「明日、世界が終わるけど、我が親友よ、何をしたい?」
「――明日、世界が終わるけど、我が親友よ、何をしたい?」
いつものように、冗談のように、俺がたった一人の大親友である[白夜]に聞く。
そしたら白夜は笑って言うんだ――
「――何時も通りに過ごしたい」
「白夜は無欲だな?」
「んじゃ、黒世は何がしたいんだ?」
「んー……白夜と遊んで、んで、久しぶりに一緒に寝る?」
「一緒に寝るとか小学生かよ!」
笑いながら白夜はそう言う。
黒世も十分無欲だ、なんて言う白夜に俺は笑っていつも言う。
「俺が無欲? 冗談キツイな、最初は泣き叫んださ」
「俺にはお前が泣く姿が想像出来ないが?」
「昔は良く泣いてたじゃないか」
「そうだったか?」
思い出せない様子の白夜。
……きっと最後の最後に思い出すだろう。
最初は泣き叫んで、先に死ぬ白夜を助けて、逆に泣かれた。
最初から最後までそう、親には彼氏が出来たって言ったら一番最初に白夜を疑われたし。
でも、白夜には元カノがいるし、今でも付き合っている恋人いる。
そして俺には数年付き合った元カレがいる。
けど、白夜は恋人じゃなくて、ただの親友である俺といる。
「きっと直ぐ思い出すんじゃね?」
笑って今日も過ごすのだ。
今も隣に居るのは沢山の思い出のある、親友……白夜がいる。
親でも、恋人でもない、俺の隣に、白夜はいる。
「――あぁ、やっぱりお前と付き合えば良かったな」
「ぶはっ、何を言ってんだ?」
笑って何を言ってんだと、怒るでも軽蔑するでもなく、笑う白夜。
だから、白夜は俺の、たった一人の親友なのだ。
「いや、世界の最後まで一緒に居る親友の方が、元カレより良かったなって」
「はぁ? 俺は美音ちゃんの方が好きだわ」
美音ちゃん、確か白夜の恋人だが、今付き合っているのは[紫蓮]だ。
つまりこの美音ちゃんというのは――
「――元カノの方だろ、それ」
「そうそう」
「俺のせいで別れたくせに、今の恋人じゃなくて元カノ思い出すのかよ」
「いやだってヤンデレ男子よりツンデレ女子の方が可愛かった」
ヤンデレ男子と言うのは先ほど言った白夜の今カレ、紫蓮。
ちょっと、いやかなり白夜が好きなヤンデレだ。
「あの執着はやばいよな、つーかこんな所で本音出して良いのかよ」
「だいじょぶだいじょぶ、世界、明日で終わるんだろ?」
にっこりと笑って無駄に信用した笑顔の白夜。
うわぁとつい言ってしまったのは仕方ないだろう。
「いやお前……普通信用しない一言信じる辺り、流石白夜って所だな……」
「そんな言葉を言う辺り、流石黒世って所?」
「やめろよ、俺が変な少年っぽいだろ」
「実際未来予知と予知夢はあったけど?」
しれっと言う辺りはきっと白夜も結構俺に毒されてるな、なんて呟きつつ、その辺で買ったパンと飲み物を片手にいつものような話題に変わっていく。
「そういえば今日のテスト何点だった?」
「平均六十点」
「はっ、ゴミ」
「どうせお前も七十位だろ!」
「残念平均九十点」
「嘘だろ!」
ループの影響か、最近点数が上がって、平均六十点な白夜よりちょっと上程度の俺は居なくなったのだ! まぁ、世界終わるまでの勉強しか分からないけど。
「さては別人だな?」
「残念だけど本人ですー五歳の時俺を女だと勘違いして告白した少年よ?」
「ぎゃー! 何でそんなこと覚えてるんだよっ!」
「あの時告白受けてたら逆に面白かったな」
俺と白夜の出会いは四歳の時、家の近くの公園で、よく遊んでいた者の一人だった。
その中でも特に家が近くて、よく遊んでいた。
俺は幼い時は髪が長かった影響もあり、女性に似ていた。
活発な少女とでも思ったらしい白夜が五歳の時、告白して、困ってしまった。
というのも、親の仕事の都合で引越しが丁度あるからだ。
困った結果、引っ越した後、大人になって再開しても、気持ちが変わらなかったら、という約束で俺と白夜は別れ、ぴったり十六歳、高校一年の時、親の都合でまた戻ってきたのだ。
転校生として俺は来て、白夜を見つけた――
*
「……はくやくん?」
「え?」
そこに見えたのは懐かしい白夜くん。
当時は五歳だったので覚えてないかもしれないと思って困っていた俺をじっと見て――
「――こ、くよ、ちゃん?」
「っ、久しぶりー!」
がばりと、くっついてしまってから、しまったと思って謝って離れる。
……のだが、当の本人は――
「――え、え、いやでも……」
「白夜くん?」
こてん、と首をかしげる。
確かに五歳の時より髪が短いが、きっと一般的な男性より長めな方だと思う、肩より下まで普通にあるし、そんな髪がするりと横に落ちる。
「か、かわ……」
「ん?」
「あぁぁぁ可愛いっ!」
「うわっ!?」
*
「――あの時、いきなり抱きついた白夜を自衛で蹴り飛ばしたんだよなぁ……」
「や、やめてくれ……」
黒歴史と呟く白夜に笑う。
俺が缶コーヒーを飲めば、話を変えるように、白夜が言う。
「こ、黒世はコーヒーが好きだな……」
「紅茶好きのお前に言われたくないな?」
「良いじゃないか、紅茶美味いぞ!」
平和な日々、白夜と過ごす日々。
やっぱり楽しいな。
過ぎる時間、時間は過ぎて、空は赤く染まる。
「あぁ、そうだ」
「ん?」
「お前に一つ嘘をついていたんだった」
「は? お前が? 珍しいな?」
きっと、俺の最後の言葉は。
きっと白夜の最後の言葉は――
「――我が親友よ、この後直ぐ、世界が終わるけど、俺と死んでくれるか?」
「あぁ、思い出した、最初から最後までお前は――」
*
いつもの、帰り道、でもなんだかいつもと違う。
俺の親友である黒世が思い出したようにその言葉を出す。
「――明日、世界が終わるけど、我が親友よ、何をしたい?」




