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転生したオタクゲーマーは異世界RPGを攻略する。  作者: シュトロム
二章 修行編(仮)
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いざ、魔法学校 1

 依頼を受けた後、いろいろと情報収集をした。

 まず王立オルスタイン魔法学校は王都の中にあり、王都郊外のセントリアスからだと、関所を通る必要があるとわかった。

 しかも、通るには事前に許可証を手に入れるか、関所での尋問を受けるかしないと入れないらしい。

 尋問では名前・目的を聞かれ、身分を示せるものを見せる必要がある。

 貴族とか商人とかだとそれとわかるものを持って得るんだとか。

 俺の場合は、冒険者の等級を示すピンでいいらしい。


 またも翌日。


「おはよー!」

「おはよう。悪いな、こんな朝早くに来てもらって」

「普段よりちょっと早いくらいだから大丈夫だよ」


 日が出てすぐにギルドに向かい、イデアと合流して魔法学校へ出発した。

 関所まではギルドから歩きだと一時間ちょっとかかる。


「あのさ、体調とか悪くなってたりしてない?」

「別に問題ないよ」


 王都、つまりは都会なわけで、近づくにつれて街並みも道行く人も見た目や立ち姿から、なんとなく豊かさを感じる。

 少し着ている服の質がいいとか、明らかに浮浪者といった様相のひとが見当たらないといったレベルの話ではあるが。


「なんで?」

「昨日無理やり魔力を体に流したから、それで大丈夫かなって」

「解散した後、歩いてたら手とかの震えはなくなったし、起きてからも見てのとおり快調だよ」

「そっか」


 その中に、俺たちのような冒険者に見える人もちらほらいる。

 注意してみればわかるが、さしたる違和感があるわけでもなく町に溶け込んでいる。


「そういえば、なんでこの依頼にしたの?ほかにも選べる依頼はあったって聞いてるけど」

「受注条件に魔法が使える人ってあったからってことと、依頼主の名前に見覚えがあったから。あとは単純に面白そうだったからかな」

「なるほど」


 そもそも、そんなこと誰も気にしない。

 それが当たり前だから見ることもないだろう。


「その人は知り合いなの?」

「いや、その人が出してる本を知ってるんだ。『魔法使いになるために』っていうんだけど」


 だからこその違和感。

 明らかにこちらに向けられている視線。


「へー、そんなのがあるんだ。もしかして、独学で魔法使えるようになったの?」

「おう。すごーいってほめてくれていいぞ」

「ワースゴーイ」

「心こもってないなぁ」


 いつから見られていたのか、どこから見られているのか。

 五感の鋭いイデアすら、俺と同時にそれに気づいた。

 辺りをそれとなく見回しても、それが誰によるものなのかわからない。


「まぁ、いい機会だし、イデアも授業受けてみれば?」

「いいのかな?」

「見学するだけ、って態なら許可でるんじゃないか」


 ただ、視線からは悪意を感じない。

 確証はないが、好奇の視線に感じる。

 値踏みするような、見定めるような、そういった感覚。

 それが余計に気持ち悪い。


「……どっちが先に関所につくか、競争でもするか?」

「……いいよ」


 でも、そのまま見せてやるほど甘くないぞ。

 イデアに目くばせして意図を伝える。

 うなずいてくれたことを確認。


「そんじゃ、三二一で行くぞ」

「いいよ」


 軽くストレッチして、それとなく魔法を使う。


「三、二、一、ドン!」


 合図で同時に駆け出す。

 走るルートを確認、少し走った先に人混み。

 そこまで密集しているわけではないが走り抜けるにはしっかりとよけなければならない。

 速度も落とさなければならないだろうし、考えながら走る必要も出てくる。

 いちいち気にするのめんどくさいな……。


「上から行くか」


 人混みに突っ込む直前に跳躍、壁を蹴って反対側の建物屋根に飛び乗る。

 これなら何も気にせず走れるな。


「イデアは、……まじか!?」


 俺が前を走っていたから気づかなかったが、俺が避けた人混みに突っ込んでいったらしい。

 かなりの速度が出ているにもかかわらず、人の隙間を完璧にすり抜けていく。

 速度を落とすことはない、なんなら加速してないか?

 結局、誰にも触れることなく人混みを突破。

 ただとんでもない速度だったからか、風圧で何人かこけているのが見える。


「嘘だろ……」


 『身体能力強化』の魔法で走っているため、初速と最高速度を上げている俺。

 だが、じりじりと俺に横並びになってくるイデア。

 人並外れた身体能力、それを制御しきり扱いきれる頭脳、可能な限り人に迷惑をかけないようにする心遣い。

 あの若さで中級冒険者になれるだけはあるな、実年齢知らないけど。


 結果として、十分弱で目的地である関所に到着。

 感じていた視線も消えていた、うまく振り切れたみたいだ。


「私の勝ちー!」


 イデアはさっきの視線のことを忘れて、途中から普通に競争を楽しんでいた。


「そんなにでっかい剣、背中に背負ってるのに俺より速いってとんでもないな」

「えへへ」


 照れくさそうにしている、愛いやつ。


「休憩はいるか?」

「私は大丈夫」

「元気だな。行くか」


 あまり多くはないが馬車が並んでいるところと、人だけが並んでいるところがある。

 手続きは別々にやっているみたいだが、並ぶのは別にどっちでもいいらしい。

 ほとんど身一つの俺たちは、人の列の方に並ぶことにした。

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