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転生したオタクゲーマーは異世界RPGを攻略する。  作者: シュトロム
二章 修行編(仮)
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魔法学校にて 一日目 その1

一日目その1、ってこの調子だとしばらく学校居ることになりそうだなぁ。

なんで私は、自分の時間をかけて作ったプロットを無視して話進めるんだろう。

「おはよう、生徒諸君」


 学長が一声。

 草原もとい青空教室一帯に響き渡る。

 真横にいたのにもかかわらず耳が痛くなるような大声ではなかったことから、魔法で声の聞こえる範囲を広げたとかそんな感じだろう。

 にしても、魔法を発動した予兆とか呼び動作とか一切なかったように感じる。

 これが本物の実力者の力か。


「今日もみな、遅れてくることなく集まってくれて嬉しく思う」


 そういえば、あんなにも破天荒な集まり方していたにも関わらず、今は学長の前にきれいに整列している。

 前にいるものは座ったりしゃがんだり、背の高いものは後ろに回ったりと、全員の顔がしっかりとか確認できるようになっている。

 なんでそこは真面目なんだ。

 それができるならもっと余裕をもって集まれるだろうに。


「その調子でいつも通り勉学に励んてほしい」


 その調子で魔法の勉強するのはやめてください。

 あと、これ本当にいつも通りなんだ。


「さて、一点私から話がある。以前、私に冒険者がどういうものか教えてほしいと頼んできた生徒がいた。その際に、他にも気になる人がいるだろうと聞いて自学活動の時間に講義を開いたことがあったね」


 生徒の一部がうなずいている。

 他も特別驚いている様子もないので、周知のことではあるみたいだな。


「その講義がまぁひどいものだったようで、何もわからないとかあんただからできるだけだとか、さんざん言われたね」


 やれやれといったジェスチャーをする学長。


「学長なのに人に教えるのは苦手と来た、困ったものだよ。あはは!」


 あっちでは苦笑い、こっちではため息、そっちでは気まずそうな表情と、それはもう酷い講義だったんだろうなということが伝わってきた。


「しかし、生徒の疑問を解消できないままというのは、学長として見過ごせないなと思ってね。現役の冒険者に依頼して、今日から五日間みなに冒険者について教えてくれることになった」


 ちらちら見られていた視線が一気にこちらに向いた。


「こちら、リュート君とイデア君だ」

「リュートだ、よろしく」

「イデアだよ、よろしくね!」


 いつも通り適当に挨拶、それに対して『よろしくお願いします』とそろって返してくれた。

 真面目だ、しかも敬語。

 みんながみんな貴族というわけではないだろうから、この学校の教育課程でそういう講義があるのか?


「二人の講義は自学活動が始まる十四時からこの場所で行う予定だ。興味があるものや、時間があるものは是非来てほしい」

『はーい』

「あぁそれと、見えているものもいると思うが、イデア君はとても素晴らしい魔力量をもっている。しかし、まだ魔法を使ったことがないらしい。せっかくなので、みなと一緒に講義も受けることになった」


 生徒たちから歓声が沸いた。

 同志だ!って感じの反応なのだろうか。

 学長が手放しに誉めている相手に対して、素直にすごいという反応が出るにはいいな。

 その様子を見て、学長も嬉しそうに続けた。


「いい反応だね。それじゃあ、朝礼はここまで。みな、講義に遅れないようにね」


 わらわらと正面の扉に帰っていく生徒たち。

 ……いや、帰りは普通なのかよ。

 飛んだり跳ねたりしろよ、もう一度見たかったのに。

 なんだったんだよ、朝礼前の不真面目さは。


「この後が彼らにとって本番だからね、無駄な魔力は使いたくないんだろう」


 俺の考えを見透かしたように疑問に答えをくれる学長。


「なら、朝礼に来るときも使うなよ」

「あれは準備運動だから別だよ。自身の力でできる範囲をしっかりと理解し、限りなく最小で遅刻にならないぎりぎりの出力で、ここまでくることを計算して魔法を使っているんだ」

「知恵と力の無駄遣いだ……」


 そんなことしないで歩いて来いって。

 ていうか、魔法の準備運動って何?それ本当に準備運動になってるのか?


「あはは!鋭いことを言うねぇ。でもまぁ、そう厳しい目で見てあげないでくれ。日々、魔法の修練・研究に明け暮れ、いつも魔力を空になる直前まで努力しているのを私は知っている。彼らはしっかりと睡眠をとり、前日に消費した魔力を回復したがっているんだ」

「うーん、なるほど?」


 確かに寝てる時の魔力の回復速度は速いけどさ、そんなに切羽詰まるほど自分を追い込む必要があるのか。

 ……いや、全員ただの魔法狂いなだけな気がする。


「今は納得できなくてもいいさ、まだ初日だしね。これからの五日間、彼らの姿を見ていれば君の考えも変わるさ」

「どうだろうな……」


 正直、悪い人たちではないとは思ってはいる。

 ところどころ真面目さが垣間見えているし、純粋に魔法に対して

 でも、ほかにやりようはあると思うんだけどなぁ。


「ねー、もう話し終わった?早くいかないと私たちも講義に遅れちゃうよ!」

「あぁ、悪い。そんじゃ学長、先行くよ」

「うん、行ってらっしゃい」


 先に走り出したイデアを追いかけて、俺も走り出す。

 背中に暖かな視線を感じながら。

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