて難しいですか。

「風で塵を吹き飛ばすのと似たような理屈かね?」

 その言葉に、キーアリーハは黙って頷く。

 オレを塵に例えるのならば、大量の塵だから簡単には吹き飛ばされないが根気よく続けられた場合はマズイってことだと理解したわ。

 まあ、一応は憶えておきましょうか……オレも消されるのは嫌だしさ。

 あと、特に気にしてなかったけど、オレって受験生だったってこと以外には呼び出される前の記憶の類いが、ほぼほぼ無いんだよな……つまり、元の世界に戻った場合、ここでの記憶の大半を失うことになるかも?

 ……それはそれで嫌だな。

 うん? 嫌って思うことは、この世界に未練があるってことだよなぁ?

 オレにとって、この世界で一番気がかりなのはキーアリーハ? オレを呼び出した張本人にして諸悪の根元にして、一応はオレのご主人様でもある。

 そして、なんかワカんねぇストーカーに付きまとわれてて……キーアリーハのみでは、あのストーカーに対抗できるかってのは怪しく感じてるってワケだ。

 ……まあ、キーアリーハが放っとけない存在で、心配だって理由にはオレにも心当たりはあるわけだ。

「魔力を使いすぎて弱ってるところを突かれたら、シャドウは色々と拙いと思う……」

 キーアリーハの言葉に、オレは言ってやる。

「まあ、弱ってるときは戦わないとか、弱らないよう気を遣えば大丈夫っぽい感じかね?」

「気を付けるだけで万全の対策が取れるなら、誰も苦労しないし世界から事故をなくす事だって簡単にできちゃうわよ……?」

 オレの発言にキーアリーハは言い返してくる……まあ、言ってることは正しいけどさ。

 とりあえず、危険な事はしない……って、それができたらキーアリーハの言う通りで苦労はないか。あのストーカーをどうにかせん事には、オレが居なくなった後のキーアリーハの身を守りきれるかが疑問……ガウスさんやウィル君も居るけど、魔法使いとしての力は、あのストーカーの方がありそうなんだよな。

 おまけに、あの二人はキーアリーハにベッタリ張り付いているワケにもいかねぇ……

 だから、使い魔という立場としてキーアリーハに張り付いていられるオレが居なくなるとキーアリーハの安全確保は難しくなるってワケだ。

「あとシャドウさん……魔力から生身の身体に置き換えたいんなら、半年一年どころじゃないぐらい魔法の使用を制限しなきゃダメ。食べたものが身体を構成する素材になる前に消費されちゃうんで、置き換えが全然進まなくなっちゃう」

 ウィル君の言葉ではある……なんか凄げぇ面倒臭そうだな。

 まあ、当面は、いや……ぶっちゃけ一生、猫のままで良いやね。

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