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透明人間
どれくらいの時間が経ったのだろう。
ふたりは声も交わさず、別々にくつろいでいた。
彩綾はベッドの上。
イケメン王子はソファ。
あれから何度呼びかけても異世界ピエロの返事がなかったからだ。
そのうち、うつらうつらとして彩綾は寝入ってしまった。
彩綾の目の前には廊下や教室があって、みんなわいわいと楽しそうにしている。
「おはよう。」
「おはよう。」
いつもの見慣れたクラスメイト達。
「おはよう。」
彩綾も声を掛けたが返事がないどころか誰も彩綾のことを見ようとしない。
まるで透明人間になったかのように、彩綾の横を通りすぎるクラスメイト達。
きょろきょろと周りを見渡し教室の自分の机に着席している真里を見つけかけよった。
「真里!おはよう。なんかみんなムカつくのよ。この私が挨拶しても返事がないの。」
真里は何事も無かったかのように、日記を書いている。
「真里!どうしたの?真里!」
必死に呼びかけるが応答がない。
彩綾は頭にきて真里の日記を取り上げようとする。
(あれ?)
彩綾は真里の日記をすり抜け、真里の日記に触れることができない。
(なんで?もしかして私、死んじゃったの?)
頭がカァーっと熱くなる。
鈍器で頭をガンガン殴られているかのようになにも考えることができなくなった。




