神川沙也加
事と次第を端折って、説明する。
神川沙也加は、未来の俺の部下らしい。
彼女と思って期待したがそれは見事に外れた。
どうやら、神川沙也加はデータを整理していた際に会社で使う重要なデータを誤ってバックアップごと削除してしまったようだ。
そんなに重要なデータなら削除の際、確認メッセージは出なかったか聞いたが、他の仕事を立て続けに頼まれていたこともあり忙しくメッセージはよく読まずに削除したと言っていた。
パスワード入力もあったが、いつも会社で使っている部署共通のパスワードを入れたらしい。
その重大性に気づいたのは削除してから数時間後。
削除したデータは元に他のデータにリンクされていた為、上手くパソコン作業が行えず、原因を探っていたらデータ整理したことに気づいたんだと。
ほかに知られる前に俺に電話をしたが、昨晩何度時間を空けて電話を入れても出なかった。
病欠だとは知っていたが、他に頼れる人が居なかったらしい。
今日、それが社内で知られることとなり、今辞めるかどうかの瀬戸際と言っていた…。
薄情と思われるかもしれないが正直、どうでもいい。
神川沙也加なんて知らないし、大学生からいきなり36歳になったという大問題を抱えている俺にとっては大した出来事とは思えない。
仕事のことをわかってないと思われるかもしれないけど、まだ俺大学生だぞ!
社会人のオバサン、いや、お姉さんに仕事のことを大学生が相談されてもわかるか?
わかんねーよ!!
神川沙也加の話から、未来の俺が係長であることがわかった。
2時間以上電話を聞いてたせいで疲れた。
同情はするけど、俺には相槌打つことと慰めることしかできねーよ。
36歳の俺ならどんな対応をするんだろう。
早く帰って来てくれ!未来の俺!
今すぐに入れ替わってくれ!
神川沙也加との会話内容は、すぐにわかるよう日付と時間入りで冷蔵庫に貼っておく。
毎日料理をする未来の俺ならまず間違いなく見つけるだろう。




