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ファミリア  作者: あさま勲


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19/41

19・魔獣マンティコア

 キーアリーハは、ガウスさんを見上げる。

「この子は単なる使い魔じゃなくて、アタシが呼び出したファミリアって特別な使い魔で名前はシャドウ!」

「つまり、過去に数えきれぬほど作っていた猫の影法師と同じ名前ですね……てっきり別の名を与えたのかと」

 ……いやまあ、そんな気配があるって事には気づいちゃいたけどさ。

 あとキーアリーハさん。締め付けが強すぎてオレ身体痛いんですけど? ……とストレートに言っちゃうのもアレなんで言葉を変えてみる。

「それよりも、さっき仕留めた嫌な気配。その正体を確認したいんだけど?」

 まあ、オレが下手したら何百号かになるシャドウだって事が判明したわけだが、だからと言って何かが変わるってワケでもない。

「そうですね……私も使った鉄貨を回収したいところですし」

 そりゃ、一枚五十円だか百円だかの鉄貨を一度に何十発とぶっ放して回収出来ないとなると色々と泣けてくるよな……

「あと、散弾用の鉄貨は何回分?」

「一回使ったので四回分ですね」

 キーアリーハの残弾確認にガウスさんが答える……二人とも手慣れてますね?

 つまり、五回分持ってたってワケで……多いのか少ないのかの判別はオレには無理だわ。

「四回分もあれば充分じゃない?」

「仕留めた対象の確認……そのついでです」

 キーアリーハの言葉から察し、使う機会は少なそうだな……

 二人が話を始めたあたりでキーアリーハの腕が緩んだのでオレは飛び降りた。そして、気配を感じた場所へと向かってみる。

「ちょっと、シャドウ……アタシを置いて先に行かないでよっ!?」

 声をかけられたんで足を止めたら、またキーアリーハに抱き上げられたよ……オレ、自分の足で歩きたいんだけどな。

「気配は消えたけど、本当に仕留められたか確認したいんだ。だから身軽な方がいいんだけど?」

 腕から抜け出し肩に上がりつつ言ってやる。

「なら、余計に危ないことはしちゃダメ! アナタはアタシの半身なのよ?」

 そう言いつつ、キーアリーハは自分の周囲に電球のように光る玉を幾つも作りだし浮かべた。

 そして、ゲルの外へと歩きだす……半歩遅れてガウスさんも着いてくるよ。

「いや……そう言われても、全然ピンと来ねぇんだけどな」

 キーアリーハが言うには、ファミリアは召喚者の半身と呼べるほど深い繋がりがある魂を呼び出して造るそうなんだけど……オレには過去に置いてキーアリーハとの接点は皆無っぽいんだよな?

「そうですね。お嬢さまの半身と呼ぶには、口が悪すぎます……が、ファミリアとして召喚したのであれば、認めたくはありませんが、そうなのでしょう」

 まあ、この辺は説明されてもオレには理解できん話になるし良いや。

「はい、ストップ……こっから先はオレ一人で行くわ」

 オレは二人に声をかけ、そしてキーアリーハの肩から飛び降りた。

 ……鉄貨の散弾が直撃し、瀕死の重傷みたいだけど息はあるっぽいんだよな。ちなみにラッペトスや、今日襲撃受けたジェットグリフォンやチビッ子ミサイルと似た気配だ。

 ……いや、似てるのは気配ではなく作製の癖とでも言った方が正確か。

 ちなみにコイツは人面の獅子だけど、コウモリの翼とサソリのような尻尾を持ってる……ゲームか何かで見たことある形だな?

「またアンタかよ? オレのご主人はアンタが嫌いだって言ったじゃねぇかい。付け加えるならオレもアンタが嫌いだわ……」

 たぶん、放った使い魔を介し状況を把握してる……そう思ったから言ってやったよ。

「おや、つれないな……せっかく、会心の出来のマンティコアを放ったと言うのに」

 瀕死レベルの深傷を負っているにもかかわらず、その口調には余裕を感じた……こりゃ何か隠し球を持ってんな?

 って、マンティコアね。やっと名前が思い出せたわ。

 と、そのマンティコアの全身から血飛沫が上がった……ガウスさんが磁力を操って、その身体に埋まった鉄貨を強引に回収したっぽい。

「成る程……先程の散弾はレールガンか。貴様も転生者か?」

 いや、ガウスさんの射出方式はレールガンじゃなくてコイルガンなんすけど?

「残念ながらコイルガンだ……レールガンは原理を理解していないため、悔しいが再現できない」

 血まみれの鉄貨を手に納めつつガウスさんは言う……いや、怖いって。

 ……この世界って、結構、転生者って居るもんだね。コイルガンやレールガンなんて知識は、この世界の人間には無いだろうしさ。

 全身から血を流しつつ、マンティコアは身を起こす。次の瞬間、ものすごい早さで傷が傷が塞がっていくよ。

 って、ガウスさんが転生者って、どういうことよ?

「ガウスさんで、何処の国の人? ちなみにオレは日本人だったっぽい……が、記憶は欠落だらけで自分の名前すら思いだせねぇよ」

 驚いたような顔をしたので、ガウスさんはオレが元は日本人だって事には気づいてなかったっぽいな……

「私も日本人だった……暴走トラックに跳ねられ死んだと思いきや、この世界の赤子として産まれ落ちていた。ちなみに前世の記憶と経験で、今の立場を作り上げた」

 はあ……事故死ですか。受験勉強中に有無を言わせず召喚されたオレと、どっちがマシなんだろうね?

「境遇的には私も似たようなものだな……が、転生で得られた力は、お前達の遥か上を行く」

 ホントかいな?

 マンティコアが放った言葉にオレは思ったりする。

 やってることがオレには理解できないんで、コイツが優秀だとはオレには思えないんだよな……術師としては優秀なんだろうけど人間としては優秀とは認めたくないなぁ。

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