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転生したオタクゲーマーは異世界RPGを攻略する。  作者: シュトロム
二章 修行編(仮)
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大熊を狩れ 7

非常にお久しぶりです。

あとがきにお詫びの文がありますのでまずは続きをどうぞ。

 俺たちは初めに来た時より慎重に山道を進んだ。

 正確なヤツの場所はわからない以上、いきなり後ろから現れて不意打ちを受けるとも限らない。

 イデアは前衛、俺は後衛で全方位を注意深く索敵しつつ先に進む。

 本来、俺も前衛タイプなのだが近接技特化であろうイデアに後衛を任せるのは酷だろう。

 それに索敵に関してはイデアの人並外れた五感が頼りだ、これくらいのことは俺がしなければ。

 役割分担というやつだ、パーティを組むなら(あらかじ)めに決めておいた方がいい。

 とは言ったものの俺たちは事前に前後衛の分担を決めてはいない、今回の場合は例外だ。

 俺が中級冒険者にふさわしいかどうかを判断するために依頼を受けたわけで、もともと俺一人に依頼達成に必要な作業のほとんどを任せられていた。

 故にしっかりとした分担を決めていなかったのだが、今のような状態になっては話が別だ。

 ここまで順調すぎるほどにランクをあげることができていたが、そう何度もうまくいくわけがない。


 この世界はやはりゲームのようだが、どこまでいってもゲームではない。

 疑いようもなくこれは現実で逃れようのない事実だ。

 俺はまだ頭のどこかでゲームの世界だと考えていたのかもしれない。

 今まで自分の思うがままにやってきてうまくいき過ぎていたせいだ。

 認識が甘かった、というしかない。

 俺は他に比べる相手もいないほど良き師匠と出会い、様々な知識と技術を学んできたが結局俺はただの人間だ。

 前世の記憶があるというアドバンテージはあるが、役に立つのは精々知識くらいのものだ。

 むしろそれがあることで生じるミスもある。

 もっと現状をしっかりと把握しておくべきだったのだ。


 -----------------------------------


 随分と頂上の方へと近づいてきた。

 空気の薄さが明確に実感できる程度には高いところにいる、師匠と修行していた村の近くの山よりは確実に高い。

 そしてそれと同時に気づくことがある。


 ガリッ、ガリリッ


 最初は気のせいかと思っていたが、登れば登るほど何かが削れるような音は大きくなっていった。


「このまま進むと音のなってるところにぶつかるよ。ここからは木陰に隠れて進んだ方がいいと思う。」


 俺は頷き、イデアの助言に素直に従って移動した。

 イデアは優れた五感で俺より先に音に気づいていたし、俺が勘違いかと思った時にはしっかりと音を拾っていた。

 今では俺ですらはっきりと聞こえるほどの距離だ、音の発信源の位置をある程度把握できているらしい。

  雪が積もっていて足音がしないのは好都合だった、木々の裏を移りながら近づき約20メートルと少しのところまでたどり着くことができた。

 背中を木に預けて思う、振り返ればいるのだと。

 息を整え、決心し、向こう側を覗き込んだ。


 端的に言えば、そこにいたのは化け物だった。

 薄灰色の獣毛が雪景色に溶け込んではいるが一点の濁りを生じさせ、自らの存在感を保ちつつも迷彩のような効果を発揮させている。

 もし俺たちと同じように木々の密集したところに居たならば、すぐ近くにいたとしても気づかないかもしれない。

 今いる場所からだと距離があるため正確には判断できないが、おそらく体長は5メートルはある。

 その後ろ姿は先ほどいやというほど見たロックベアーのものと類似している。

 だが一点だけ明らかに違う場所がある、腕だ。

 通常のロックベアーであれば、直径10センチほどの石が隙間を埋めるようにして腕にまとわりついているのが特徴だ。

 だがソイツの腕の石に隙間はない、それどころから完全に一つの石でできているようだ。

 それの表面は非常に滑らかで、この距離では傷の一つも見当たらない、まるで型に合わせて作った金属を腕に嵌めているんじゃないかと錯覚してしまうほどに。


 ガリッ、ゴリゴリッ


 背後から観察している間も音は止まない。

 ソイツは腕を振り正面にある木で爪を研いでいるように見える、どちらかというと木を爪で削っているように見えるが。

 爪を研ぐには音が大きいし、あまりにも長い間爪を研いでいることになるのでおかしいと思ったからなのだが、まぁいい。


「よし、十分相手の情報は得られた。後はギルドに戻って適切に対処してもらえばいい。見つかる前に早くここから立ち去―…」


 イデアの方に振り向いたその瞬間、


 バキッッ、メキメキッ、ドゴォォォン!!


 と、今までのものとは比べ物にならない大きな音が山中に響き渡った。

 とっさに振り返り、目に飛び込んだ光景に思考が止まった。

 大人一人分の肩幅と同じくらいの直径の木が殴り切り倒されていたのだ。

 どうやら本当に爪で木を削っていたらしく倒れた木はソイツの正面にあったものだ。


 だがなぜそんなことをする必要があるのだろうか、魔物には巣を作るような知性はなかったはずだ。

 ソイツは器用に爪を使い倒れた木を持ち上げた、明らかに何らかの意図をもって行われた行為に見えた。

 だがそれが俺にはわからない、いくら考えても答えは出ない。


 イデアが俺の腕を掴んで何か言っている、それはわかってる。

 だが反応を返すことができない。

 何を言っているのか聴き取れない、腕を引かれても動かない。

 俺の意識は完全に視線の先にいる化け物に釘付けにされていた。


 ソイツがこちらを振り向くまでは。

前話からだいぶ期間が空きました、申し訳ありません。

作者事態に何か大事があったというわけではありません。

新生活に慣れ始め、さぁ書こうと思い立ったはよかったものの、空いてしまった短い期間のせいで思うように書けなくなってしまい、今の今まで投稿できていませんでした。

リハビリが必要だと感じ、閑話を書いたりしてようやく前の感覚を取り戻せたんじゃないかと。

閑話の方は書けなかった時期の文なので内容が散らかってしまっているので、まとまり次第投稿したいと思います。

少しづつになるかとは思いますが投稿を再開していこうと思いますのでよろしくお願いします。

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