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ファミリア  作者: あさま勲


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23・外道

 マンティコアがオレに向き直る……周囲の魔力が認識できた途端、ガウスさんの散弾を食らう前のマンティコアの魔力量も漠然とだが把握できた。

 今の魔力保有量って元の半分以下だぜ?

 二度の再生で相当、魔力を使ったんだろう。

 それでもファルコンとは桁違いの魔力量ってのは凄いわ……けど、オレにも勝機があるような気がしてきた。

「普通に戦っていては互いに決め手はないか……では、搦め手で行くとしよう」

 余裕ブっこいてるな、ストーカーさんよ?

 オレとして一番警戒してるのは、伏兵として忍ばせている、もう一体のマンティコアだ。

 けど、伏兵の方はコイツほど強くなさげだ。

 なら、横槍対策はファルコンに任せ、オレはコイツに注力しようか。

 そう思った途端、全身の毛が逆立った。

 新たに嫌な気配を感じたってワケじゃない。本気の戦闘モードに入ったってだけだ。だからバッチリ牙まで剥いてるぜ?

 マンティコアは、そんなオレを鼻で嗤ったようだ……いや、甲殻類の殼で顔を覆われてるんで表情が読めないのよ。

 次の瞬間、マンティコアのサソリの尻尾が長く伸びてオレに突っ込んでくる。

 鼻で嗤うという前兆があったんで、避けられたけどさ……なんかデタラメな迄に長く伸びてオレを追っかけてくるよっ!?

 なんとか避けようとしたけど、オレの肩から生えた翼を片方、がれちまったいっ!

 けど、オレって別に翼で飛んでるってワケじゃ無いのよね。だから体勢は崩されて無いから、その尻尾を噛み千切ってやったよ。

 オレが魔力の刃を形成できるのは、爪だけじゃない。牙の切れ味を魔力で増幅させることだってできる。

 ……やろうと思えば、オレの翼を刃にすることもできそうな感じだ。

 噛み千切った尻尾が暴れるんで、さらに爪で刻んでやる。そして口のなかに残った尻尾の欠片を吐き出した。

 だって不味いんだもん。

 けど、なんか身体が満たされるような感覚があるな……キーアリーハに充電されてる時に似た感じだ。

 つまり、この尻尾の魔力をオレが取り込んだって事かね?

 まあ、翼がモがれたからと言っても血が出てるワケじゃない……オレの身体って魔力で形成されてるとかで、生き物の常識が当てはまらないって事なんだろう。

 ……やっぱオレ、この身体イヤだわ。

 とは言え翼を捥がれても、そう痛くないってのは有り難いし……やろうと思えば、即座に再生だって出来る!

 捥がれた翼が、黒い羽を散らしつつ再生される。

 やっぱ、翼があった方が空は飛びやすいのよね。

 あと、この翼は武器としても使える。

 牙に爪に翼……これが当座のオレの武器だ。

 尻尾も、やろうと思えばマンティコアの尻尾みたいに伸ばせると思うけど、やる気はなかったりする。

「魔力で形成された身体ゆえ再生も容易か……此方こちらは血の通った生物せいぶつゆえに命を削って再生していると言うに」

 マンティコアは、どこか楽しげに言ってくれるが……余裕のある口調とは裏腹に涙を流している。

 顔まで硬質化しちまってるんで表情も読めないんだが、ぶっちゃけ余裕のヨッチャンなふいんき……じゃなくて雰囲気を感じるんだが?

 これってアレか?

 コイツは自分の意志で戦ってるわけでもないどころか、操られることで無理矢理、戦わされてるって事か?

「アンタが使ってるマンティコアは死にたくないって泣いてるぜ?」

 そう思ったんで言ってやったよ。

 コイツは、死にたくないし戦いたくもないって事だろう。

「人を素体の一つに使ったからな……身体は支配できるが、その意思や感情までは支配制御はできん」

 ……オイコラ外道。

 オレは思ったし、奴の言葉にキーアリーハも怒ったらしい。

 無数の影法師の兵隊を呼び出し、マンティコアに襲いかからせたよ。

「人を魔獣の素体にするのは禁忌でしょうにっ!」

 ……言ってることは理解できるが、このマンティコアを殺したらキーアリーハは人殺しにならんか?

 そうは思うが、この世界の人間ってオレとは倫理観が違うっぽいんだよな。

 キーアリーハの影法師の兵隊は、このマンティコアには決定打が打てないっぽい。

 外殻を簡単には貫けないようで、マンティコアに簡単に蹴散らされてるよ……

 けど、オレとも兵隊は回線が繋がってる。

 だから、オレが兵隊を制御して上手く連携を取れるんなら、やりようはあるさ。

 影法師の兵隊は、あっさりオレの意思に従ってくれた……たぶん、その腹積もりでキーアリーハが呼び出したんだろう。

 既に二体ほど倒されちまったが、まだ四体残ってる。その四体を一旦下がらせオレの両脇を固めさせた。

 影法師の兵隊は、あくまで牽制役。本命の戦力はオレ自身ってワケだ。

「非力で病弱だった以前の体より強靭な獣の身体を与えてやる……その代わり時折、その身体を使わせて貰うとの契約だ。互の合意がある」

 その身体を使い捨てる前提て戦うってのはどうなのよっ!?

 オレが思った途端、轟音と共にマンティコアの頭が再度、吹っ飛んだ。

 ガウスさんのコイルガンで、電磁バレルを長くすることで更に速度を上げて弾体を叩き込んだみたいだ。

 しかも、今回の弾体は鉄貨の散弾じゃなくて短剣である。

 威力は段違ダンチだ。

 さすがにマンティコアも、この一撃には耐えられなかったみたいだ。

 身体のなかに溜め込まれてた魔力が周囲へと溢れだして行くが……オレやキーアリーハ。そしてガウスさんが、その魔力を取り込んで行く。

 ……なんか、RPGの経験値獲得ってこんな感じなのかね?

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