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転生したオタクゲーマーは異世界RPGを攻略する。  作者: シュトロム
二章 修行編(仮)
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魔法理論 2

今日は祝日だから1週間1投稿できたことにしてほしい。

「何をすれば魔法をつかえるようになる?」

「そうだなぁ…、まずは魔力を感知できるところからかな。」

「ふむふむ、やってみるね。」


 そういって、両手ガッツポーズの状態で難しい顔をするイデア。

 実際はどうしているか知らないが、全身に力を入れているのだろう。

 俺の説明もなしにできるのだろうかと思っていたのだが、イデアを包んでいた膨大な魔力が徐々に流動しているのが見て取れた。

 その勢いは次第に激しさを増していき、そして規則的な動きをし始めた。

 一度感じたことがあるからか、どうやら一発で感覚をつかんだらしい。


「なるほどね。」

「さすがイ「全くわかんない!」なんでやねん!」


 気のせいでした。

 なるほどね、じゃねーよ。なんでそんなにしてやったりって顔してんだよ。

 自分の意志に関係なく反射で突っ込んでしまった。尚、似非なのであしからず。


「どうすればできる?」

「初めからそう聞いてほしかったなぁ…。」


 とりあえずやってみる、というチャレンジ精神は高く評価しよう。

 でも、やってみる前に落ち着いて考えることも覚えてほしい。


「まずは、―――」


 俺は『魔法使いになるために:初心者用』に書いてあった方法をざっくり教えた。

 だが…。


「全然感じないんだけど…。」

「嘘だろ…。」


 それでもなお、イデアは全く魔力を感じ取れなかったようだ。

 本の内容からすると、魔力が感じられないのは魔力量が少ないか魔法が使えないからだとされている。

 魔力量が少ないから感じられないというのはありえない、イデアの魔力量は魔力を感知できる俺よりもはるかに多い。


 では、魔法が使えないからかというとそれもまた違う。

 厳密には魔力を魔法を発動するために利用できない、ということらしい。

 これは『魔法使いになるために:中級者用』に書いてあったことだが、どうやらこの世界には魔法以外に特別な術や力みたいなものがあるらしい。

 それらに関する詳細な記述があったわけではないが、かなりの少数派であると記されていた。

 そして、それらを使えるものは魔法が使えない、反対に魔法を使えるものはそれらを使えない。

 使うための前提となる魔力自体が発動を拒むらしいのだ。


 魔法というくくりの中でも属性という区別が存在するように、魔力には得手不得手のようなものがある。

 イデアの場合は魔力が鮮やかな緑色なので、風属性の魔法に適正があると考えられる。

 そういった属性のように区別されているものが魔法とそれ以外の能力たちの関係性だという。

 そして、得手不得手がより顕著に表れたものがそれらの術や力になる、ということらしい。

 故に魔法以外の能力に適性がある魔力、つまり魔法が使えない魔力であり、感知することすらできなくなる、と。


 らしいらしいばかりで、一切確証がなく信用に値しない情報のように感じるかもしれないが、俺自身も真実かどうかわかっていないのだ。

 それもこれも、『魔法使いになるために』シリーズに記述される文章構成と情報の示し方が問題だと思う。

 特に、『魔法使いになるために』シリーズは前述や細々とした挿入文には、親切心がかけらほども感じられないほど難解だ。

 そもそも、魔法が使えない魔力を魔力と呼んでいいのかどうか。

 たとえ大多数の人間が魔法を使える魔力を持っているのだとしても、それらの能力に合わせた呼称をつけてあげてほしい、というかややこしいのでつけてください。


 …話がそれたが、俺が操作したとはいえ魔法を発動するために使うことができたイデアの魔力は、間違いなく魔法に対して適性のある魔力であるということだ。

 であるにもかかわらず、感知できないとはこれ如何に…。

 いや、まじで。


「ほかに方法はないの?」


 しばらくの沈黙の後、イデアはばつが悪そうに口を開いた。

 すがるような視線を感じる。

 うーん………。


「…あるにはあるけど、強引な方法だからあんまりお勧めしないんだけど。」

「なんでもいいよ。中途半端なまま終わるよりいいもん。」


 じっ、と俺の目を見つめてくる、

 決意は固そうだ。


「まぁ、やるだけやってみるか。」

「うん!」


 とてもいい笑顔頂きました、ありがとうございます。

 しかし残念ながら、その表情はすぐに崩れ去ることだろう。


「じゃあ、手出して。」

「…?はい。」

「どうも。それじゃあ、ちょーっと我慢してねー。」

「え、何するの?」


 がっちり握手したその手のひら、どころか全身から感じるイデアの魔力。

 その魔力に俺自身の魔力の質を合わせる、あの雪山でした時と同じように。

 そして、


「それ。」


 情け容赦なく俺の魔力を送り込んだ。


「うひゃあ!!」


 おそらく、イデアは全身を粗い生地でごしごしとこすられるような感覚に襲われていることだろう。

 それを知ってもなお、送り込む力は緩めない俺。

 イデアは俺から逃れようと腕を引っ込めようとするが、がっちり握手しているので離れられない。


「今、イデアの全身にまとわりついてるのが魔力だ。あ、ちなみに俺の魔力が直接やってるわけじゃないからな。それは拒否反応みたいなもので」

「淡々と説明しないでぇ!!」


 耳も尻尾も毛が逆立って、全身で不快感を示しているのが見て取れる。

 さすがにかわいそうになってきたので、手を放してあげた。

 すぐに手を引っ込めて、とんでもなーく怒った表情で睨んできた。


「先に言っただろ?強引な方法だって。」

「それでも、事前に説明できたよね?!」

「確かに。」

「ひどい!!」


 面白半分でやったという自覚はある。


「で、魔力の感覚はつかめたか?」

「……おかげさまでね。」


 苦虫を噛み潰したかのように顔で、腹の奥底から出したかのような声で返事をするイデア。

 非常に、恨めしそうである。

 うーん、手心加えるべきだったかぁ。

 …まぁ、結果オーライってことで。

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