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転生したオタクゲーマーは異世界RPGを攻略する。  作者: シュトロム
二章 修行編(仮)
50/60

魔法理論 1

週一くらいで投稿したいという意思

 見せたのは確か、詠唱を無視した魔法の発動と既存にない魔法の使い方だったかな。

 まずは、基本から行こう。


「これは自論だけど、魔力っていうのは本来、自由に扱えるものだと思ってる。普段歩いたり、ものを持ったりしている手足みたいに。」


 両手のひらを出し、指を複雑に曲げたり握ったり絡ませたりして見せる。


「でも実際には、魔力を自在に扱えない人はたくさんいる。それこそ街ですれ違うほとんどの人が使うどころか、感じ取ることすらできないだろうな。」

「私もできなーい。」


 はいはい!と手を挙げるイデア。元気があってよろしい。

 でも、それは自慢げにすることじゃないんだ。

 というか…


「いや、イデアはもう魔力感じ取ったことあるだろ。」

「へ?」

「ほら、雪山で雪崩のように大量のロックベアーが迫ってきたとき。」

「…………。」


 目をとじ腕を組んで考え込む。適度に跳ねる両耳がとても愛らしい。

 暫くして、パッと目を開き手を打った。


「あぁ!あのすごくくすぐったかった時の!?」

「そう。」

「確かに、魔力枯渇がどうとか言ってた気がする。…私、魔力あったんだ。」

「めちゃくちゃあるぞ。」


 それこそ、地形変形できる威力の魔法打てるくらいには。

 今思い出してもアレは異次元の破壊力だった。

 状況が状況だったから、イデアの魔力を使って魔法を打つなんてことをしたが今の俺じゃ二度目はうまくいかないだろう。

 あの時は俺がうまく制御できたからよかったが、もしできていなかったら山が台地になっていたかもしれない。


「もしかして、私すごい?」

「すごいぞ。」

「絶妙に心がこもってない。」

「まぁ、どれだけ魔力があっても使えなきゃなぁ…。」


 確かに、と肩を落とすイデア。ついでに耳もしょんぼりとしている、かわいい。


「むぅ、さっきリュートは魔力は自在に扱えるって言ってたじゃん。私、そんなことできる気しないんだけど。」

「それは使い方を知らないからだな。」

「……え、それだけ?」

「それだけ。」


 本当に、それだけだ。


「じゃあ、私も魔法使えるようになれるの?」

「なれるぞ。」

「そんなあっさりと…。」

「事実だからな。実際、雪山で打った魔法はイデアの魔力で打った。魔力を扱っていたのが俺だっただけで。」

「そんなことできるんだ。」

「できるぞ、一応。」


 本当のところ、アレは「できた」ではなく「できちゃった」が正しい。

 勿論、人の魔力を外から扱うこと自体は可能だと考えていた。

 しかし、試したことは一度もなかったし、ある程度限られた条件の下でしかできないと予想もついている。

 大枠としては二つ。

 一つ目は、魔力が外部からの干渉に抵抗がないこと。

 当たり前な話だが、他の人が自分の手足を動かそうとしているときに拒絶すれば、よほどの力差がない限り主導権は自分にある。無理くり動かそうとしても、ひどくぎこちなくなるだろう。

 二つ目は、魔力の性質が似ていること。言い換えると、同じ魔力の属性であることだ。

 自分が持っている魔力に属性が似ていれば似ているほどその扱い方は類似する。

 反対に、属性が違う魔力の扱い方は異なることが一般的だ。

 ただの水や風にものを燃やすことができないように、別の属性の魔力を扱うなんてことはできない。

 ただしあの時の俺がしたように、魔力の性質をイデアに合わせるようなことができたなら話は別だが。


 そしてあの時の状況から考えると、一つ目の条件が非常にやっかいなのだ。

 普通に考えた話だが、腕を掴まれ引っ張られれば誰しもが無意識のうちに腕に力をいれて抵抗をしてしまう。

 同じように、魔力を感じることができない人であっても無意識的に抵抗し、外部の力から逃れようとしてしまう。

 実際に、イデアは全身をくすぐられるような感覚を覚えていた。

 なので、あの魔法が打てたのはイデアが俺を信じて下手に抵抗しなかったから。

 本当に一か八かだったのだ。

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