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ファミリア  作者: あさま勲


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28・世界とカミサマ

 影法師のゲルとファルコンが、創造主たるキーアリーハに取り込まれる……魔力に還元され回収されたワケだな。

 オレも魔力に還元されれば、元の世界に帰ることが出来るのかね?

 この魔力に還元ってのは、オレにとっては死みたいなモンなワケだが。

 つか、オレって元居た世界じゃ突然蒸発したって事になってる?

 両親含む家族や友人の記憶がないとはいえ、そういった家族知り合いに心配や迷惑を掛けてはいないだろうか?

 まあ、考えても仕方ないと割りきりが必要なんだろうけどさ。

 そんな事を考えていると、キーアリーハに抱き上げられる。

「なに難しい顔してるの?」

「猫の表情なんて理解できるのか?」

 問われ、オレは思わず問い返す。

 だって、オレには猫の表情なんて理解できねぇしさ。

「シャドウはアタシの半身なのよ……そりゃ判るわよ」

 そーかい。オレにはオマエの考えなんて解らねぇよ。

「いや、オレが元居た世界だけどさ……オレが突然消えたことになってるのかね? とか考えてたんだ」

「生きてる人の魂は喚べないハズなんだけど?」

 それは昨日聞いたけど……ちと納得できんのよね。

「その根拠は?」

 オレの問いにキーアリーハは困った顔をする。

「……ずっとそう言われてるし。あと魔法書にも、そう書かれてるから」

 つまり明確な根拠はないわけね。

 オレが元居た世界の科学みたいな理屈があって、この世界の魔法が機能しているのであれば、まあ魔法書は正しいといえるんだけど……この世界の魔法はオレの手に余るよ。

 なんとなくだけど、オレが中途半端に記憶を無くしてるってのも関係してる気がするな。

 主にオレの個人情報に関する記憶が、すっぽりと抜け落ちてる。

 召喚されたことに悩まないようにって配慮かね?

 まあ、帰れないみたいだし良いか。つか、帰ったら帰ったで、この世界の事で色々悩みそう……なら、このままで良いや。

「シャドウって帰りたいの?」

「帰ったら帰ったで、あのストーカーにオマエが付きまとわれていないか心配しそうだから帰らなくて良いや」

 真面目な話、キーアリーハ単独で、あのストーカーを退けられるとは思えないんだ。

 で、あのストーカーは転生者だって言ってたな。これはガウスさんも同じ。対しオレは死んでないから転生じゃなくて転移になる?

 まあ、どっちでも良いや。

 召喚されて今日で三日目。

 にも関わらず、オレ含め三人の転移・転生者が互いを認識したワケだ。

 そんな事を考えてると、キーアリーハが嬉しそうにオレを抱き締める……やっぱ、オレって単なるペットなんだなぁ。

 まあ、良いやね。

「ガウスさんに聞きたいんだけど……他に転生者に会った事ある? 転移した人でも良いけどさ」

 キーアリーハの腕の中から、馬車の準備をしているガウスさんに聞いてみる。

「あの魔獣使いとシャドウが、私が出会った最初の同郷人だな……記録を当たると転移・転生者と思われる人物は散見されるがね」

 やっぱ居るんだね……

「そう言った連中って、何か共通点でもあるのかね?」

 何やらオレを抱き締めるキーアリーハの腕の力が強くなったような?

「いわゆる『神』に呼ばれ、この世界に来た……歴史に残る転生者とおぼしき人物に共通する発言だ」

 ほう……カミサマですかい。

 でもオレを呼び出したのはキーアリーハで、オレはキーアリーハをカミサマとは認めないぞ?

「ガウスさんもカミサマに呼ばれたの?」

「さて……? なにも背負わず気楽に生きろ。その為の力も与えてやろう……事故の直後に真っ暗な空間で、そんな言葉を聞いたぐらいだ」

 気楽かもしれないけど、ガウスさんって公爵家の使い走りやってるじゃん……って、そろそろ辛くなってきたな。

「あの……ご主人様。ボクを抱き締める力が強すぎるんですが……?」

 とりあえず、できる限り可愛らしく言ってみる。

 オレの言葉に、キーアリーハが何とも言えぬ表情になる。

「シャドウ……アンタ変なものでも食べた?」

 いや、昨晩から何も口にしてないっす。

 周囲の魔力を吸収する方法を覚えたお陰で腹が減らなくなったのよね……喉も乾かねぇや。

「今のオレって周囲の魔力を吸収できるようになったお陰か腹減らないんよ。だから何も食ってねぇ……じゃなくて、ボク何も食べてないよ?」

 素で答え慌てたように言い直す……無論わざとだ。

「気持ち悪い言葉遣いは止めて!」

 そう言いつつ、キーアリーハは腕をほどいた。まあ、猫並みの平衡感覚があるし何事もなく着地できたけどさ。

「この世界ってカミサマって居るのか?」

 今度はキーアリーハに聞いてみる。

 ガウスさんと違いキーアリーハは生粋の、この世界の人間だ。この世界の人間の主観で語れると思う。

 何やら諦めたかのように溜め息を吐くと、キーアリーハは口を開く。

「何人か居るみたいだけど正確な数は判らないし、物凄く気紛れなのよね……なんの変哲もない村人に唐突に膨大な魔力と魔法の才を与えたりとか、ガウスみたいに異界から人を呼び寄せたりとか。あと、魔王をこの世界に招いた困った神様も居るしさ」

 ……カミサマって気紛れで、この世界に干渉する上位存在?

 つか、この世界って箱庭みたいなモンで、その箱庭に干渉できる存在がカミサマ?

 キーアリーハが神に祈る姿も見てないし信仰対象とおぼしき祭壇やら紋章やら見てないしで、この世界の信仰ってどうなってるんだろ?

 とりあえずは多神教みたいだけどさ。

 ……多神教の神様って人間臭く気紛れでイイカゲンなのが多かったな。だから、この世界の人間は神に頼れないから信仰対象にはなり難いって事かね?

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