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ファミリア  作者: あさま勲


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42/59

42・砂遊び

 ウィル君の強さには驚いたけど、まだ終わってない感じだ。

 だから、ウィル君は警戒を解いてない……そりゃ、切り刻まれても魔力自体は全然減ってないから、まだ死んでないと判断するわね。

「キーアリーハ……アレ、どう思う?」

 オレの問いに、キーアリーハは窓を開けつつ答える。

「バラバラになった塊の大半から魔力が感じられる……たぶん、複数の核がある群体型だと思うけど、なんでゴーレムを群体型に?」

 その言葉で、オレはキーアリーハとの回線を開いてアンテナを貸してもらう。

 確かに、なんか核みたいなモンが、それぞれの塊の中にあるな……全部で二十以上はありそう。

 やっぱ、オレのご主人様だけあって、高性能なアンテナ……優れた探知能力を持ってるんだな。オレの探知能力は、キーアリーハには精度じゃ及んでないっぽい。

『まだだ……まだ、終わらんよ』

 バラバラの岩塊になったストーン・ゴーレムだが、普通に声を発してくれやがりますね……耳障りな声だけどさ。

 で、キーアリーハさん。

 窓を開けたってことは、参戦しますってことですね?

 何も言わないけど、キーアリーハの考えぐらい判る。だって。窓枠に足を駆けて飛び降りようとしてるしさ。

 だからオレは、一足先に飛び出した。後からキーアリーハが飛び降りてくるってのは気配で判るよ。

 そして、巨大化しキーアリーハを背に乗せた状態で着地する。

「さすがシャドウ……判ってくれてるじゃない?」

 得意気に言ってくれますけどね、キーアリーハさん。あんま油断できない状態だと思うんだけどな?

 バラバラになった岩塊が宙に浮き……そして、元通りの人形に戻る。

 ……いや、完全には元通りじゃねぇな。ウィル君に斬られた切断跡はしっかり残ってるよ。

「それぞれのパーツに核が幾つか在るみたいだけど……オレには正確な場所までワカンナイ」

 そう言うウィル君ではあるが、その言葉からは余裕のようなものが感じられた。

「なんか手があるのか?」

 だから、オレはウィル君に聞く。

「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる! ひたすらブッた斬るのみっ!!」

 そう言って、ウィル君は再びゴーレムに向かって行く。

 いやまあ、ウィル君って普通に脳筋だねぇ……

 石で出来た巨体ゆえに、ゴーレムの動きは遅い。だから、身軽に跳ね回るウィル君の動きには全く着いていけてないよ……

「まだ終わらんとか言ったけど、ここで終わってくれた方がお互い面倒が少なく済むんジャマイカ?」

 再び刻まれ、無数の岩塊になったストーン・ゴーレムにオレは言ってやる。

 ゴーレムからの返事はなく、その岩塊に無数のヒビが入って崩れ落ちた。

 けど、コレで終わりってワケでも無さそうだな……だって放たれる魔力の気配は未だ健在なんだもん。

 崩れ落ちた岩塊は、最終的に砂粒レベルにまで細かくなる。

 ……二十以上もある無数の核、そして砂になったゴーレムの身体。

 コレってさ、砂のゴーレム。いわゆるサンド・ゴーレムが二十体以上も出てくるって事ですよねっ!?

 オレの読みは当たってたみたいで、本当に砂で出来たのっぺら坊なゴーレムが二十体以上も姿を表す。

 その内の一体にウィル君が斬りかかるが、砂の身体ゆえ一刀両断とは行かないようだ。

 だから、ウィル君は立て続けに斬撃を放つ。その斬撃は、特定の一点を狙っての斬撃のようで……サンド・ゴーレムが一体、ただの砂くれとなる。

 ウィル君。核の場所って、だいたいの範囲でなら判るみたいね。

 ちなみに、キーアリーハと繋がってる今のオレなら、もっと正確に核の位置を特定できるぜ?

 オレ達にもサンド・ゴーレムは向かってきた。

 だから、魔力の爪を形成し、向かってきたサンド・ゴーレムの核を一撃で粉砕してやったぜ。

「アタシのシャドウは、そこのウィルより、もっともっと強いわよ?」

 誇らしげに言ってくれますけどね、キーアリーハさん。オレってウィル君とタイマン張って勝つ自信なんて無ぇんだが?

『まだ、小手調べだ。あっさり叩き潰してしまっては楽しむことも出来ん』

 砂になったお陰か、多少は声がマイルドになりましたねストーカさん。

 そして、サンド・ゴーレムが、オレ達を囲もうとしてきたので、翼を生やしてキーアリーハと共に空へと逃れる。

 でも、一人、突っ込んじまったウィル君を何とか拾わにゃいかんわね……

 そう思い、ウィル君に近づこうとするが、砂の壁がオレ達の先を阻んでくれた。

『砂を使えば、その影使いのような変幻自在な使い魔も私には可能だ』

 だから、それが一体なんだつーのっ! 変な対抗意識を燃やすんじゃねぇっ!

 砂の壁を避けつつウィル君を見ると、ウィル君の左右と後ろに黒い壁がありますね……キーアリーハがウィル君を援護するため壁を作り、正面の敵のみに注力できるようにしてるっぽい。

 でも、多勢に無勢かつウィル君じゃ一発で核を直撃できないっぽいんで、コレじゃジリ貧じゃねぇかい?

 とりあえずは、包囲の外にキーアリーハを逃がしてウィル君に向かうサンド・ゴーレムを少しでも減らさねぇとな。

 そう思いつつ、オレは着地する。

 オレの考えが解ったのか、キーアリーハは黙って背から降りてくれたよ。

 キーアリーハなら自分の身ぐらいは守れるし、いざとなったらファルコンを呼び出して空にも逃げられる。

 とりあえずは、ウィル君を助けないとな。

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