イケメンと
「ちょっとアンタ!!
私をここから出しなさいよ!!」
彩綾は血が上り思い切り声の主に怒鳴った。
「それは、無理で御座います。
お帰りは夢の世界を存分に堪能していただいた後となっております。」
また何処からともなくあのピエロの声が聞こえてくる。
「そんな!!勝手な!!
こんなの誘拐じゃないの?」
怒りに任せに大声で叫ぶ!!
「誘拐でなくご招待で御座います。
貴女は選ばれたお方なのだから。」
ピエロは、怪しい声で続ける。
「さぁ、テーブルの上のローズティーでも飲んで心を落ち着かせてくださいませ。
ケーキも御座います。」
彩綾がテーブルを見ると今迄無かったローズティーとケーキが乗っている。
「食べ放題で御座います。
では、私は別の仕事が御座いますので失礼させていただきます。」
彩綾は、何度もピエロを暴言罵倒しなじり続けたが、それ以降ピエロからの返答は無くなった。
小一時間経った頃、彩綾も疲れたのかやっと大人しくなり、ハート型のピンクのテーブルに用意されたローズティーに口を付けた。
「おいしっ!」
思わず、この言葉が口から出た。
ケーキも美味しくて一瞬で食べ終わるが、次から次へとバラエティに溢れた新しいケーキが自分からお皿に乗ってくる。
ローズティーを飲み終わると、次はバニラティー、ミントティー、オレンジティーと言うように勝手にどんどん飲み物が出てくる。
不思議で楽しくてやめられない。
まるでなにかのアトラクションだ。
-本当に夢の世界ね。魔法みたい。元いた世界のどのケーキ屋さんより美味しいスイーツだわ。-
テーブルの山盛りのお菓子にも手を出し、どんどん食べ続ける。
彩綾は美味しいスイーツに満足し、上機嫌になり、ピエロのことなどどうでも良くなった。
下着姿でベッドでゴロゴロしてていると、何故かあるはずのないドアが壁に勝手に出来、それが開き乙女ゲームに出てきそうな王子様の格好をしたイケメンが現れた。
下着姿の彩綾と目が合うと顔を真っ赤にし、彩綾も事態を把握して顔を真っ赤にした。
これはマズイと、イケメン王子が戻ろうと壁へ向かうとドアは無くなっている。
壁を探りながら、キョロキョロするが何処にもドアなどなく、この部屋から出ることができない。
またピエロの声がする。
「ご対面おめでとうございます。お互い好みだとお思いになったことでしょう。お二方には、しばらくこの部屋でお二方で過ごしてもらいます。」
「は?」
「はぁ?」
二人は開いた口が塞がらない。
「お二人の願いは、『元の場所に帰ること』ですね。
それなら、私の指示に従って貰います。」
会った時のおどけたピエロの声でなく、迫力のある真面目な声にふたりはなにも言い返せなかった。




