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転生したオタクゲーマーは異世界RPGを攻略する。  作者: シュトロム
二章 修行編(仮)
38/60

大熊を狩れ 3

 ゲームにありがちなことだが、敵キャラには弱点が存在する。

 それも考え方によって様々、例えば火属性の敵は水や氷に弱いというような感じだ。

 まぁそういう設定は作品のよってまちまちだが、大きく外れるということはないだろう。


 さて、ここで敵の情報から弱点を割り出す練習でもしてみようか。

 敵の情報を『雪山に生息する』と設定して考える。

 雪山で生きていけるということは寒さに耐性があるということ、そういう生き物は基本体が大きく体重も重い。

 体表面から熱を逃がさないように熱い毛皮を持つものもいるが、内部で熱を多く生成できるような身体的特徴を持つもののほうが多い。

 そういう体質を鑑みれば答えは明白、簡単に言ってしまえば熱に弱い。

 属性で言えば火や爆発といったところだろう。

 さらに言えば、体重が重いということは動きが鈍いともいえる。

 もちろん例外は存在するがそれでも規格外の速さで動くことはない。

 そして体が大きいと死角となる範囲も広くなる。

 こういった情報から相手の弱点を考えれば、たとえ実力がなくともある程度は立ち回れるはずだ。


 とまぁ、前世では考えてゲームをしていたものだ。

 残念ながら弱点、特に属性の相性なんて組み合わせの差はあれど最初から決められている。

 わかりきっている弱点を考えても意味はない、こういう考え方が活用できるゲームはついぞ発売されなかったが、まさか今になって使う時が来るとは。

 さっきのはまさに今の状況に当てはまるだろう。

 ただこれは予想であって必ずしも合っているとは限らない。

 もしかすると一つもあっていないかもしれないがあっていないという確証もない、実際に試してみない限りは。


 残ったロックベアーは他の個体が消失したことに戸惑っていたり、イデア経由で放った魔法の余波で受けたダメージで怯んでいたりと、今だにこちらには気づいていない。

 駆け上がりながら両手で同時に別々の魔方陣を描いていく。

 先に発動するのは右手の魔法だ。


「『魔力形成』、武器を我が手に。」


 発動と同時に魔方陣はその輝きを増しながら変形し始める。

 平面の魔方陣が徐々に立体になり歪な剣のような棍棒のような、形容しがたいなにかが生み出される。

 これはまだ扱いきれていないオリジナルの魔法で、武器という曖昧な指向性しか持たせられなかった。

 そのせいでこうなったのだろうが、今はこれで十分だ。

 後はひと手間加えるだけ、左手の魔方陣を生み出した武器に重ね発動させる。


「火を纏え、『属性付与』。」


 突如として武器から火が噴出した。

 これもまたオリジナル魔法で案の定、扱いきれていない。

 念のため武器を生成しておいて正解だった、所持している木剣を危うく燃やしてしまうところだった。

 予想以上の出力に驚いたがむしろ好都合だ。

 準備は整った。

 ロックベアーとの距離およそ20メートル、気づかれる前に先手を打つ!

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