マッチング
彩綾は、ピエロの声にイラつきながらイケメン王子を観察する。
サラサラの髪、キメの整った白く透き通るような肌、二重の大きな目に茶色の宝石のような瞳、それからスッと通った存在感のない鼻に、甘ったるい唇。
まるでアニメの中から出てきたような浮世離れした顔立ちだ。
見とれてしまって、目を離せなくなる。
彩綾のスペックと比較してもイケメン王子のスペックは申し分なかった。
こんな王子様とだったら、この部屋で過ごしてもいい。
そう思った。
イケメン王子は目のやり場に困るのか目を合わせては視線を外し、また目を合わせては視線を外し、そわそわしている。
彩綾は、ハッとし顔を赤らめた。
「あの!!」
2人は同時に声を出す。
「えと…。」
「あ…、そちらから。」
「あ、いえ。そちらから。」
譲り合うが、間が持たない。
「あの…!!!」
先に話し出したのはイケメン王子だった。
「君もあのピエロに会ったの?」
彩綾は、びっくりした様子でイケメン王子を見た。
きっとイケメン王子もあのピエロに会ってここへ連れて来られたのだろう。
彩綾が答えられずにいるとイケメン王子は続ける。
「俺は、学校の帰り道に奇妙なピエロを見てね、いつの間にか部屋にいてこんなわけもわからない服に着替えさせられていたんだよ。ピエロの指示に従って扉を開けたら、君がいたってわけ。」
「わ…、私も。同じ。」
彩綾は、いつもの調子で話そうとするが上手く話せない。
今まで小、中、高と、塾などで他校の生徒にも会ったことあるが、これほどのイケメンは居なかったからだ。
身体がほてり、熱くなり、なかなか話が続かない。
「ねえ。あの変態ピエロ、君とこの部屋で過ごせって言ったよね?それってつまり、君とヤレってこと?」
「違っ!」
「考えてもみてよ。こんなわけもわからないところに男女ふたりきり。あるものと言えば、ベッドにトイレにテーブル。それから君の部屋も風呂あるんだっけ?」
彩綾は状況をやっと把握し、事態を飲み込んだ。
「つまりここ、ラブホってこと?」
「そう。それに君の服。男を誘う遊女みたい。」
彩綾は、怒りでカーっと赤くなった。
「そ、それを言うなら、あんただって、ゲームかなんかのキャラみたい!!モテない女がやりそうなゲームのっっ!!!」
必死に言い返す!
「そのゲームのキャラみたいな俺とヤりたいわけ?」
「そんなわけないでしょ?」
「でもさ、さっきから顔も身体も真っ赤だよ。」
「そ、それは!!!」
「え?もしかして、あの変態ピエロが言った通り、君は俺のこと好みなの?」
「違っ!!違わないけど!でも違う。や…やっぱり、違わない。否定はしないけど。」
「お互いの好みの格好をした好みの相手でございます。ご存分にお楽しみください。」
どこからともなく、異世界ピエロの声が聞こえた。
イケメン王子も彩綾も図星を突かれ、バツが悪そうに目をそらす。
「ちょ!!あんた!!なんなのよ!!!出て来なさいよ!」
「そうだ!出てこい!!」
2人は叫んだが、異世界ピエロの声は聞こえなくなった。




