旦那がふたり
路をよく観察確認しながら、歩く。
あんな看板あったっけ?
こんな風だったっけ?
気づきそうなことはたくさんあるが、普段路なんてこんなに観察しながら歩いたことがない。
そもそもコンビニの位置は変わってないし、小さな会社が並ぶ路。
その会社だって変わってなかった。
近くの公園に寄って歩いてみたり、また朝のコンビニ戻ってみたり、近くをくるくると散歩して、駅の方へ向かって、喫茶店へたどり着いた。
旦那とよく行く喫茶店。
昼も過ぎお腹がぺこぺこで、なにを注文しようかとメニューを見ていると商品はなにも変わってなかった。
ここの商品はなにも変わらないんだなぁ。
もしかしたら、元の世界に帰る糸口が見つかるかもしれない。
そう思って、大きめアイスコーヒーを注文する。
旦那と行く時にいつも注文していたメニューだ。
アイスコーヒーが来る間、スマホでまた異世界を検索してみた。
異世界に行くと漢字とハングルを合わせたような文字だったり、言葉が通じなかったり、食べ物がまったくちがっていたりするようだが、この世界には元いた世界とさほど違いがない。
そうしてる間に大きめアイスコーヒーがきた。
なぜかアイスコーヒーにはガムシロップとバニラアイスが付いていた。
「バニラアイスは注文してませんよ。」と店員に伝えるが、店員は「大きめアイスコーヒーですよね?」と不思議そうな顔をする。
「ブラックですか?」と質問をされ、
「いえ、ブラックではないです。」と答えると、
「バニラアイスは、大きめアイスコーヒーに付いてるから大丈夫ですよ。お会計は大きめアイスコーヒーだけで。」と言われた。
私は、元の世界と違うことに落胆しながらも、
「あ、すみません。わかりました。」とだけ答えた。
店員が傍を離れようとした時、
「あの!」と呼び止めた。
店員は再びこちらを振り向き「はい。」と答える。
「このミニサイズのホットケーキもお願いします。」とミニホットケーキも注文した。
そして、ある疑問が浮かんだ。
この世界の旦那は元いた世界の旦那ではないのか?
この世界の子供は元いた世界の子供ではないのか?
きっとこ元いた世界の旦那とも子供とも違うはず。
見た目は似ていても同じではない。
朝の電話はどちらの世界の旦那?
道がグラングランと揺れてる最中の電話。
きっとその時異世界に迷い込んだんだ。
どちらの旦那に繋がった?
確かめたくてメールで旦那に「今日の夕飯外食だよね?」と打ってみた。